【感想】炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】~植物vs.ヒトの全人類史~

夏井睦 / 光文社新書
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
3
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6
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ブクログレビュー

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  • ドラソル

    ドラソル

    炭水化物が人類にとって悪影響を及ぼすことを記した本の続編。

    例によって後半は人類と糖質の歴史で、そっちの方が面白かった。

    投稿日:2023.01.22

  • 千

    なんだかなぁ、
    確かに糖質オフによって体調の改善が見られてるのは体感して分かったけれど、色々とあとがきの通り仮説を堂々とそれが間違ってないかのように描く威圧的な雰囲気が、とてもとても苦手だった。
    だからといって狩猟採集と農耕民族たちが和解できるとかも不可能だとは思うけど、なんだかその罠にこの作者も嵌められてる感じというか、ね。
    まあ、でも天と地がひっくり返るようなことをたくさん教えてもらったー
    狩猟民は本当に寿命が長かったの?調べても調べてもそんなデータが見つからないよ、
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    投稿日:2021.04.22

  • なー

    なー

    このレビューはネタバレを含みます

    話が広がり、読み物としては大変楽しく堪能させて頂けましたが、あれ?糖質制限はどうなったんだっけ?(笑)

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    投稿日:2019.12.09

  • yasu.sasaki611

    yasu.sasaki611

    ■インスリンは脂肪調達係
    ・野生動物や先史時代の人で「血糖値は下がることはあっても上がることがなかった」のであれば,「血糖値を上げるホルモンが5種類なのに下げるホルモンは1種類(インスリン)だけ」というのは不思議でもなんでもなくなる。それどころか血糖降下専用ホルモンは生物には全く必要なかった。
    ・インスリンの本来の機能は何か。
    ・インスリンの作用。
    ①グルコース輸送(筋細胞や脂肪細胞でのグルコースの取り込み促進)
    ②糖代謝(グリコーゲン合成・解糖促進,糖新生抑制)
    ③脂質代謝(脂肪合成促進,分解抑制)
    ④成長促進(タンパク質合成促進,分解抑制)
    ・要するにインスリンは「タンパク質合成とそれに必要なエネルギー源(脂肪)を蓄積するためのホルモン」である。
    ・これまでインスリンの中心的機能と考えられてきた①は「③中性脂肪に転換できる物質(=ブドウ糖)があれば中性脂肪に転換して脂肪細胞に取り込ませる」機能だった。もちろんインスリンがこの機能を果たせばブドウ糖は中性脂肪に変身するので血糖値は低下するが,これはあくまで「結果的におまけとして血糖が下がった」だけのこと。
    ■ヒトは一日に必要なエネルギーの6割前後を基礎代謝(活動せずに生きているだけで消費されるエネルギー)が占めているが,この基礎代謝のうち7割は内臓や筋肉での熱産生で消費されている。この膨大なエネルギーは脂肪蓄積/分解システムでなければ供給不可能である。
    ■肉食動物は非連続的にしか得られない獲物でいくつもの連続稼働系を動かし続けるという無理難題に直面してしまった。このような現実に対応するためには捕食者は絶食を前提にしたシステムを磨き上げるしかない。野生のトラは7~10日間の絶食は珍しくなく長い絶食期間でも生きていける能力があるからこそ肉食動物であり続けられた。それを可能にしたのはもちろん「脂肪蓄積/分解システム」
    ■「和食は健康に良い長寿食」と取り上げられることが多い。
    ・「一汁三菜」を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われているが,一汁三菜とはコメを中心とした食事様式であり「コメを食べるために工夫された食べ方」に過ぎず「コメなしの一汁三菜」は食事として成立しない。
    ・つまり和食とは「多くの糖質を食べさせる食事」であり食後に血糖の急上昇をきたして大量のインスリンを分泌させるという意味で「時代遅れの不健康な食事」である。
    ■和食は世界的に「ヘルシーな長寿食」としてもてはやされている。日本人の平均寿命が世界トップクラスを長らく維持していて多くの日本人が和食を食べているからだ。しかし,これは正しいのだろうか。「和食を食べている」から「長寿」なのだろうか。
    ・他国の紛争中の国や内戦下の国,経済的に困窮している途上国では平均寿命が短く,国情が安定している途上国ではそれより長く,先進国では最も長い。紛争中の国,内戦下の国では兵士である青壮年から先に死んでいくため平均寿命は短くなる。紛争がなくGdpが高ければ社会インフラや医療制度を整備・維持できるようになり,結果として乳幼児期死亡率は低下して長寿者が増えてくる。これは食事や食料にも反映される。
    ・和食が日本人の長寿化に関与していないことは「社会インフラも医療制度もないが和食を食べている」状態で長寿が維持できるかと思考実験してみればわかる。要するに和食を食べていても寿命は短くも長くもなる。
    ・「和食」は長寿食ではなく「先進国(=長寿国)日本の食文化」と考えるべき。
    ・「日本は和食を食べているから長寿国」と言うのは要するに単なる疑似相関に過ぎない。疑似相関とは無関係なもの同士にあたかも関連があるように見せかけるトリックであり,「日本人はお餅を食べているから長寿国」「日本には新幹線が走っているから長寿国」「「日本は大人が電車でマンガを読んでいるから長寿国」という結論も統計データ付きで導き出せる。
    ■「脂肪だけ」では太らない。「脂肪+糖質」だと太る。
    ■食品中の脂肪は皮下脂肪にもない脂肪にもならない。つまり脂身たっぷりの豚バラ肉を心ゆくまで食べても,オリーブ油を飲んでもその脂肪は皮下脂肪にならない。
    ■肥満とは要するに脂肪細胞中の中性脂肪が増え脂肪細胞が肥大することにより起こる現象。
    ・脂肪細胞に中性脂肪の蓄積を促すホルモンの代表格はインスリンであり,インスリン分泌を促す糖質が肥満の唯一の原因。
    ・脂肪を摂取してもインスリン分泌は起こらないので肥満にはならない。肥満の原因はあくまでも摂取すると必ずインスリンを分泌させる糖質だけ。
    ■食事中の脂肪は小腸から吸収されるが吸収されるかどうかは血中の遊離脂肪酸濃度によりコントロールされている。
    ・血中遊離脂肪酸濃度が低ければ脂肪は吸収されるが,正常値に達すると腸管からの脂肪吸収はストップする。
    ・経口摂取した脂肪と肥満とは本来無関係であり脂肪にしてみれば「無実の罪」を着せられたようなもの。
    ・ところがここに糖質が絡んでくると話が違ってくる。「資質と糖質の同時摂取」→「糖質によるインスリン分泌」→「血中の遊離脂肪酸濃度低下」→「腸管からの脂肪吸収再開」→「インスリンの作用で脂肪細胞に中性脂肪蓄積」となる。
    ■日本以外の国では食料自給率は生産額ベースで計算しているのに対し日本だけはカロリーベースで計算している。
    ・2014年の自給率をカロリーベースで計算すると39%で生産額ベースでは64%となる。
    ・農水省にとっては自給率は低い方が農業保護政策の重要性が増すため都合がいいことは明らか。
    ■人口増加は農耕開始以前からゆっくりと起きており農耕開始が人口増加をもたらしたとする従来の説明は正しくない。
    ・ヒト誕生~4万年前(旧石器時代)までは人口は数十万人を超えることはなかった。
    ・4万年前~1万年前(新石器時代)までは人口増加率は年率0.1%以下だった(人口倍増期間は8000~9000年)。
    ・農耕開始以降(1万年前以降),成長率は0.4%となり西暦元年頃には人口は数百万~2億5000万人に増えた。
    ・食料とは無関係に人口が増え始めた。
    ・4万年前に何が起きたか。答えは「定住化」。
    ■ヒトは4万年前からゆっくりと人口を増やしていったが,実はそれよりさらに3万年前に人の人口は世界全体で数千人程度にまで激減したことが分かっている。7万4000年前に始まった最終氷期に,7万3000年前のスマトラ島の鳥羽山の巨大噴火が加わって急激な気候の変化が起きた。「トバ・カタストロフ理論」
    ■冒険家遺伝子
    ・カギを握るのはDRD4-7遺伝子
    ・ドーパミン受容体は様々な組織に存在し人手は5種類の受容体が確認されている。(D1~D5)
    ・このうちDRD4はD4受容体の形成にかかわる遺伝子でDRD4-7遺伝子はDRD4の変位型であり全人口の2割がこの変異遺伝子を持っていることが分かっている。
    ・DRD4-7Rの別名は「冒険家遺伝子」。
    ・DRD4-7を持つ人の特徴は「新もの好き」であり,リスクを恐れず挑戦心が強く当たらしい場所・食べ物・考え方にチャレンジするのを好む傾向がありDRD4-7Rを持たない人はその逆。
    ■「2:6:2の法則」の背景
    ・DRD4-7R遺伝子の頻度(=人口の2割),DRD4-7R遺伝子を持つ人の特徴と持たない人の特徴は,まさに「2:6:2の法則」の上位2割と下位2割の特徴そのものといえる。
    ・社会の構造やシステムが安定しているときには非冒険家タイプで前例踏襲型にして慎重派の方が社会に適合しやすい。
    ・冒険家タイプが能力を発揮するのは,環境が変化してそれまでの常識が通用しなくなった時。
    ・集団には「無謀・冒険派」と「慎重派」の両方が必要であり,その割合は「2:8」がベストだろう。
    ■血糖の急激な上昇は全身の血管で炎症反応を起こす極めて危険な状態であるが血糖を下げる手段は今も昔もインスリン1種類しかない。1万年の穀物職にもかかわらずインスリン以外の血糖降下ホルモンが分泌できるようになったわけではない。
    ■インスリンは過剰なブドウ糖を中性脂肪に転換することで血糖を下げるが1万年間の穀物食にもかかわらず,これ以外の血糖下降手段は人体には備わっていない。また,中性脂肪の行き先は脂肪細胞か肝細胞しかない。その結果として発症するのが脂肪肝と肥満。
    ■食後血糖上昇に100%例外なく反応するのが中脳のA10神経。
    ・A10神経は大量のドーパミンを分泌し報酬系を刺激する。
    ・ドーパミンを受け取った報酬系は幸福感を生み出し更なる快感を求めてまた穀物を摂取したくなる。これが糖質依存症。
    ・依存症から離脱するための手段はただ一つ。摂取をやめることしかない。
    ■アフリカでは数十万年ごとに新種のヒトが誕生したが基本的な生活パターンに変化はなかったと思われる。これがヒトの歴史500万年の99%を占めていた。
    ■先史時代のヒトの脳の基本仕様は「努力しない,頑張らない,困ったら逃げる」であり,ヒトの脳が「努力する,頑張る,困難に立ち向かう」仕様になるのは今から5万年前以降のことで,ヒトの歴史500万年からすると,つい最近の変化である。
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    投稿日:2019.01.26

  • 読みたがり屋

    読みたがり屋

    「糖質制限」について医学的に解説する前半より、その生物のメカニズムから「生命史・人類史」を紐解く後半の方が面白いし、本著の主題である。特に、本来遊動生活をする生物がどのような経緯で定住するようになったかや、ボノボやヒトの性行為が他の哺乳類と異なる意味を持つなど興味深い。続きを読む

    投稿日:2018.06.19

  • haru2012

    haru2012

    2011年にはほとんど知られていなかった糖質制限、当初は反論もあったが2015年頃からは世の共通認識になった。人類の人口増に対して穀物が足りない時代になる。穀物からの独立を考えるべき時。

    糖質制限は知られるようになりましたが、穀物が足りない時代への危機感まではまだ、浸透していないと思います。続きを読む

    投稿日:2018.04.09

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