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芥川龍之介, 谷崎潤一郎, 千葉俊二 / 講談社文芸文庫 (1件のレビュー)
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芥川は、小説から構造を廃すべきと言ったわけではない ただ小説の前提には作家の個性がなければならず 作家は、その自己表現を面白く読ませるための技法として 構造を用いなければならない もちろんまた一方では…個性が技法となり 二代目○○、三代目○○と積み重ねられていきもするわけだが それを扱って作品とするのはあくまでも個人だ そうでなくては、詩はスローガンに 小説はプロパガンダに堕していくしかないだろう それに対する谷崎は 東京と大阪の文化性の違いなど挙げて 要は受け手の個性が作品を完成させるという立場を取っているようだ もちろんそれもひとつのあり得べき解釈である しかしやがては スノビスト達の鼻持ちならない閉鎖性につながってゆくものでもあろう そこに、ある暗い可能性を見いだしてしまうのは ちょっと意地の悪い見方かもしれないが 「日本に於けるクリップン事件」 クリップン事件は、1910年にイギリスで起きた マゾヒストによる情婦殺害事件 日本でも起こった同じような事件をレポートするのが この作品の主眼である しかしマゾ男が女王様を殺すこと以外に事件の共通点は薄く 単に同じものとして並べるのはやや乱暴な気がする 「藪の中」 ひとつの殺人事件をめぐり すべての容疑者(および被害者)が自らの犯行と主張する話 各人のプライドがそれぞれにそういう主張をさせるようで 真相はわからない ただ、誇りのために損害を被ることをも厭わない人間の気高さ それが主題と見ることはできる続きを読む
投稿日:2017.11.11
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