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シェイクスピア, 中野好夫 / 岩波文庫 (27件のレビュー)
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かさい
このレビューはネタバレを含みます
悲劇だと思って読んでたら喜劇でびっくりした。シェイクスピアは喜劇→悲劇と作風を変えているらしい。 極悪金貸しユダヤ人のシャイロックによって、相対的にキリスト教とアントーニオが好印象となっている。アントーニオは友人のために身を差し出すため好印象だが、キリスト教もバッサーニオも作中ではいまいちパッとしない。シャイロックが強烈すぎるのだ。 演劇のおもしろいところは、監督、俳優による解釈がなされて上演されるところである。シャイロックの解釈が秀逸であれば、必ずおもしろい上演になる。
投稿日:2023.05.15
コマツ
ヴェニスの商人・アントーニオ、ユダヤの金貸・シャイロックとのいわゆる「人肉裁判」で有名な喜劇作品。 正直あんまり面白くはなかった。まずSSのような台詞形式であるため、風景や場面などが浮かびづらい。気づいたら退場していた、なんてことがままある。また、(これは現代人だからかも知れないが)シャイロックへの扱いが理不尽に感じた。きつく当たっていた人物(アントーニオ)がその本人に恨まれるのは当然じゃね…?と。従って一番の見せ場となる裁判の結果も、スッと入ってこなかった。 それでも訳者の解説は必見。「実はシェイクスピアは素材、原話は他人任せであること」・「1290〜1650年の間、ロンドンではユダヤ人が殆どおらず、しばしば嘲笑の対象とされていたこと」・「(この作品が描かれた)エリザベス期は金貸の黄金時代であったこと」など。
投稿日:2022.02.15
まるすけ
さすが名作。愛と友情を以って悪を打ち破る王道ストーリーを綺麗に描ききってます。また、キリスト教の改宗を迫ったり、三つの箱の内、鉛の箱があたりだったりと、細部まで考察するポイントも多数あります!
投稿日:2021.12.10
K
名前を知りながらもずっと触れられず、今般漸く読了。登場人物それぞれに個性があり、シャイロックはもちろん、個人的にはポーシア、ロレンゾあたりが印象的だった。人肉裁判のみならず、恋愛や友情等様ざな角度から…楽しめる作品。 シャイロックへの扱いはいかがなもの?と思うシーンもあったものの、当時のユダヤ人に対する見方がそれだったのだろう。 ややまわりくどい言い回しは所々に出てくるも、物語の展開は秀逸で、今尚語り継がれる作品としての面白さは流石の一言。 是非演劇でも拝見したい。 『お喋りが過ぎましたのね。でも、これもみんな時の脚に錘をつけ、少しでも引き延ばしたい、箱選びをお待ち願いたい一心なのです。』 『数々の不安も、早合点の絶望も、そしてドキドキするほどの気懸りも、緑い(あおい)眼をした疑念も、感情という感情は、全て空に消えてしまったわ。恋よ。静かに落ち着くのだよ、興奮するんじゃない、喜びの雨も適度(そどほど)に降っておくれ、こんなに度を過ごしちゃいけないわ。なんだか幸福すぎる、どうかもっと抑えて。でないと、幸福に食べ飽きるかもしれないから。』続きを読む
投稿日:2021.10.10
りここ✈︎
読書好きとして一度はこういう歴史ある名著を読んでおこうと思い、拝読。 率直に、すごく面白く、意外と登場人物も限られており読みやすかった。 当時のイギリスの文化や法、背景が彷彿とさせられ、舞台はヴェニス…ではあるがシェイクスピアの頭の中が見て取れるようで、興味深かった。 特に印象的な人物 ・ネリッサ…ポーシアの侍女であるが、発する言葉に名言が多く、印象的。 「あまり御馳走を召し上がりすぎますと、却ってこれは食物もなく、飢えている人間と同じように、やはり一種の病人だそうでございまして。してみますと、すべて中っくらいにいますということは、どうして中っくらいの幸福どころではございませんで。」 「過ぎたるは白髪を早め、適度は長生の基のようで。」 「月のあるうちはあの燈も見えませんでしたが。」 (そうよ、大きな輝きが小さな輝きを見えなくする。) ・シャイロック…富めるユダヤ人。シェイクスピアの、また当時のイギリスのユダヤ人に対する憎悪がシャイロックの性格像に表れている。解説を読むと更に興味深いが、ここに当時の偏見とも言うべき人物像が写されている。 他、印象的な言葉の引用 ・「外観というものは、すべてひどい偽りかもしれぬ。そして、世間という奴は、いつも虚飾に欺かれる。世の虚飾とはすべて、魔の海へと人を誘う偽り多い岸辺でもあれば、また黒いインド美人の顔を隠す、美しい顔覆いでもあるのだ。」 ・「外観によりて選ばざるもの、汝にこそ幸運は常にあり、選択もまた正しからん。かかる幸運の汝に帰せし上は、足るを知りて、ゆめ新を求なかれ。」続きを読む
投稿日:2021.03.17
宮本龍一
シェイクスピアで初めて読んだ作品。 悲劇作品かと思ったが、典型的な勧善懲悪ものであった(ように感じた)。 ユダヤ人差別が露骨に描かれていて、当時のシェイクスピアがどういう思いで書いたのかはわからないが、現代人の自分から見たら一種の風刺作品のようにも思えた。終始悪者扱いだったシャイロックがまた違った結末を迎えていたならば、作品は全く違った様相を呈したのだろう。
投稿日:2020.03.26
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