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羽場楽人, 笹森トモエ / 電撃文庫 (1件のレビュー)
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domarin
個性的な新キャラクターが多数登場しているので、新鮮な雰囲気を味わいながら読み進めることができる。学園での生活を描くに、新たに学園でライバルを設け、そのライバルとも秀春を関わらせていくのは、主人公の秀春…が子どもたちと関わる中で導くスタンスをうまく描写するのにつながっている印象で良い。 しかし一方で、前巻から継続して登場するキャラクターの活躍が非常に限定的になってしまっている印象を受ける。唯一冬矢は職業上都合が良いのでそれなりに関われているが、他のキャラクターは登場はするものの、全くシナリオの中心に関われていないのが残念に思う。 そのように感じさせる理由はおそらく、魅力のある新キャラクターが出された理由が、秀春の過去を語ることが中心であるためではないだろうか。現代で再会して現代で話を進めているのに、秀春に過去を振り返らせるだけに終始してしまっている印象を受ける。 そもそも、この2巻のエピソードを単体として考えたとき、現代に起きている事件の盛り上がりが大きくない。前巻から出ている「消失した正午」のエピソードを詳しく表したかったのだろうが、それならば響示の目的をしっかりさせて、より密接に現代の事件と絡ませて欲しかったというのが正直なところである。 とはいえ、現代の話としてヒナコと秀春の関係性を相互に深める点は良かった。次巻はその関係性を活かすためにもっとヒナコが動く話を期待したい。 全体に関わるところではないのだが、タイトルにもなっている「虹」という言葉がしっくりこない点はどうしても気になってしまうので書いておく。作中象徴として使われているのだが、作中においてなぜ魔術を使う者たちがそのように呼ぶのか、という描写は地の文にあるのみだ。登場人物たちの感情描写の中で説明されないので、その言葉が持つ重要性を読者として感じ取ることができない。前巻にも特になかったような気もするし、どうもそう表現したいからそうしただけ、という感が否めない。次巻以降もキーワードとして使われるだろうので、より魔術を使う人にとっての虹の意味をもっと踏み込んで描いて欲しい。続きを読む
投稿日:2017.10.01
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