【感想】絶対城先輩の妖怪学講座 十

峰守ひろかず / メディアワークス文庫
(5件のレビュー)

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  • goya626

    goya626

    内田百閒の小説に「件」というのがあって、結構不気味なのだ。顔が人間で体が牛。禍の予言をしたら死んでしまう。そういう予言をする妖怪たちを巡って物語は展開する。件は勿論、あのアマビコも出てくる。アマビエじゃなくてアマビコというのが正しいらしい。件に関するウイルス説はとんでも解釈だなあ。無茶苦茶やってるけど、意外と説得力があったりする。背後に白澤の存在がひしひしと迫ってくる。礼音と絶対城の仲はかなり進展して来たねえ。続きを読む

    投稿日:2023.04.03

  • isutabi

    isutabi

    【感想】
    ・謎だった白澤が少し見えてきて、意外に小物っぽい。

    【内容】
    ・クタベ、神社姫、件(くだん)、磯女、アマビコ、おまけは件(けん)。今回は予言系かな。アマビエさまとかいっとき話題になったので今読むのはタイムリーなのかも。
    ・贋予言者事件がクリアした後、礼音は牧場で短期のアルバイトをすることになった。
    ・不法投棄が横行している海岸に妖怪らしきものが出るというウワサ。
    ・件ウイルスを狙ってどうやら白澤が動いたらしい。

    ▼文学部四号館四階四十四番資料室についての簡単なメモ(妖怪については基本作中の説明によるので一般的な説とは異なるかも?)

    【アイビー】東勢大学内の喫茶店。第一学生食堂より値段は高く量は少なく客層はおしゃれで華やか。
    【晃】→櫻城晃
    【朝霧シアン】謎の少年。高校生くらい。頭脳明晰で運動神経も抜群。読んだ人はまず河童かもしれないと思うだろう。でも、河童はある意味創作された妖怪ということやし?
    【アマビコ】予言する。人面鳥身か人面獣身が普通。鳥型で三本足などのバリエーションもある。「アマビエ」は伝承エラーと思われる。柴田さんが出会う。
    【礼音/あやね】→湯ノ山礼音
    【蟻】この話のなかで皆で合体して子どものような姿になる蟻が出てくる。ホンマにおったら珍アリとしてテレビの科学系、自然系の番組で引っ張りだこやろなあ。
    【いくち】第二巻に登場。
    【磯女】海岸でびしょ濡れの女がいきなり近寄ってきて奇声をあげ髪の毛で血を吸う。
    【糸倉】大日本護法息滅会のメンバー。じつは・・・
    【今村】映画研究会の部員。
    【牛鬼】概ね危険な妖怪。伝わる地域によって姿かたちがバラバラでまとめにくい。水中の妖怪としては河童よりも古い。牛鬼と言えば宇和島あたりだがわりと広く分布していたらしい。
    【牛女】牛の顔に人の体。
    【空木淳郎/うつぎ・じゅんろう】紫の知人。おそらく元恋人。森林保護に携わっている腕のいい樹木医であり植物学者だったが森林に撒かれた有害物質の調査に行き身体を壊した後過激な考え方に変化した。行方不明。
    【馬鬼】第一巻に登場。不慮の事故で死んだ馬の霊が妖怪化し不幸を招く。
    【梅木】まきはら牧場の従業員。
    【映画研究会】専門はホラーとアクション、バイオレンス。高尚なアート系はシネマ同好会の領分。
    【遠藤】映画研究会の部長。
    【オオカミ】山の信仰とセット。
    【大柴】映画研究会の副部長? 茶髪で猿っぽい顔の人。
    【大入道】禿頭の巨人。
    【大百足】第二巻に登場。
    【大蛇】第二巻に登場。
    【鬼】牛のような角を生やし虎のパンツをはいているのはウシトラの方角すなわち北東、鬼門が不吉だからだそうだ。あのクラウス教授をして「鬼には手を出すな」と言わしめた恐ろしい存在のようだ。
    【織口乃理子】国文科准教授。28歳だが20歳そこそこにしか見えないお嬢様っぽい美女。大学創始者の一族だが今は絶縁しているもよう。一時期敵対していたが、後に協力者(?)となる。真怪二口女だが特にこれといった能力はない。
    【御場島/おんばじま】ダイダラボッチ神像とかかわりがあるらしい火山島。島全体がダイダラボ講を信仰している。真鎧鉱業の研究所がある。Y県伍来半島(ごらいはんとう)沖六十キロにある。

    【ガイラゴ】ぶよぶよした肉体の妖怪。第四巻に登場。漠然とした恐ろしい妖怪のひとつ。
    【香宇良山/かうらさん】かつてクラウス教授が謎の集団に脅迫された山。W県にある。
    【河童】超有名な水妖だが創作された妖怪に近い。鬼が古代、天狗が中世を代表する妖怪なのに対して河童は近世を代表する。発生当初から人間より弱い存在という設定らしいが櫻城紫さんの説では自然(特に水関係)に対する人間の感覚が江戸期には、畏れつつも最後には支配できるというふうに変わってきたからではないかとのこと。もともとあった河童的存在のイメージに人間があれやこれや付け加えた結果、今の姿になった。医療・薬学とも関わりが深い。
    【鎌鼬】第三巻に登場。有名妖怪。民間伝承系でしぶとく生き残っている。真空説はあり得ない。
    【神隠し】人が突然行方不明になる現象の総称。さらうのは神とは限らず妖怪など人知を超えた場合をそう呼ぶ。誘拐も多かっただろうが、蒸発・家出も多かっただろうと個人的には思っている。絶対城もそう考えているようだ。
    【唐紙キブンゴ】老マジシャン。
    【川端恭介】礼音の地元での二学年先輩。日奈美の恋人。おとなしい性格。今のところ登場はしていない。
    【川坊主】ぬめぬめした体表を持つ人型の妖怪。第四巻に登場。河童の亜種。人を見ると襲ってくる。エンドウ豆が苦手。
    【考える】知らなければ考えろ。 第二巻p.21
    【着ぐるみ】《男はな、着ぐるみに入ったら、女子に接触したくなる生き物なんだよ。これはもう自然の摂理だから仕方ない。》by大柴、第五巻p.91
    【杵松明人】理工学部の三年生。絶対城の友人にして協力者。すごく聞き上手で人あしらいがうまい。元演劇部。「ロマンとセンチメンタリズムは人生を彩る大事な要素だ」第四巻p.317。
    【木村茂吉】小久保荘の営繕担当。節足動物ラヴァー。
    【きよ】はるか昔の兵部家の当主で、河童と闘い腕を切り落とした。
    【京極夏彦さんとの違い】京極夏彦さんの作品とものごとを解決させる方向性は近いが、テイストは異なり、こっちはおどろおどろしい感じはほぼなくあっさりと軽くてドタバタしてる。コケオドシがないので好ましくはある。
    【清姫】安珍清姫の清姫。彼女も鬼の一種。
    【葛木葉子/くずき・ようこ】文学部一年の気弱そうな女子学生。とある依頼に来た。名前からしてお狐さまの関係者。
    【汲陀部全/くだべ・ぜん】よく当たる占い師。
    【件/くだん】予言してすぐ死ぬしゃべる牛。最大の特徴は生まれてから死ぬまで人の前で行われること。人のような牛ではなく、人と牛がセットになることで成立する予言かもね。
    【クラウス・インフォレスト】絶対城の師匠。紳士的にだが、美女はとりあえずナンパする。文学部四号館の正式な持ち主。フィールドワークが好み。密教系古武道の達人。正体は自称・・・。「声を荒げた時点であらゆる議論は終了となる」第三巻p.122。
    【倉ぼっこ】座敷わらしの一種で倉にいる。
    【外道院/げどういん】孤高山にある寺。どうやら「だます」ノウハウを教えてくれる施設だったらしい。
    【玄葉翔/げんば・しょう】詐欺師のグループに襲われていたのを礼音が救った高校生。祖父が金持ちで狙われているらしい。
    【光陰】罵王院光陰。大日本護法息滅会のトップ。自称「憑きもの」。昨年まで東勢大学工学部バイオ資源学科の大学院にいた。担当教授は真萱/まがや。今は退職。本名は番場尚敏。
    【コーポ・ネオ苗代】礼音が入居している集合住宅。大学から自転車で二十分。いろいろ不便な位置にあるので家賃はお手頃。
    【小久保日奈美/こくぼ・ひなみ】礼音の地元での友人。今はひなびたしかし通好みの温泉宿小久保荘の若女将。
    【孤高山/ここうざん】旧名。高くも低くもなく交通の便がわるい無名の山。外道院(げどういん)という寺がある。
    【九日霧子/ここのか・きりこ】女詐欺師。玄葉翔クンの祖父を狙っているらしい。
    【こそこそ岩】しゃべる鉱物性妖怪。
    【駒引川】櫻城紫の屋敷の近くを流れる川。河童が出る。なるほど、やからその名前か。最近開発計画が出ている。

    【三枝】東勢大学の学生。大日本護法息滅会に関心あり。
    【櫻城晃/さくらぎ・あきら】絶対城が妖怪学にのめり込むきっかけになった女性。鬼について調べていたがそのせいで殺された可能性がある。実はとある真怪。櫻城紫の妹。長身の礼音よりも背が高い。《知らずに不安がるより知って苦しむ方が好きなの。》第七巻p.256。《当たって砕け!》第七巻p.257。
    【櫻城紫/さくらぎ・ゆかり】非の打ち所のない美人。礼音は彼女にコンプレックスを抱く。絶対城いわく「同好の士」。大学と同じ市内のようだが人里離れた感じの深泥淵(みどろぶち)の傍らに建つ屋敷で暮らしている。茶道櫻城流宗家の令嬢にして櫻城流の家元でもある。河童専門のアマチュア研究家として絶対城も一目置く。
    【座敷わらし】家に出る、子どもの姿をした妖怪。初めて記録に出るのは明治に入ってからと意外に新しい。《二十一世紀になってもなお噂が生まれ続ける、現役の妖怪》第七巻p.20。無人になった住居が増える限り座敷わらしも増える。座敷わらしがいて、それが去って集落自体が衰退し廃村になるというパターンがありそうだと絶対城は推測している。
    【沢渡冬二郎/さわたり・とうじろう】櫻城さんちの庭師。
    【しかみ】恐ろしい顔をすることで鬼神に近づく。糸倉は自分たちを「しかみ衆」と読んだ。
    【七人みさき】第二巻にちょっと名前が出てくるけど、個人的には昔からあれがけっこう怖い。なんでかわからないけど。いつかメイン妖怪として出てくるだろうか? まあ、あれを妖怪と呼べるならやけど。
    【酒天童子】ビッグネーム。元々が妖怪なのか、鬼なのか、ゲリラ組織、テロ組織なのか、盗賊団なのか、ただの怖い人間なのか、あるいは正義の味方だが中央にとってはおもしろくなかった連中だったのかよくわからない。この話ではなんらかのシステムの頂点のようだ。体制とは別の視点で日本を守っているらしい。かつて体制に倒されたわりに体制と協力することもあるらしい。
    【樹木信仰】比較的新しい文化。元々はただ建材としてしか見ておらず奈良時代前後に寺社建立のため巨木を伐りすぎレアになった後に生まれたらしい。
    【城之内】映画研究会の女性部員。
    【白尾根】隣の市の小さな町。雪女が出る。
    【しろまくれ】第三巻に登場。はしてないけど名前は出た。それに例えたせいで礼音を怒らせた。
    【真怪】ほんとうの妖怪と分類されるもの。中には怪異を操る「技術としての真怪」というのもある。登場人物の中では主人公のひとり湯ノ山礼音、織口乃理子、櫻城晃。
    【真怪秘録】幻の本。この物語の中心になっていると言える。絶対城が追っているものとも言える。
    【神社姫/じんじゃひめ】予言をする妖怪のひとつ。顔は美女、あとは魚。姫魚とも呼ぶ。海に現れ予言し自分を描いた絵をお守りにしろという。
    【スカイJ】最近流行っている合法ドラッグ。東勢大学にもやってきた。価格は安く効果抜群のわりに肉体的には害がないと言われている。話の流れからすると、とある樹木医が関わっているのだろうか。あと、もしかしたらとある妖怪専門ライターも?
    【杉比良湖奈/すぎひら・こな】座敷わらしに襲われたと思ったら妖怪専門ライターだった。エヴァのミサトさんのイメージくらいかな。より劇的にしようとして盛って書くわけだが(捏造)それはそれで妖怪に対する正しい記録方法ではある。かくして妖怪には尾ひれがついていき曖昧な存在になっていく。
    【絶対城阿頼耶/ぜったいじょう・あらや】文学部四号館四十四番資料室に住まうワイシャツに黒の羽織で黒色の長身の怪人。妖怪に詳しい学生。バリトンボイス。スポーツは嫌いだがフィールドワークで山歩きには慣れている。改名しているらしく、その名の由来は井上円了の文章のようで、絶対城はあらゆる知識の集まる書庫のこと、阿頼耶は最も深い場所くらいの意。本名というか元の名前は不明。クラウスは知ってるようなので過去にあったらしい出来事のときに変えた可能性が高い。実家は政治家を輩出する家柄。礼音は「先輩」と呼び、杵松は「阿羅耶」と呼ぶ。
    【創作妖怪】絶対城は創作された妖怪にはそう大きな関心を示さないが、創作物であっても多くの人のイメージとしてあるのなら、脳内にいるのなら、いつかそれら多くのイメージがかたちをなすこともあるかもなあとか思う。AIM拡散力場みたいに。
    【蒼空/そら】小学五年生。礼音が通う市営スポーツセンター二階の柔剣道場で合気道を習う受講仲間。船幽霊を目撃してしまった。礼音のことをコーチと呼ぶ。

    【第一学生食堂】通称「いっしょく」。礼音御用達。
    【ダイダラボ講】御場島で信仰されている。初代鎮女となったシズさまの命を捧げた願いに応え女神ダイダラボッチが火山噴火を抑えてくれているという伝説がある。
    【大日本護法息滅会】宗教団体。東勢大学から車で二時間半ほどの山間の朽縄町にあり、教祖の光陰は大学のOBで昨年まで理工学部の院にいたらしい。
    【高岩】とある若手政治家のボディーガード。
    【竹上行哉/たけがみ・ゆきや】依頼人。勘違いしたイタリア人またおに大袈裟で軽い人物。不特定多数の女性への愛に生きている。
    【立見菜月/たつみ・なつき】薬剤師。四十歳手前くらい。白尾根の温泉で出会った。天寺市の兵部製薬で働いていた。
    【多邇具久/たにぐく】蛙を神として敬うときの呼び名。特に知恵の神としての性格を強調するとき。農業国の日本では蛙が田の神とされることも多い。
    【憑きもの】第四巻に登場。大日本護法息滅会のトップ、光陰が使うとされる。飯綱使いとか管キツネなどのこと。光陰はトウビョウ(小蛇の集団)を使うらしい。持ち主の意思を反映して勝手に働いたりする。おおむねいい目にあっているヤツへの社会的制裁として「あいつは憑きもの」だとレッテルを貼る形らしい。「今日はついてる」と言ったりするのはこの憑きもののことなんだとか。
    【付喪神】第一巻に登場。長く使われた道具が変じた妖怪。
    【土蜘蛛】第一巻に登場。人を襲う蜘蛛妖怪。けっこう強力な妖怪として描かれることが多い。
    【釣瓶下し/つるべおろし】人魂のようなものが上下に行ったり来たりする。バリエーション多し。
    【手品】妖怪学と近い方向性を持つので絶対城はその手の資料も多く持っている。九巻では手品師との対決? 人は心地よく騙されたいという欲求を持っていると思う。フィクションの小説も、妖怪話も、手品も。心地よくという一点で詐欺とは異なる。宗教は微妙なところ。
    【天狗】第三巻に登場。超ビッグネーム。公的記録にも民間伝承にも現れ、歴史も長く、さまざまな様相で描かれる。絶対城先輩の暴くその正体は・・・
    【東勢大学】舞台となる私立大学。天寺市(てんじし)にある。古い施設を流用して創られており怪しい噂がいっぱい。
    【鳥山石燕】妖怪画集で有名な絵師。オリジナル妖怪を入れたり、名前をより印象的なものに変えたりしているので絶対城の評価は微妙なところがある。
    【ドレス】礼音が絶対城をしばらく居候させた礼に買ってくれた。礼音いわく《あんな王室主催フラメンコ大会みたいな服》第四巻p.77。
    【泥田坊】第四巻に登場。メジャー妖怪だが鳥山石燕の創作なんだとか。当時の誰かを風刺したものらしいが昔からの伝承と創作妖怪を区別なく並べたために同列に扱われるようになった。ご近所に似たようなのが出没しているらしく小学生の間では「ドロドロ」と呼ばれている。

    【ナメラ筋】位置的な妖怪。超常的な存在が利用する道。ナメラとは一般的には蛇のことを今するらしい。
    【南郷蒼空/なんごう・そら】→蒼空
    【ナンジャモンジャ】正体のわからない大木でかつ畏怖を感じさせる神々しさのあるものの総称。
    【鵺】第三巻に登場。その正体は・・・
    【ぬらりひょん】第一巻に登場。頭が大きくて背丈の低い老人の姿の妖怪。「妖怪の総大将」的な言い方は後付けの設定だとか。
    【粘菌】南方熊楠で有名になった、かなりおもろい生物。第四巻の重要ファクター。
    【ノタバリコ】座敷わらしの一種。低級。屋内を這いまわるらしい。
    【のっぺらぼう】メジャー妖怪。闇夜の象徴。意外なところで登場。この話の中では、相手の持っているイメージを利用して、幻覚で変身しているように見せる能力を持っている。

    【白澤】なんでも知ってる妖怪。白澤書房ってのが前の巻(第七巻)からチラチラと。どうやら次の「悪の組織」かも? 妖怪に関する情報で利益を得ているようだ。「鬼」が意外に大したことなかったので期待。白澤は「しゃばけ」にも登場。「鬼灯の冷徹」では神獣って感じかな。
    【破多破多/ぱたぱた】ぱん、という音が聞こえるが音源を探しても見つからない現象の妖怪化。
    【春田】市営スポーツセンターで合気道を教えている師範。
    【一つ目小僧】メジャー妖怪。第四巻に登場。絶対城は月を擬人化したのではないかと考えている。
    【判断】「それを決めるのは本人じゃないさ。判断するのはギャラリーだ」第二巻p.40
    【ひょうすべ】河童の仲間。古いタイプ。いっこ下の兵部って音が近いな。神話伝説系では音には意味があることが多いのでたぶん関係あるんやろな。
    【兵部統子】天寺市市会議員。駒引川を開発しようとしている。兵部製薬の一族。駒引川開発は誰が考えても赤字になるので企業と議員の癒着は取沙汰されていない。他者に命令したりすること自体を好むタイプと織口先生は言う。男の権力者に多いタイプ。「若いチカラ活用プロジェクト」を推進している。
    【広人】そらくんの友人。合気道を習っている一人。
    【神籬村/ひもろぎむら】廃村。座敷わらしが出るというウワサ。開拓されて十年ほどで捨てられた。スケール感の狂う超巨大なクスノキがある。他に正体不明の物音が聞こえることがあるらしい。
    【フォーシング】手品師が自分の好きなカードを相手に引かせる誘導術。
    【二口女】『絵本百物語』の中にしかでてこないが別名「食わず女房」、こちらは全国に伝わっている。後頭部に口がありそこからものを食べる。胃袋はひとつなのだから口が多いからといって大食いになれるわけではなかろうにと昔から思っていた。
    【船幽霊】第二巻に登場。
    【ふれあい牧場】白尾根で雪女の話を聞いた寺の隣にかつてあった動物園と牧場の中間のような施設。動物虐待をしていたらしく、管理も甘く苦情が多かったからか夜逃げした。
    【プレステージ】マジックパブ。プロの手品が見られる洋風酒場。今は廃墟。
    【べとべとさん】第一巻に登場。足音だけがついてくる追跡系の妖怪。あるフレーズを唱えることで去ってゆく。
    【方相氏】鬼を追い払ったりする。
    【星川】海洋生物学専門の小柄で童顔で気弱そうな女子学生。理工学部のバイオ資源学科四年生。船幽霊事件で関わった。見た目に反してイヤなことはテコでもやらない強さも持つ。いつか礼音のライバル? になるかも? 「恐竜とかマンモスとか、単体で強い生物って、意外とあっさり滅びますから……。弱くて小さくて小賢しい方が、結果的には有利なんですよ……?」
    【本田】まきはら牧場の最古参。

    【真鎧辰彦/まがい・たつひこ】御場島の研究センター所長。同族会社の真鎧鉱業では傍流で実質的なトップは本家の龍成。
    【真鎧龍成/まがい・りゅうせい】織口の婚約者。同族会社の真鎧鉱業では本家筋で常務。ちやほやされて成長してきたので傲岸不遜な人間となっている。
    【真萱鋭吉/まがや・えいきち】東勢大学で研究室を持っていた生物学者。粘菌が専門。憑きもの使いの血族らしく、その教え子がトップを務めている大日本護法息滅会と何らかの関わりがありそうな感じ。
    【間刈/まがり】市営スポーツセンターで剣道を教えている警官。厳格で短気な性格。
    【蒔原恭介/まきはら・きょうすけ】農家。東勢大学農学部のOB。有限会社まきはら牧場を経営している。乳牛九十一頭を飼育し牛乳の半分は卸に、残りの半分はメーカーや業者への直接販売。カンがよい。Y県橋倉市の柴田山にある。ダイダラボッチの御場島(おんばじま)もY県だったが同じ県か?
    【薪原恭三/まきはら・きょうぞう】恭介の父。足を痛めて入院して人手が足りなくなったので礼音がバイトすることになった。
    【蒔原理佳子/まきはら・りかこ】恭介の妻。元獣医。研究者で分子生物学、動物の感染症とウイルスが専門だった。
    【真久間トヨ】ダイダラボ講の当代の鎮女(しずめ)。
    【見越し】第二巻に登場。
    【水木しげる】民俗学的伝承のある妖怪と、鳥山石燕などの創作した妖怪を、おそらく意識的に混在させて紹介し、そのことで最近の妖怪観が決定づけられたと絶対城は言う。
    【南戸茉利奈/みなみど・まりな】専業主婦。とある占い師にハマリ中。若林君の農学部の先輩の義理の姉。
    【海晴/みはる】蒼空(そら)の友人。小学六年生。市営スポーツセンターで剣道を習う美少女剣士。鎌鼬の被害に遭った。
    【都川】Y県警本部長。白澤に使われているようだ。
    【狢屋金鳥/むじなや・きんちょう】消息不明になっている芸人。声帯模写が異様に上手かった。
    【目目連】いっぱい目がある妖怪。鳥山石燕の創作。
    【門】平安京の門、有名どころでは羅生門や朱雀門ではおにがよく出る。内と外を隔てる境界だからということだそうだ。ただあくまでも象徴なので門はあっても防壁とかはなかったらしい。

    【夜行さん】第二巻に登場。
    【柳田国男】妖怪という現象がいったいどういう存在であるのか、実際にいるならばどういう現象であるのか現代人の目で見直した井上円了に対し、柳田国男は妖怪が伝わってきたということ自体を、その背景を重視した。ある意味人間を主体に考えているということか。井上円了へのアンチテーゼ的なところがあるので円了の考えを踏襲しているところがある絶対城にとっては微妙な位置付け。
    【山姥/やまうば】第三巻に登場。個人的には「やまんば」と呼んでいたが「やまうば」が正式? 絶対城によると民間で広まった伝承ゆえに鬼や天狗に較べより直接的な怖さがある。恐怖をもたらす者であると同時に善性を抱くこともある不可解な存在。
    【ユーレイ】絶対城は湯ノ山礼音をこう呼ぶ。
    【友香/ゆか】礼音と同じ学部の友人。
    【紫/ゆかり】→櫻城紫
    【雪女】ラフカディオ・ハーンの雪女が秀逸すぎてイメージが固まってしまったが、多くは出会った人間をいきなり殺す。いろんな話が混じりやすいタイプ。
    【湯ノ山礼音/ゆのやま・あやね】語り手。ヒロイン? 大学一年、経済学部。長身でツルペタ系の女性。たぶん、うまくすれば男装の麗人ふうになれると思う。絶対城先輩はユーレイと呼ぶ。とある妖怪の末裔らしくサンプルとも呼ぶ。能力を解放したら凄いんやけど普段は解放していたくはなく、そのためには絶対城先輩の作る(怪しい)アイテムが必要でほぼ下僕扱いされている。趣味と特技は合気道。蒼空くんいわく《コーチには女子のことは分かんないだろうけど》第六巻p.81
    【妖怪】個人的に考えているだけだが、妖怪は概ね、人間が主に自然(および自然現象)と折り合いをつけるため、そのズレを埋めるために発生したのかなと思っているので絶対城先輩のやり方は本来のありように合ってるんだろうと思う。
    【妖怪学】井上円了がつくった学問。その意図は妖怪という怪しい存在に理性の光を当て、そのバックボーン、背景に隠されたものを探ること。要するに妖怪なんていないと証明したかったってことかと。それは時として不都合なことを隠蔽してきた権力側にとってまずいことでもあり、それゆえに危険でもあった。
    【妖怪学の意義】礼音がいつか誰かの役に立つかもしれないと言って、ある程度絶対城先輩が納得したみたいなのが不思議。そんなもんとはちゃうでしょ? よっぽど弱ってたのかと思ったら、そうでもなかったみたいやし。ちょっとキャラがブレてたかな。
    【妖怪の分類】井上円了が提唱したらしい。生物などを見誤った「誤怪」、捏造された「偽怪」、自然現象などを超自然と思い込む「仮怪」(その中でさらに物理的実体に由来するものを「物怪」、心理的要因に由来するものを「心怪」)、そして「真怪」はほんとうの妖怪。
    【ようこ】まきらは牧場の牛。人懐っこい。ジャージー種。
    【予言獣】予言する怪異の総称。件、アマビコ、クタベ、神社姫など多数。

    【ルナール尾坂部】手品師。唐紙キブンゴが初めて会ったときは鯰団三郎(なまず・だんざぶろう)の助手だった。天才だったが新しい技術を求めすぎ客に後遺症が残りかねない危険なトリックも平気で行い周囲から非難され姿を消した。《ルナールと先輩って、やっぱり似た者同士なのかも。》第九巻p.239。
    【霊】妖怪は自然発生だが霊は人工的なもので深みが違うらしい。それは、ぼくもそう思ってる。
    【六条清香/ろくじょう・きよか】小学生。竹上の英会話教室に通っている女子グループの一員。蒼空くんいわく「ロードオブザリング」みたいなかっこいい名前のスポーツをやってたらしい。って、六巻第二章の答え、それだけでわかるやん。

    【わいら】第三巻に登場。名前と姿だけはいくらか流布しているがバックボーンを持たない妖怪。どうやら無名の絵師の創作かもしれない。
    【若いチカラ活用プロジェクト】兵部統子市会議員が推進している。大学生などの能力を地域振興に使おうというプロジェクト。織口先生は反対している。
    【若林直央/わかばやし・なお】東勢大学農学部一年で小柄で童顔、中学生くらいに見える。絶対城不在のときに依頼を持ってくる。
    【笑い女】第三巻に名前のみ登場。
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    投稿日:2021.07.22

  • ちこ(´・ω・)

    ちこ(´・ω・)

    「クタベ」
    越中(今の富山県)の山中に現れたとされる妖怪。
    予言幻獣である人面獣身のの妖怪であり、絵姿の描かれた護符を厄除けとして配る。
    個人的に詐欺をやるのは勝手だが、適当に知識をつけた程度で妖怪の力を名乗るのは本当にその力を持つ人に失礼に思えるな。

    「神社姫」
    肥前国(今の長崎県)などの海辺に現れたとされる妖怪。
    予言獣に分類され海に出る幻獣の代表格で、別名姫魚という。
    何かしら居るような雰囲気の中、何も無かったように振る舞う二人の様子も気になるが最後の過剰なまでの反応の方が何やらありそうでとても気になるな。

    「件」
    関西から九州にかけての広い範囲で江戸時代から昭和に至るまで語られた妖怪。
    漢字から生まれた妖怪という説が強く、人編に牛と出来ているから人と牛の合体だと考えられた。
    ウイルスによる変化と言われたらとても納得はいくが、やはり予言したという点が何故ここまで浸透したのかは気になるな。

    「磯女」
    各地の沿岸に伝わる若い女性型の妖怪。
    濡れ女や濡れ女子とも呼ばれ、近づくと鼓膜を刺すような鋭い声で叫び、その髪が絡みつく。
    誰にも見られない間に不法投棄を繰り返し綺麗だった場所を荒らせば、それ相応の罰が当たる事ぐらい覚悟してやるべきなのでは。

    「アマビコ」
    江戸時代後期から明治時代初頭にかけて広く語られた妖怪。
    海岸などに現れる幻獣であり、容姿は色々で人の顔に鳥のような胴体であったり、三本足の人面獣身の怪物だったりする。
    たった数人しか知り得なかった情報を手に入れ、尚且つ国家権力を利用し奪いにくるような相手は一体全体何者なのだろうか…。

    「件」
    「簠簋内伝」の注釈書である「簠簋抄」に記された説話に登場する存在。
    なんだか雲行きが怪しい終わり方だったが、彼の記憶の空白は無事なのだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2019.03.15

  • mui-mui

    mui-mui

    少し重たいエピソードの途中にあたる巻なんだけど、比較的このシリーズのベーシックな形に戻っていて、ある意味和める巻だった。次は色々重そうですが。

    投稿日:2017.12.23

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    【ついに付き合うことになった礼音と絶対城。そんな二人に、『白澤』の手が迫る──。】

    『白澤(はくたく)』に襲撃された狐からの情報を受け、警戒を強める絶対城たち。そんな中迎えた夏休み。つきあって初めての長期休みにもかかわらず、礼音は一人、牧場で短期のアルバイトに励んでいた。
     優しい夫妻が営む牧場を気に入る礼音だが、いるはずのない子供の影を見てしまう。心細さを感じつつ、休日に近くの川で水浴びをしていると、そこには礼音を心配した絶対城の姿が。二人は牧場主夫妻の発言に疑いを持ち始め──?
    “予言”に纏わる妖怪たちの謎に迫る第10巻!
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    投稿日:2017.09.01

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