【感想】職業としての地下アイドル

姫乃たま / 朝日新書
(15件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • のもん

    のもん

    地下アイドルでライター、というのにひかれて読んだ。
    アイドルライブはライブハウス側にとって収益が高いんですね。
    簡単なきっかけからアイドルの道に進めること、
    新人でもすぐにかなりの数のライブを行えるというのに驚いた。
    どんなアイドルにもファンがつくのも凄い。
    ファンの側の、受け止められる範囲の大きさ、柔軟さ、行動力の高さにも驚く。
    ライブという現場で、人が入れ替わっていく流れはあるだろうけれど
    そこにしかない時間、経験、双方が要求を満たしあえる関係というのが、
    ちゃんと現場の視点で分析されていて面白い。
    内部にいる当事者がちゃんと文章で伝える力を持っているのはありがたい。
    続きを読む

    投稿日:2021.03.08

  • まふ

    まふ

    職業としての地下アイドルを知ることが出来ました。

    なぜ、地下アイドルになったのか。
    なぜ、地下アイドルを応援するのか。

    知らない世界を知ることが出来たし、想像してたよりも悪くない素敵な世界かも知れない。続きを読む

    投稿日:2020.07.25

  • 宮本知明

    宮本知明

    アイドル戦国時代は、有名になった彼女たちに追いつけ追い越せとばかり下克上を夢見る女の子やアイドルを運営してみたい人々が、次々に活動を始めたことから幕を開けた。誰でも地下といえどアイドルになれる時代。地上のアイドルに比べ、パフォーマンスは劣るものの、距離感の近さは独自の文化を咲かせている。地下アイドルの世界は、演じる人、観る人、双方に自分にも居場所があることを確認させてくれる。陰の部分もあるが陽のあたるところもある。今後どんな風に花開いていくのか。見守って行きたい。続きを読む

    投稿日:2018.10.28

  • mokunokami

    mokunokami

     標本調査としての社会調査と任意の「アンケート」を混同して単純比較するという方法上の問題はあるが、現役の(本書刊行後に結局辞めたらしいが)「地下アイドル」(インディーズアイドル)による「内側」からの「地下アイドル」論として貴重な成果ではある。特に「地下アイドル」のみならず「地下アイドル」ファンに対しても客観的な分析を行っているのが注目に値する。アイドル側(ほぼ女性ないし「女性性」)の自己肯定感の低さと承認欲求の強さに対して、ファン側(ほぼ男性)の幸福感の高さと相対的な裕福さが際立つが、これは客観的には、アイドル産業があくまでもジェンダー差別における優位者(男性)による劣位者(女性)からの「やりがい」搾取によって成立していることを示唆している。続きを読む

    投稿日:2018.09.16

  • ドラソル

    ドラソル

    地下アイドルが、自身の体験だけではなくアンケート結果などから地下アイドルとそれを取り巻く状況について解説した一冊。

    アンンケート結果などもあったが、予想よりも学術的で、地下アイドルについて今までよりも深く知ることができた。続きを読む

    投稿日:2018.07.08

  • nt

    nt

     現役「地下」アイドルが、自らの体験とアンケートに基づき、アイドルとファンたちのえがく諸相をあぶり出してくれる、現在の私にとって非常にタイムリーで、興味深い本だった。
     私は同じインディーズでも、どちらかというとシンガーソングライター(SSW)ないし、歌主体のシンガーのライブを楽しんでおり、たまにアイドル系の出演者も混じるブッキングライブに行くと、アイドルのファンらしい一群による、演奏中のかけ声(コール)やら動き(オタ芸)に激しい違和感を覚えると共に、いったいどういう世界なんだろうと興味も持った。
     最近大石さんとかいうアイドル系の人物が「タダでシンガーの写真を撮ろうとする」などと「SSWおじさん」を批判する発言をネットで訴えたのが話題になった。しかし演者を撮影するのに、「チェキ」などと言ってお金を取ることの方がアイドル界隈だけの特異な習慣であり、大石さんの発言は倒錯している。
     また「SSWおじさん」が頼みもしないのに歌い方のアドバイスをしたがる、などと批判している。確かに頼まれもしないのにアドバイスするのはおせっかいだしマナーとして問題があり、私ならそんなことは決してしない。けれどもここにSSW系とアイドル系との価値観の違いが露出している。
     SSW系の客はあくまでも「音楽を聴くこと」を目的にしているのであり、シンガーは音楽的な探究に励んでいる者として見られている。だからシンガーという人格は二次的な要素である。あくまでも音楽が一番だ。この価値観はクラシックやジャズと同じである。
     対して、アイドル系の世界では、音楽は「利用されるものの一つ」に過ぎない。アイドル界での第一の価値は、アイドルの「キャラ」であり、その記号論的な価値形態である。だから、ファンたちがシャウトしたり、数名で円陣を組んだりするとき、彼らはアイドルの歌を聴いていないしダンスを見てもいない。アイドルファンのアイドルへの接し方の絶対的な「やさしさ」は、彼らがアイドルの「キャラ」を神話的価値として崇めているのだから当然だ。
     興味深いのは、アイドルが歌っているときファンが円陣を組む様子が、民族音楽の古層において、音楽と共に民の儀式的な意味を持つ踊りが繰り広げられる様と似ていることだ。ここでは音楽の演奏者と音楽と民衆が、儀礼的・呪術的・宗教的な社会システムの体現として配置されている。アイドル界のアイドル-音楽-ファンの図式は、きっと人類学的・社会学的に有意なモデルとして解されるべきなのだ。
     以上、いきなり私の経験にもとづく考えを書いてしまったが、そのような興味で本書を読んだ。
     普通の女の子たちが何故地下アイドルになったか、何を考えているか、ファンたちとの相互依存的な関係とはどのようなものか、など次々に興味深いファクターが記述されており、非常に貴重な本である。
     著者自身がおこなったアイドル、ファン各100名ほどのアンケートの分析が本書の主体となっており、公的な「若者へのアンケート」結果と比較してアイドル界の特徴を抽出しようとする。もっとも100名ほどのアンケートというのは私にはちょっと分母が小さいように思えた。なんとかして1000名くらいのアンケートをやってみてほしい。
     アイドルと一般の若者との意識の違いはほとんど微細なものであり、明らかな特徴とまでは言えないような、微妙な気がした。
     著者は地下アイドルの欲望の中心として承認欲求を、対してファンの欲望の認知欲求を指摘している。著者自身の経験から得られた貴重な知見であり信用できるだろう。ただし私が先にイメージとして掲げた呪術的儀式の様態は、ここからは結論できない。そのへんは今後私自身が調べ、体験し、考えていかなければならないだろう。
     いずれにしても、本書は極めて貴重な資料であり、改行が多すぎるといった一般的な気がかりをこえて、再読に値するものかもしれない。
    続きを読む

    投稿日:2018.06.28

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