【感想】献灯使

多和田葉子 / 講談社文庫
(103件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
13
32
26
12
4

ブクログレビュー

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  • sora

    sora

    気にはなりつつ、なかなか手が出なかった作家さん。短編集であるけれど、全体として3.11を思わせる。

    「献灯使」子どもの体がどんどん弱ってしまうのに、老人はなかなか死なない(死ねないのか?)無名は献灯使になったのか、それは未来に明かりをともすことなのか。唐突に終わってしまって想像させられる。

    「韋駄天どこまでも」漢字遊びのような名前をつかったお話。

    「不死の島」献灯使で鎖国された日本を外側からみたお話。

    「彼岸」ヒロシマを感じさせるお話。

    「動物たちのバベル」ノアの方舟のような、バベルの塔のようなお話。

    「一九八四年」→地震→「献灯使」で自分のタイムラインがディストピア感満載。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.28

  • elastica

    elastica

    多和田葉子さんは「地球にちりばめられて」を読んで世界観に圧倒されたのだけど、これも凄い世界観だった。
    震災以後の日本のようで日本でない。でもいつか有り得るかもしれない日本。

    「献灯使」はまだブラックユーモアにニヤつきながら読んでたんだけど、それ以外の4篇を読み進めるうちに気持ちが沈んでしまった。特に「彼岸」。続きを読む

    投稿日:2023.11.26

  • harino

    harino

    全部読むのははじめて。かなり前にはじめのほうを読んでそのまま途中で止まっていた。短編集だけど世界観は同じ。蝋燭のやけに具体的な描写がなんでだろうと思ってたので理由がわかってよかった。でも全体的にはよくわかってない。続きを読む

    投稿日:2023.11.04

  • Ponsuke

    Ponsuke


    終末期の淵に立たされた世界の中で、生きる力をすでに見失った子ども達と相反して現実世界を生き抜こうとする老人達。
    表現というのはこんなにも多様なのかと驚いた。
    読み終わった後に私自信がこの小説の言葉や世界から抜け出せなくなりました。
    続きを読む

    投稿日:2023.07.27

  • ピッピ

    ピッピ

    タイトルが歴史上の出来事と同音読みですが、読む前は意味不明の用語。
    さて、この小説は近未来設定の日本の状況を描いています。
    地球規模の様々な環境悪化は私たちが生きていく上での不安材料で、未来はどうなるんだろうと悲観的に考えがちです。例えば、人間の寿命は伸びているけど今の子どもたちは果たして?とか、これ以上環境が悪化したら住むには厳しい環境になるのでは?とか色々未来図が浮かぶのですが、この物語はそんな図式どおりに進行、どちらかと言うとデストピアの世界です。
    主人公は100歳を超えて、ようやく老人と呼ばれるようになった年代の義郎。衰えず死なない身体。曾孫の無名の面倒を見ている。曽孫の身体は退化して硬い食べ物は食べられず、脚力が弱いので歩くのもやっと。曽孫に食べさせる食料探しに奔走する。東京は廃墟化していて、気候の安定しない本州での農業は採れる作物も限られている。日本は鎖国政策をとっている上、都道府県ごとの移住も制限される閉じた世界。文明の利器と言われる電化製品は殆ど使われず、電話もない。信用されていた銀行や警察も当てにならない。外来語も禁止で言葉の表現も価値観の倒錯から、言い換えや制限ばかり…と不毛の世の中。義郎は憤慨しつつ無名の世話に奔走する毎日。
    義郎と同じような価値観を持つ私たちなら、こんな世界は想像するだけで拒反応を覚えるのですが、生まれ落ちた時からの身体能力と、環境に同化している無名は、曾祖父さんの悲壮感は理解し難いものと映ります。このギャップはある意味ブラックユーモアにもなり、明るさを醸しだしています。透き通ったピュアな心は、微かな灯火…無名は青年になる頃、ある使命を帯びる人材として白羽の矢が立つのでした。
    この作品の他にも4作品が掲載されていますが、私は入り込むにはちょっと難しい作品でした。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.29

  • kikko999

    kikko999

    大震災&原発事故後の日本を暗示する、表題作の中編を含む5編。ユーモアや風刺がこめられた言葉遊びと、詩的な表現がすごく独特な世界観。それぞれ独立した話かと思いきや連作のような構成で、最後は人類滅亡の寓話。衝撃という言葉だけでは足りない、手ごわいディストピア小説、人を選ぶ作品だと思った。全米図書賞受賞作ということだが、英語版が一体どんな翻訳になっているのか、とても気になった。続きを読む

    投稿日:2023.03.19

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