【感想】死神の浮力

伊坂幸太郎 / 文春文庫
(335件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
69
146
82
12
2
  • 死に対する疑問や恐怖の解

    この本を読みながら、自分がまだ小さかった時に思い描いた死についての記憶が甦りました。自分や家族の死について、得体の知れない不安・疑問・恐怖に悩んだ人たちには共感できる内容だと思います。正解が記されているわけでは有りませんが、少なくとも死が自分とは無関係若しくは意識すらしていない自分にとって良い刺激となりました。
    伊坂先生お得意の武闘派女子は出てきませんがヤキモキしながら一気読みできる読者を飽きさせない内容でした。
    ドラマ化する際には、千葉役は阿部寛さんでお願いします。
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    投稿日:2017.10.09

  • 大好きな千葉の活躍(?)が読めて嬉しい!

    ※文庫化にともないレビュー消去のため、再投稿。

    死神である千葉が選ばれた(?)人物を調査し、
    可or不可の判断をするお話。
    前作「死神の精度」では複数の人を調査していましたが、
    (まだの方はぜひ!)
    今回は夫婦と行動を共にします。
    この千葉のキャラクターが最高に魅力的!

    前半は後手後手に回り、なんともいらだたしい場面が多いですが、
    このラストは爽快。
    何やら「寿命還元キャンペーン」なるものが話にどう関わるのか疑問でしたが、
    そこは伊坂氏、無駄なことは1つも書かれていません。
    いつもながら伏線と回収がみごとです★
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    投稿日:2017.09.08

  • 復讐のための旅の供は・・・

    タイトルからも分かるように,死神にあたる人物がでてきて,死んだ娘の復讐をもくろむ夫婦と同行することになります。死神の精度で登場したのと同じ人物です。

    復讐というおどろおどろしい目的を持ちながらも,この作家さんに「独特の会話の温度」で淡々と話しが進んでいきます。まぁこれが気に入っている私は良い味を出していると思うのですが,初めての人はどうでしょうか・・・・。続きを読む

    投稿日:2017.09.01

ブクログレビュー

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  • ultraman719

    ultraman719

    シリーズ第2弾!

    相変わらず、千葉さん、おとぼけ度満載で、すっ飛ばしてる〜
    ええ感じ。

    その人間に死を与えるべきかどうか、死神たちが7日間で、「可」 or 「見送り」を判定!
    でも、適当に決める死神多く、「可」ばかりで、早死に多く、「還元キャンペーン」で、「見送り」推奨!って…
    そんなんで、判定されるの嫌や〜!
    まぁ、別に、何百年も生きたいとも思わんけど、それなりの年齢でお願いします〜m(_ _)m

    主人公の死神 千葉さんは、真面目に仕事するんで、そんなことは、ございません!
    今回は、娘を殺された作家さんが対象!殺した犯人は、頭は切れるが、人の心が分からんサイコパス!
    「死神 VS サイコパス」って銘打って、売り出してたな。

    しかし、ゲーム感覚で、人追い込んで楽しむとか訳分からん〜
    こういう人こそ、「可」にしてや〜!
    でも、「見送り」でも良かったのかもね。(その辺は、本読んで!)

    おとぼけながらも超人で、人とどっか違う千葉さん!面白い!
    続編出ないかな〜!

    面白いけど、人はいずれ死ぬということを再認識はする。
    それまで、どう生きるかも自分次第。
    う〜ん…どうしよ…
    やっぱり、何も考えんと楽しく生きよ〜!(^-^)v






    「……勝手にわたしたちが思っているだけで、保証はないかもしれない。絶対と言えることなんて」
    「絶対と言い切れることがあるとすれば、人は死ぬ、ということだけだ。人は必ず死ぬ」


    「どうせ死ぬのだから、今この瞬間を楽しめ」(こっち推し)
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    投稿日:2024.03.14

  • mi

    mi

    どこかに感じる淡白さ、軽快さ、終盤の勢い、どの作品を読んでも「これこれ〜!」ってなるし読み終えた時の爽快感と充足感、癖になる 伊坂幸太郎を好きな理由コレ
    最初の方は千葉さんイライラしたけど、山野辺夫婦と同じように私も慣れてきて気を紛らして緊張をほぐしてもらってた節あるかも
    千葉さんの感情というか彼らのことをどう思ってるのかというか、ずっと掴めなかったしまあそもそもなんとも思ってなかったんだろうけど面倒事に手を煩わせた事実と最後の「晩年も悪くなかった」の一言に全てが詰まってるんだなあ〜〜〜

    教訓みたいなのとか、考え方とか、先に行って確かめてくるよとか、心に残るフレーズも沢山あったメモすりゃ良かったな また読み返さなきゃ

    個人的な現状と重なって苦しくなった部分もあった 喪ったわけじゃないんだけど
    悲しみきる暇も余裕もなくてただ空っぽで、どこかしこにも思い出で溢れてて全てに重ねて、こんなことになるなら生まれてこなきゃ良かったって、私も思った 私がもがいて言葉にできなくて苦しかった気持ちが、全部文字になっていた ただそれだけだけど、それだけでよかったのかもしれない 言葉として胸にすっと入ってきて、少し楽になれた
    浮力のおかげで体積は変わらない。氷が溶けて水に混ざるように、人間も死んでも誰かの記憶に溶けるから消えない。
    消しちゃだめだから消したくないから、貴方が溶けて混ざった私を全うしなきゃいけない そしてまた、私を誰かに溶かさないといけない この世の体積は、貴方を含めたものでなくてはならない
    がんばるから、たまには雨拭いに来てね ワイパー
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    投稿日:2024.03.05

  • NSFM

    NSFM

    伊坂幸太郎さん「死神シリーズ」の2作目。前作は短編集だったが今作は長編。

    登場人物は前作同様、死神の千葉。今作品はテーマである「死」についてより濃厚に描かれている。

    愛しい愛娘を殺されてその復讐劇が物語の本線。
    この作品の面白い導入だなと思ったのが娘が殺された「罪」に対しては裁判で無罪という判決が出た直後、そこから別で「死」に対しての可否が始まるというところ。
    その「可否」の調査する死神千葉の調査対象は復讐を企てる山野辺、ということは「死」は山野辺に訪れるというのが見える。復讐される本城の方にも別の死神がついており本城も死の間際。
    序盤でこの展開が繰り広げられており、どういう結末になるのか?色々推測しながら読み進めた。途中で出てくる色んな人物が怪しく感じられる、箕輪しかり小木沼しかり。そういう目線で読んでいた為、すっかりミステリーの心構えで読んでしまった。どちらかというとファンタジーに近い物語だった。

    テーマは「死」、人間目線と死神目線と条理目線で描かれていく事で不思議なファンタジーになっていく。通常、死=怖い物と捉えられるが、愉快な死神が仕事として死の可否を調査しにくる時点でそれはかなり和らげられている。そして死は当然であり、絶対的な物であるという条理。上手く物語に愉快にポップにのせていて、流石伊坂さんだなと思わされる。

    最後、エピローグにて山野辺の作品は初期作が良かったという者に対して「晩年も悪くなかった」と千葉。山野辺の千葉と過ごした最後の7日間をそう答えている。素敵な台詞だなと思った。

    千葉が最後、新たに調査しにきたのは美樹なのではないか?
    自分はそう読みとりたい。
    そして是非千葉の手で「可」を、前向きで幸せな「死」の判決を与えてもらいたい。
    山野辺と愛娘のいるであろう別の世界で今度こそ新たな幸せを、そうあってほしい。
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    投稿日:2024.03.05

  • ピザまん

    ピザまん

    このレビューはネタバレを含みます

    死神シリーズ第2弾

    娘を殺された山野辺夫妻が自らの手で殺人犯の本城に復讐をしようとする。しかし、良心を持たないサイコパスな本城は山野辺夫妻より一枚も二枚も上手で、、、そして、その復讐に千葉が死神の仕事として同行する。
    最初は山野辺夫妻の心情や世間、記者達の態度が辛くて、なかなか読み進められなかった。しかし、千葉の少し?ズレた会話や態度に心が少しづつ軽くなり、何より、どんどん加速するように進んでいく話と次々に回収される伏線が軽やかで最後は一気に読んでしまった。
    自転車で追いかけるシーンがハラハラしつつも笑ってしまった。
    死神だけが知る本城のラストに溜飲が下がると共に恐ろしさもあった。きっと本城は20年の間、山野辺に言われた最後の言葉を思い続けるのだろうなぁ。

    読みながら「人間」や「死」について考えさせられる。すごく重いテーマだが、千葉と山野辺夫妻のなんだか噛み合ってるようで噛み合わない会話にまた少し心が軽くなる。

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    投稿日:2024.03.01

  • 崎新一

    崎新一

    浮力がえらい。
    一見よくわからない言葉だけど、死神、いや伊坂幸太郎の視点で語ればその真意がみえてくる。

    死神という全く神の視点を持っている存在と、客観的視野が大きすぎるサイコパス。前者は意識せずとも物事を人間の思いもよらぬ方向に動かすことができ、後者は意識して意図的に操縦する。感情が見えぬ二者でも、根底にある悪意を見つければ、見分けをつけることができる、かもしれない。

    生きていること、人間、死ぬこと、それぞれを第三者の視点、人間、サイコパスから見て、その目を背けたくなるくらい複雑で、簡単な概念を小説という形で、紐解いていた。

    千葉さんくらい、ってかこの人、人?は、死神だから何も参考にはならないけど、どこか抜けてるところがありながらも、自分の興味外のところでは本当に無関心で生きるのが、いや死んでる?、のが上手いなと思った。



    人間は情報や科学を重要視するのに縁起を気にする。

    親はお化け屋敷に入り、その先が怖くないことを確認するように、子供を残して先に死の世界に踏み入れ、怖くないことを確認する。

    理容師は昔外科医も兼ねていたから、3色のポールが立っている。赤が動脈、青が静脈、白が包帯。

    サイコパスは、25人のうち1人いて、残り24人のうち6割は命令され従う。そのあとは数の論理で、多くがサイコパスに操られる。

    人間は集団から外されたくないから協力する。元が協力する性質なだけに、協力しない奴には厳しい。容赦しない。誰も彼もが、処刑人になりたがっている。
    人間は他人のことをそうやって気にしているうちに、妬み嫉み憎しみ合い、戦争が起きる。
    争うことは簡単。放っておいても起きる。平和は大変。楽な争いに流れるのを我慢しなくてはいけない。

    他の動物と人間の違いは、時間の概念。
    人間だけ、同じ種類の動物同士で、相手をぶち殺すまで暴力を振るう。

    人は同じように生まれるけど、死に方は様々。
    病気で死ぬのは時間があるからラッキー。

    殺伐とした世の中に殺伐とした話では芸がない。

    渡辺一夫

    人はその日を楽しむことしかできない。
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    投稿日:2024.02.23

  • セシルの夕陽

    セシルの夕陽

    『死神の精度』の続編。
    死神の千葉のズレた言動キャラクターは、変わらず魅力的。
     『精度』の連作短篇集に対して本書は長編。

    サイコパス本城に幼い娘を殺された山野辺。本城は無罪判決が出て世間に戻ってきた。
    復讐に全てを費やす山野辺が千葉の仕事対象者だ。

    【以下辛口】
    あー、長かった。いわゆる『伊坂節』の脱線・例え話・持論の組込みにもうヘトヘト。。。伊坂作品は、長編なら巧みなプロット作品か、短篇じゃないと性に合わないと痛感した。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.15

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