【感想】知ってはいけない 隠された日本支配の構造

矢部宏治 / 講談社現代新書
(72件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
15
23
21
3
2
  • 日本の不可解な現状を理解するキッカケとして。

    エリート官僚、条文そして密約といった繰り返し出てくるワードがあり、現在の日本が抱えている米国との軍事関係の根幹にある闇の部分を、過去の事象に基づいて明瞭な文章で説明されています。本を読み進めていくうちに、20年くらい前に、日本の経済政策は実は全てが米国の管理下にあり、日本が独自に決められない・・という話を聞いたことを、思い出しました。この本の著者は、政治と経済は法的には正常化されており、軍事に関しては、レベルが違うとの見解をお持ちのようですが、軍事についてがメインの内容で、その他のことは深く調査されていないのは、残念ですが、逆に、本著が時間を掛け、綿密な調査の上で書かれたものであることが分かります。流し読みするだけでも、日本を支配する裏のルールの一端が垣間見えるという点では、多くの方にお勧めできる内容だと思います。続きを読む

    投稿日:2019.01.24

  • いえいえ、知らなければならないことが満載

     私は昭和34年生まれですが、日本の上空を、自衛隊機でさえ自由に飛べない空域があると知ったのは、高校の地理の時間でした。地理は現代史であると説く我が恩師の授業は、とても新鮮で、私たち生徒の目を本当の意味で世界に開かせてくれた内容でありました。大学受験の勉強には役立たないことばかりではありましたけどね。
     戦後からずっとアメリカ追従が顕著な日本でありますが、本当に支配しているのは、アメリカ政府でもなかったという事実が様々な資料を元に明かされていきます。元国務長官であったライスさんでさえ、その回顧録の中で呆れかえっていたとか。
     このような状態では、たぶんトランプさんでも日本を意のままに動かすことは無理なのかもしれません。憲法改正論議が喧しい昨今ですが、議員の方々は、ウラの現状を判ってやっているのでしょうか?私自身は、時代にそぐわなくなれば、修正すべきとは考えますが、その前に、やるべきことをやらないと、とんでもないことになるんじゃないかなぁ。まず戦後から現代まで連綿と受け継がれてきた、この「くびき」を断ち切らないと大変なことになるぞ!という、これは警鐘の書なのであります。
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    投稿日:2018.11.29

  • 凄い

    高校生の頃から感じていた違和感を全て払拭してくれました。日米関係の不平等をまざまざと突き付けられました。

    投稿日:2017.11.06

ブクログレビュー

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  • TAMA

    TAMA

     本書において、日本は日米合同会議を通して米軍に支配されており、実質主権を侵されたアメリカの属国であるという主張がなされている。よく聞く話であるが、本書を読み進めると内容に飛躍があり、著者の政治観を感じされられる点などから陰謀説かと思わさせられる箇所も散見された。
    現実を見た時に、本書の主張は一面の真実を捉えているのであろうが、主張を裏付ける具体的エビデンスが弱いように感じた。
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    投稿日:2024.03.05

  • shintaro20000101

    shintaro20000101

    陰謀論の本ではありません。家族は書名を見て陰謀論の本かと思ったと笑っていました。著者がどんな思いで書名を決めたかはわかりませんが、書名で損をしていると思います。

    投稿日:2024.01.26

  • 夜田わけい

    夜田わけい

    対米従属を構築するために様々な法律が絡み合い、空域までも差し出している、日米合同委員会も絡んで三重構造、というような内容。もちろん陰謀論っぽくはあるが、「そこまで法律で完膚なきまでに叩きのめしといて、じゃあ、どうすりゃいいんだよ」とも言いたくなる内容で、シン・ゴジラのようなアメリカと対峙して乗り越えようとするような夢物語を抱かせてくれる話でもなく、ただひたすら法案を、現実を突き付けてくる。逆にこういう世界観だからこそ、こういうアメリカのせこさも知ってるから、文化で対抗する、という現代になっているような気もするし、その戦略にも必然性があったのかもしれないと思わせる。どうすりゃいいんだろうね。いみじくも小説を書く身としては、言葉の力で対抗することは、果たしてできるのだろうか、と考えてしまった。続きを読む

    投稿日:2024.01.17

  • むらさき

    むらさき

    この本の主張
    日本はアメリカの言いなり
    アメリカは日米合同委員会でどんな法律でも通せるし、裁判所をコントロール出来るため違憲でも関係ない。そして、それらの法律の日本への影響となぜこういう日米関係になったかを細かく細かく書いてる一冊続きを読む

    投稿日:2023.11.28

  • Masahiro Sera

    Masahiro Sera

    日本の驚くほどの対米従属は、かなり気になっていることだが、本書では、主に軍事面でどんな不合理性を持っているのかに焦点を当てて解説してくれている。
    太平洋戦争に敗れ、アメリカの占領を経て独立した日本からすれば、一定程度のアメリカによる影響はあってしかりだろうが、ここまで言いなりになっていて言い訳がない。
    何だか真の独立国とは言えない気持ちになってしまう。
    そう言う気付きを与えてくれた書だと感じた。

    一部抜粋
    日米合同委員会の本質とは、占領時代から続く基地の使用権や治外法権など、米軍が持つ巨大な特権を、どうすれば日本の国内法のもとでトラブルなく維持していくかの調整機関。もともと占領中に旧安保条約の交渉をしている段階で、「日本国民の目にふれさせたくない取り決め」を、すべて密室で処理するためにつくられた「ブラックボックス」。
    法務省から合同委員会のメンバーとなる大臣官房長は、その後、かなりの確率で検事総長に就任している。

    日本が集団的自衛権を行使できるようになれば、アメリカと「どんな攻撃に対しても、たがいに血を流して守りあう」対等な関係になれるというのは幻想でしかない。
    アジアの国との二国間条約である日米安保条約が、集団的自衛権にもとづく対等な相互防衛条約となることは、今後も絶対にありえない。
    事実、指揮権密約からしても、現在の日米の軍事的な関係では、日本側が軍事力を増強したり、憲法解釈を変えて海外へ派兵できるようになればなるほど、米軍司令官のもとで従属的に使われてしまうことは確実。
    つまり集団的自衛権というのは、現在の日米安保条約とは基本的に関係のない概念だ。
    にもかかわらず、なぜか米軍部からの強い働きかけによって、2015年9月、その行使のための国内法が強行採決された。

    米軍は
    ①「日本の国土を自由に軍事利用できる権利(基地権)」
    ②「戦時には自衛隊を自由に指揮できる権利(指揮権)」
    という、信じられないほど大きな権利を密約によって持ってる。
    そしてその歪んだ法的関係を構造的に支えているのが、
    ③「日米合同委員会」
    ④「最高裁(砂川判決)」
    というふたつの聖域化された、アンタッチャブルな機関。
    この①から④までの四つの問題を解決しないまま、憲法で自衛隊を容認してしまうと、その先に待っているのは「米軍による日本の軍事利用体制」の完成だ。
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    投稿日:2023.10.30

  • 鳩摩羅什

    鳩摩羅什

    矢部宏治著『知ってはいけない〜隠された日本支配の構造〜』を読んだ。本書の発刊は2017年。私が購入したのは2018年だが読まずにいた。
    孫崎享著『戦後史の正体』に衝撃を受けた。この本を企画したのが矢部宏治(1960-)である。本書を読み終えて、日本が対米追従で来た理由がよくわかった。モヤモヤしていた視界が開けた思いがした。
    日本の対米追従は「対米軍追従」とも言えるもので、憲法よりも上位にあるのが日米安保条約である。この条約のもと開かれる日米合同委員会。ここに出席するアメリカ人7人のうち6人が軍人であることからも米軍が日本を支配していることが分かる。日本はGHQ占領期と何ら変わっていないのだ。
    日本は表向きは独立した国である。国際世論をかわすためにGHQの占領は打ち切らねばならない。しかし、1950年に勃発した朝鮮戦争によって、「日本を独立させながら米軍の支配下に置く」ためのトリックが必要になる。そのための策が、安保条約と密約であった。1951年9月8日午前、アメリカ・サンフランシスコのオペラハウスで行われたサンフランシスコ講和会議においてサンフランシスコ平和条約が締結された。吉田茂は同日午後5時にサンフランシスコ内の第6軍司令部において日米安全保障条約に署名する。アメリカ側は国務長官アチソンが署名をした。そして、このとき「吉田・アチソン交換公文」と呼ばれる密約が結ばれた。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.02

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