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橋本治, 橋爪大三郎 / 太田出版 (5件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
対談は失敗だが、橋本氏の日本語論が秀逸
社会学という学問の成り立ちからして、その根底に、社会はよりよく改良されうるという考えがあるためか、橋本治が「一つの正しい日本語というものはない」と冒頭で語って対談がスタートしているのに、最後のまとめで…橋爪が、「曖昧さを排した論述的な新しい日本語を作ろう」と突然ぶち上げても、「気持ち悪い」という反応しかないだろう。 対談の仕切り役である編集者も能無しで、橋本が途中で「収拾が..」と言っているのに、「いいです、いいです」とますます日本語論から逸れて、軍制から芸能、天皇制、出版文化と話題は際限なく広がっていき、ついついタイトル自体にダメ出ししたくなった。 それでも橋本治の日本語の成り立ちの解説は秀逸で、感心しきり。 仮名だけの純日本語の和文は、音の響き方やリズム、言いやすさによって容易にかたちを変える「音の言葉」なので、理屈や論理の方は「意味の言葉」である漢字だけの漢文に任せて発展していった。 響きは美しいけど、発信者が独特の意味付けをするため、概念規定が曖昧で意味を取りにくく、『源氏物語』のある種のわかりにくさもそこに帰因している。 つながりのある人には正確に意味がわかるけど、その先の人には(意図が正確に)広がらなくても構わないという態度は、門外漢にも「説明すれば理解が広がる」という発想を生む土壌を育てず、「理解は専門家同士でしていればいい」という社会のタコ壺化を招く原因ともなっている。 「日本語は全部音楽のような言葉」と語る橋本治の日本語論は新鮮で、それまで言葉と音との関係がそれほどまでに重要だとは考えても見なかった。 ひらがなは表音文字ではあるが、読み方を規定しておらず、どう読むかは読む人の裁量に委ねられている。 訛りもそうだが、ひらがなは読み手の個性を表現する一種の記号にすぎない。 しかし、現代仮名遣いで育った若者たちは、文字を文字のままで読み、文字の向こうの固有の音に気づかないため、自分の音が作れずただフラットに発声してしまうので、義太夫などやるとまるでダメだという。続きを読む
投稿日:2018.03.21
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シマクマ君
へえー、この二人が出会うんだ。まずもって、そのことに感動。丸谷才一と山崎正和のセットのような取り合わせが、だんだんなくなっていってさみしがっている人にはなかなかいいセットだと思っていたら、橋本治君が…なくなってしまった。 この人とこの人を、という「人物」がまた一人いなくなったことをとてもさみしく思います。 えっ、内容はどうなのかって?日本という文化の、いわゆる「ダブルスタンダード」をいま語らせるならこの二人でしょ、っていう感じで、炸裂していて、いいたい放題。面白いにきまってますよ。続きを読む
投稿日:2019.03.19
板橋区民
タイトルにあるほど『だめだし』はされていないが、やはり橋本氏と橋爪氏の日本語に対するスタンスの違いが際立つ対談になっている。どちらが正しいというものでもないだろうが、自分としては橋本氏の『複雑なものは…複雑なまま理解すべき』というスタンスの方に共感する。 この対談で何か結論めいたものを期待する向きにとっては期待外れに終わるが、日本語の成り立ちにまつわる雑多な知識、トリビアを学ぶ目的には持ってこいである。大いに楽しめた。特に日本語は音が基本の話し言葉と、漢文をベースにした書き言葉が2重螺旋のように絡み合いながら発展してきたとの解説には目から鱗が落ちた。 それにしても橋本氏は頭の回転が速いだけではなく、歴史や文化、風俗に関する造詣にも深くて(良い意味で)あきれた。続きを読む
投稿日:2018.05.09
たまもひ
橋本治が日本語について語る、というのでかなり期待して読み出したのだけど、うーん、ちょっとこれは…。 日本語の成り立ちから今日までを俯瞰する橋本治の語りは確かに興味深いのだけど、既読感がある。何よりも…対談相手の橋爪大三郎がいただけない。妙に橋本治を持ち上げていてもう一つだなあと思っていたら、終盤で「日本語の人称は一つに統一すべきだ」なーんて言ってた。これには橋本治も「それは日本語を汚くするので嫌いです…」と答えていた。橋爪氏、橋本治のどこをどう読んでるのだろう。続きを読む
投稿日:2017.08.07
takeshishimizu
漢字とカタカナ・ひらがなのまじった日本語は世界的に見ても珍しい言語だ。もちろん、話ことばにすると漢字もひらがなもないわけで、書きことばだってすべてひらがなにすることはできたし、それを推奨する人もいる。…けれど、いまのところそうはしていない。朝鮮が漢字をなくしてハングル一辺倒にしたのとは対照的だ。ということで日本語はおもしろい。橋爪先生と大澤真幸さんとの対談もおもしろかった。で本書。あとがきで橋本さん自身が書いているが、「これで、他人が読んでわかるようになっているのかな?」…なってないです。少なくとも、私にとっては。ただ、わかったのは橋本さんがすごい仕事をしているのだということ。正統派の国語教師がどういうかはわからないが、橋本訳の「源氏物語」も「枕草子」も読んでみたいなあとは思いました。続きを読む
投稿日:2017.07.24
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