寂しい生活

稲垣えみ子 / 東洋経済新報社
(65件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
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ブクログレビュー

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  • ありんこゆういち

    ありんこゆういち

    元アフロ新聞記者が電気を使わない生活を徹底した事を書いた本です。
    いわゆるロハスという言葉に代表されるおしゃれ感は無くひたすら朴訥な生活です。
    余った食べ物は干す、漬けるという超シンプルな対応。何しろ冷蔵庫が無い訳なので、物を腐らせない為にはと考えるとそれくらいしかない訳です。
    我が家の冷蔵庫も食べ物で一杯ですが、それでも必要なだけ買っているつもりです。でも生鮮食料品なんて冬以外は一日も保たないもの沢山あります。それは不要な物だと言われればなんとなく後ろめたい・・・。
    遠巻きに見ているだけで実践しようとは思わないのですが、自分も出来る部分はあるのかもと生活を振り返ったりしました。電気がある事に慣れ過ぎていて、どう考えても一日も生活できないような気がします。
    非常にストイックでここまでやるんかいという感じですが、本人が楽しんでやっているので読んでいて面白いです。
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    投稿日:2021.11.08

  • こま

    こま

    節電から始まり生きることの本質を教えてくれる本。生きるとはどういうことか。私ももっとシンプルに、身軽に、暮らしていきたいなぁ。

    投稿日:2021.11.03

  • テクノグリーン

    テクノグリーン

    稲垣えみ子著「寂しい生活」(東洋経済新報社)

    2020.1.9読了
     著者は朝日新聞社の元新聞記者である。東日本大震災をきっかけに自らを省みるに至り、電気をなるべく使わない生活に挑むというエッセイだ。それまで高級マンションで優雅な都会生活を満喫していた著者は、どんどん家電を処分していく。手始めに掃除機から始めてテレビ、電子レンジ、冷蔵庫、果ては自宅と勤め先まで断捨離してしまう。寂れた民家に移住した著者の月々の電気代は驚愕の150円。もはや節電生活という言葉では言い表せない、前近代人のような生活を送っている。日本に電気が導入されたのは明治維新以降の話なので、著者は約150年以上前の暮らしを現代で実演してみせていると言える。

     電気なしでどうやって生活していくのか、その試行錯誤を追っていくのは面白いが、本書を単なる節電メソッド本として捉えてしまうのは、やはり浅薄といえよう。本書の一味違うところは、家電を捨てるという行為を通じて、豊かさの意味や人間の在り方について、深い洞察が行われている点だ。これが現代への痛烈なカウンターパンチになっていて、読んでいて非常に小気味良い。

     「電通戦略十訓」に代表されるように、現代の資本主義経済は、モノをもっと使わせて、捨てさせて、無駄遣いさせることによって成り立っている。消費者のニーズを商品化すれば売れる時代はすでに終焉し、消費者が望みもしないニーズを掘り起こしてモノを買わせる時代が始まって久しい。便利さと快適さを追い求めているうちに、私たちは他者との差異を見つけて所有欲を満足させること以外に、豊かさや生きる意味を見出せなくなってしまった。当然の権利にように電気を貪り、その恩恵すら忘れ果て、さらなる欲へと急き立てられていく。私たちが本当に求めている豊かさとは何なのだろうか。

     著者は、家電を「人間の欲望そのもの」だと言う。何でも家の中で完結させようとする家電は、暮らしのサイズを大きくさせる上に生活をより複雑化させる。多機能すぎて使いこなせない電子レンジ。週一回の清掃と月一回のメンテナンスを必要とする掃除機。できることが増えるということは、やらなければならないことが増えるということであり、モノが増えるほどに時間が失われていく。

     しかしそれでも、テレビは「あなたはまだ満たされていない」というメッセージを発し続け、検索サイトで特定のキーワードを打ち込めば、アルゴリズムによって、あなたが潜在的に欲しがっているだろう情報が選択的に表示される。何が本当の豊かさなのか、私たちは見失っている。こうした点に著者の優れた洞察力が光る。単なるメソッド本に留まらない所以だ。


     私見だが、便利で快適な生活とは、合理性と効率性を是とする現代人の病そのものではないだろうか。
     嵐の中で凧を揚げたベンジャミン・フランクリン(1706-1790)は「時間は貨幣である」と言い、マックス・ウェーバー(1864-1920)はその発言から「自分の資本を増加させることを自己目的と考えるのが各人の義務だという思想」を読み取ったという。資本主義の精神とは、人々の所有欲や獲得欲を焚き付けて、絶えずモノやサービスを消費させようとする心性をさす。だとすれば、私たちはその精神にどっぷりと浸かって、しかもそのことに気づいてすらいないということなのだろう。

     してみれば、本書の主題は、家電を捨てる行為を通じた資本主義批判の実践的試みだと言えるかもしれない。つまり、争議行為としてのボイコットである。
     著者は、家電の大きさを欲望の大きさに比例させて考察を進めていく。便利で快適な生活とは「いわば、必要な栄養や薬を補給してくれるたくさんのチューブにつながれた重病人のようなもの」であり、本当の自由とは、チューブを一つ一つ抜いていってベットから起き上がり、自力で歩き回れるようになることなのだと。そうしてたどり着いた先に著者が見たものは、「今を生きる」という境地であった。

     いみじくも鷲田清一が「だれのための仕事」(講談社学術文庫)で「前のめりの意識」と表現していたように、現代人は、将来のために未来のために今を犠牲にして構わないという意識に蝕まれている。スケジュール帳の空白を恐れ、常に生産的でないといけないという意識に侵されている。王様のような生活を夢見て働く。余暇さえも、自分が所有する能力や資質、財を投入して自己啓発に勤しんでいる。

     著者が捉えた「今を生きる」という感覚は、それらに「ノー」を突き付けて、ちっぽけな自分の存在をまず認めてあげるところから始まっている。人間は所詮一人だからこそ、助け合って生きていかねばならない。家電を捨てて、一人になって、だからこそ、他者のかけがえのない存在が浮き彫りとなった。この著者の洞察は侮れない。現代を生きるための一つの指針と言っても過言ではないだろう。
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    投稿日:2021.10.05

  • sak.i.ko

    sak.i.ko

    電通戦略十訓
    もっと使わせろ
    捨てさせろ
    無駄使いさせろ
    季節を忘れさせろ
    贈り物をさせろ
    組み合わせで買わせろ
    きっかけを投じろ
    流行遅れにさせろ
    気安く買わせろ
    混乱をつくり出せ

    売ること 利益を得ること…
    わかるけど 凄い言葉たち 時代

    引越しに際し 断捨離しようとする中で 読んだ 本 わたしは 冷蔵庫も 洗濯機も 電子レンジも 新しいお家に 一緒に引越すし これからも 使いつづける けれど この本の言葉と同じ気持ちを 持っているから それだけに 支配されることなく 暮らしていけるとおもう し 暮らしていく
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    投稿日:2021.09.28

  • 田中ふう

    田中ふう

    断捨離本じゃなくて哲学書だった。
    考え方次第、日常にある全てが輝き出します。
    何でも一所懸命やれば楽しい。

    笑いのツボが大槻ケンヂ似。

    投稿日:2021.08.12

  • ピカタン

    ピカタン

    激しく共感。特に福島の原発事故後に電気について考えたっていうところが、まさに同じ感覚。資本主義で煽られた欲についても、まったく同感。
    とはいえ、私は節約はしているものの、稲垣さんほど徹底した節電はしていないなー。
    それにしても、稲垣さんが体感したものは、まさに仏教でいうところの「煩悩を滅す」であり、老子でいうところの「足るを知る」ではないか!
    楽しく読める本でありながら、内容は深いのであった。
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    投稿日:2021.07.17

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