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大西康之 / 講談社現代新書 (38件のレビュー)
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わ
日本の電機メーカーの没落の原因に迫る。迫力とリアリティのある文章に引き込まれる。本書は2017年に執筆されたもの東芝の成り行きは周知の通り。優等生として書かれた三菱電機含めその後の状況と見比べながら読…むのも良いだろう。フィリップスやノキアなど海外の成功事例を踏まえれば日本社にもまだまだチャンスは残っているはず。続きを読む
投稿日:2023.08.29
本の虫
日本の企業がどんどん没落していく様相はほとんどの日本人が感じるところでしょう。 その要因を探るヒントが東芝に隠されています。 東芝に関しては粉飾決算に関する本も多々ありますが、本書はそれらにはマスト…ではなく、ビジネスモデルとしてどうなのか?企業の優位性がどう保てなくなったのか?を俯瞰的に見られます。 通信業界にも携わっていたので、そことの癒着についての言及もあり、なるべくしてなったと感じる解体劇です。 続きを読む
投稿日:2023.07.22
bonz
物作りで世界をリードしていたはずの日本企業が、ことごとく、海外企業に買収されている現実は気持ちの良いものではないが受け入れなければならない。日本経済、会社を発展させるために苦労してきた先輩達は決してお…ごることなく真面目に働いてきたはずであるが、どこかでボタンの掛け違いが生じて、誰かがあぐらをかき、方向性を間違えたのも想像に難くない。では、これからの日本経済をささえる若者を育てるために、教育現場では何すれば良いのか?そんなヒントも随所にあり、またひとつ引き出しができた。続きを読む
投稿日:2022.06.25
本好きの本間
一般企業には勤めたことがないので、ただただ華々しい世界の裏側は泥々しているのだと感じた。それと同時にどの世界も世の中の進むスピードについていくことができず、失速していくのだと思った。判で押したような人…材を育てては、同じことの繰り返しだということを改めて痛感した。続きを読む
投稿日:2022.06.23
kohamatk
著者は日経新聞から独立した方。東芝3分割というニュースを聞いて読んだが、電機業界の構造や動向が詳しく解説されている。 日本の通信市場は、1985年の通信自由化まで日本電信電話公社の独占で、国民から集…められた電話料金は設備投資の形で、電電ファミリー(NEC、富士通、日立、東芝、沖電気)に流れた。 NTTドコモは、第3世代携帯電話(3G)の国際的な通信規格が出来上がる前にFOMAのサービスを国内で始めたが、欧州、アジアでは2Gと兼用のデュアルタイプを選んだため、日本のメーカーは海外から撤退することになった。2007年にiPhoneが登場した後も、ドコモはiモードを存続させる姿勢を続けたが、2008年にソフトバンクがiPhoneを発売すると、ドコモは海外メーカーのスマートフォンを売り始めた。 電力業界が集めた電気料金も、設備投資の形で東芝、日立、三菱重工などの電力ファミリーに流れた。経団連の要職も電力ファミリーでたらい回しにしてきた。 戦後の日本では多くの労働組合が立ち上がっていたことから、日本の共産主義化を恐れたアメリカは、半導体などの先端技術の移転や製品の輸入によって日本の経済発展を後押しした。しかし、冷戦が終わると、日米構造協議で電力と通信の自由化を迫った。電力10社と通信事業者の設備投資は、1990年代半ばの9兆円から、2000年代初めには4兆円に激減した。 東芝は、アメリカの原発子会社ウェスチングハウスが倒産して1兆円の損失を出したため、2016年に医療事業をキャノンに、白物家電事業を中国の美的集団に、半導体メモリ事業も米投資ファンドが率いる日米韓連合に売却した(2018年)。 NECは日本電信電話公社に通信機器を納入することで成長した会社で、電電ファミリーの長兄。1980年代に半導体、パソコン、ディスプレイなどの事業を広げ、半導体の売上で世界一となった。アメリカは通商法301条違反の疑いで提訴し、1986年の日米半導体協定でアメリカ製半導体の輸入拡大を約束させられた。協定が切れた1996年以降は、サムスンや台湾のTSMCが猛攻を開始した。1999年にDRAM事業を分社化して日立のメモリー事業と統合(日本政策投資銀行が出資してエルピーダメモリ)。2002年には、LSI事業も分社化して日立、三菱電機と統合した(産業革新機構が出資してルネサスエレクトロニクス)。2011年には、レノボとの合弁会社を設立してパソコン事業を譲り渡した。ビッグローブも2014年に日本産業パートナーズへ売却した。残っているのは、システム構築事業とテレコムキャリア事業のみ。 東芝、日立、ソニーの中小型液晶事業についても、産業革新機構が出資してジャパンディスプレイとして2012年に統合された。 東電と電電公社の「製造部門」とされた日立は、日本のGNPと同一のカーブを描いた。1999年からROEを経営指標の中心に据えて、半導体メモリー(DRAM)、産業機械、ロジック半導体、携帯電話、小型モーターを次々に売却した。一方で、IBMハードディスク事業を買収したが、事業再建に多額の費用を投じたものの、それに見合う利益を出すことができず、2012年にウエスタンデジタルに売却した。2014年、三菱重工と火力発電設備事業を統合したが、主導権は三菱重工が握る。 松下電器は、研究開発に意欲的なソニー、シャープ、三洋電機などの動きを見て、売れると判断したものを大量生産して最強の販売網で売りさばいた。日立や東芝がそれに続くのが日本の電機産業のパターンだった。ビデオレコーダーでは、松下がVHSを選んだことで、それが世界標準になった。液晶テレビでも、シャープの後を追った。2009年にパナソニック電工と三洋電機を買収。三洋電機の洗濯機・冷蔵庫事業はハイアールに、半導体事業はオン・セミコンダクターに売却され、10万人いた従業員のうち、9000人しか残っていない。現在は車載電池と住宅を成長分野として掲げている。 富士通の前身は、シーメンスと古川電機工業の合弁会社である富士電機の電話部門。コンピューターを主軸に置いたため、NTTとの結びつきは弱い。1990年代のダウンサイジングの流れに対応できず、インターネット普及後のクラウドコンピューティングの時代にも乗り遅れた。ニフティの個人向け事業はノジマに売却した。続きを読む
投稿日:2021.12.25
eisaku0330
このレビューはネタバレを含みます
平成の30年間は日本経済衰退の時代である。「喪われた30年」 マクロ経済の分析は多いが、ミクロからアプローチしたのが本書 当然リアリティはより高い。 思うに主要産業について「平成の産業史」を総括するべきと思う。 マクローミクロを一体で理解して初めて実相が判る。 結局日本経済は、①官の統制と保護②大企業のフルセット③ガラパゴスなどにより主要企業が保護されて維持されてきた。 グローバル化の中で事業基盤が崩れてきていても、直視せず、従来路線の堅持、既得権の保護にあぐらを掻いてきた。むしろ困難な状況になるほど国頼みで自ら弱体化の道を選んだ。 家電業界、個々の個性はあるものの、根本は ①電力ファミリー ②電電ファミリー の潤沢な売上・利益に依存してきた。 経営は不要、経営者も育たないのが現実。 むしろ長期的には腐敗が進み、世界競争力は劣化した。(猪瀬直樹) 結局、グローバル化とデジタル化というパラダイムの変化には対応できず、自社も業界も衰退・滅びていくしかなかった。 個別の局面では健闘した事例もあって興味深いものがあった。 しかし大勢として着実な劣化と衰退はやむを得ない必然の途。
投稿日:2021.09.08
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