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山本一成 / ダイヤモンド社 (56件のレビュー)
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総合評価:
bandeapart
1
人間からの卒業
AI棋士ソフト「ポナンザ」が現役最強のひとりである佐藤天彦名人を電王戦で破る、それも圧倒的に、という映像を多くの人が衝撃をもって目撃した。 本作は著者自ら開発したAIポナンザが、 機械学習とい…う人間の介さない学習方式をとり 人間の積み重ねた知性の歴史を猛烈なスピードで抜き去っていく様子を記している。 人間は人間の知性を超える存在とどのように共存していくのか。 SFであれば恐ろしい未来を提示されかねない展開であるものの、 本書で書かれている将棋や囲碁のプロたちは思いの外現状を好意的に、 そして飽くなき探求心の向かう道として捉えていた。 29連勝の藤井聡太四段もAI対戦を積極的に取り入れているという。 AIは確実に人間を卒業し、私たちに前人未到の「超知能」を見せてくれるだろう。 しかし今はさらに、“人間も人間を卒業する”チャンスが訪れている。 本書はAIだけでなく人間の未来についても興味深く読むことができる良書だと思う。続きを読む
投稿日:2017.07.03
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otter
このレビューはネタバレを含みます
「サイコロには知性がある」「中間目標が立てられることの意味」「今まで計算できなかったものを、計算可能にするのが、人工知能における課題」あたりがとてもとても面白かった。 最終章は、結論だけ読むと「?」になるが、一章一章読み進めると「なるほど…」になる。 人間の倫理観が人工知能にも影響与えかねないなんて、想像もしていなかった。 自分用メモ ・人間は自分が理解していることを漏れなく説明することができない。 ・なぜ将棋で良い手を選べるのか自分では説明できない。 ・コンピュータには一般化する能力が今のところほとんどない。 ・ポナンザ2045
投稿日:2023.11.20
とまと
将棋プログラム「ポナンザ」の開発者による人工知能の解説書。専門知識が無くても読みやすい内容で、人工知能や機械学習、ディープラーニングとはどういったものなのか、かみ砕いて説明してくれている。著者が将棋プ…ログラムの開発者のため、「将棋」という具体的な研究開発の対象があり、開発の過程なども盛り込んでくれているのでわかりやすいのだと思う。 技術の進化は日進月歩、2017年のこの著作でさえちょっと古いかなとも思うが、AIの入門書や気軽な読み物としては最適な本だった。 将棋がメインテーマだが、同じ知的ゲームのチェスや囲碁も扱っている。特に巻末の対談は囲碁のプログラム「アルファ碁」にものである。ただ、この巻末の対談は囲碁がわからない者にとっては難しくて読みにくいものだと思う。それ以外のところはかなり読みやすいのでちょっと残念。続きを読む
投稿日:2022.02.05
ルー
以下、自分用のメモとして。 ①将棋の何を、どのように計算すればいいのかわからないから、コンピュータは人間に勝てなかった。チェスは盤上の駒の残存=局面の評価に直結するが、チェスに比べて「足の遅い」駒が…多い将棋は、駒の配置が重要で、それを論理的に=コンピュータにわかるように表現することが難しかった。それよりもっと難しかったのが囲碁だった。 ②機械学習(多数のデータからコンピュータに経験を積ませて向上させる)が進んでポナンザは強くなったが、なぜ強くなったのか説明できない「黒魔術」な部分が大きくなっている。 ③脳の神経回路を模したディープラーニングは画像処理が得意。ということは、「知能とは画像である」と言えるかもしれない。 ④人間は指数関数的成長を直感で理解できない。これほど早くコンピュータが名人に勝てるようになるとはプロ棋士も思っていなかった。いずれ人類はプロ棋士と同じ思いをする。 ⑤コンピュータにはない、人間だけの武器は「中間の目的」を設計すること。「目的を持つ」とは意味と物語で考えるということ。 ⑥ディープラーニングでコンピュータは知性を獲得するだろう。そのとき、AIは倫理観を人間から学ぶことになる。シンギュラリティ以降のコンピュータがどんなものになるのか、人類自身が試される。続きを読む
投稿日:2021.10.16
karinc
読みやすくて楽しかった。 知的な活動は探索と評価で作られる、ということ 囲碁のほうが将棋の方が難易度高いというのも興味深かった。
投稿日:2021.09.30
rico6mcn
IT知識なし、将棋知識なしで読んだ。難解な箇所もあるけれど、人間の生活や働き方を変えるといわれる人工知能の弱さを知ることができた。
投稿日:2021.07.07
toshi1231
将棋界のトップ棋士を倒した人工知能「ポナンザ」。本書はポナンザ」を開発した山本さんが、わかりやすくポナンザの仕組みを解説しています。(簡単な表現で書かれているけど、そもそも内容が難しいから、理解できた…とはいいがたい) もともとは、人間が完全にプログラムを組むことで、将棋を覚えさせていたのですが、将棋は最新の人工知能でも全てを解析することは不可能なほど奥が深いため、すぐに行き詰ります。その後、機械学習という仕組みを取り入れ、将棋の駒の関係性の優劣(王将の近くにいる金は価値が高いとか)を教えて、あとは人工知能に勝手に学習させることで、急激に「ポナンザ」は強くなり、将棋界のトップ棋士に勝てるようになりました。(2017年には名人にも勝利) 囲碁は将棋よりももっと奥が深く、人工知能が人間に勝てるのは数十年後といわれていたのですが、アルファ碁(グーグル)は、さらに人間の神経回路に似せた多層構造の仕組みを持つディープラーニングを取り入れることで、2016年に囲碁のトップ棋士に勝ってしまいます。 将棋、囲碁が題材ですが、これらの出来事は、これから広く人間と人工知能の関わり方を暗示しているように思われます。情報を集めること、計算すること、ルールの中で最も正しいと思われる選択肢を瞬時に選ぶこと。これらは人工知能が得意とする分野です(その思考過程がブラックボックスにならざるを得ないのが気持ち悪いが)。人間にできることは何だろう?課題を設定すること?特に、人工知能の助けを得ながら、新たな問いを立てることは人間にしかできない分野かもしれません。 本書で印象的だったのは、囲碁の世界で、トップ棋士が負けた後、素直に棋士たちが人工知能に勝てないことを認め、そこから学ぼうとしていることです。プロレベルでも、囲碁の世界はまだまだ未知の領域が広大であることを人工知能が気づかせたのだそうです。(将棋でも同様に、人工知能を棋力向上に活用するようになってきています) このあたりに、何か大きなヒントが隠されているような気もします。続きを読む
投稿日:2020.04.14
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