【感想】光の帝国 常野物語

恩田陸 / 集英社文庫
(779件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
251
295
154
20
4
  • 序章として

    常野シリーズの最初であり,常野という今では特殊能力をもった人々がどんな宿命をもっているのかが分かってきます。
    ただ,いろいろ話しが交錯するので,少し読みづらいと感じる方もいるかもしれません。次の作品を読むために重要になってくるので,投げ出さないで。続きを読む

    投稿日:2018.01.01

  • 何度も読みたくなる作品

    初めて読んだ恩田陸作品で、以来、著者の他の作品もいろいろ読みましたが、今でも、この「光の帝国 常野物語」の世界観がいちばん好きで、しばらく経つと、また読みたくなる私の愛読書です。 電子書籍化のおかげで、いつでもどこでもスマホかタブレットで読めるようになって嬉しいです。

    東北地方(聖地はたぶん宮城県?)にひっそりと暮らす 長寿や予知能力や遠くのものが見えたりする不思議な力を持つ常野一族の物語。 「常野」とは常に在野であれという意味で、超能力がありながら、権力をもたず、群れず、地に溶け込んで、という主義のおっとりとして、もの静かで、音楽が大好きな人々をめぐる短編集。

    その特殊能力のせいで、戦時中は、おぞましき軍部に目をつけられ、研究材料のために一族は次々と連れ去られてしまいます。 事情があって、青森県の山奥の分教場に暮らしていた子供たちも、一族の長老ツル先生が、東京に住む一族の救助に向かっていた隙に、悲惨な運命をたどる「光の帝国」の章は読んでいて胸が痛みます。

    最後の章「国道を降りて…」 へのつながり方がとてもすてきで救われます。蔵王連峰を望む村で、世界各地から集まった常野一族(音楽好き♪)のパーティーで演奏するために帰国した一族の青年チェリストの律が、長老ツル先生に(一族ではない)美咲を紹介するところは、読む度に涙してしまいます。

    宮城県栗駒山を訪れた際、携帯電話の電波も届かない静寂の中、ふと、木陰から常野の人がひょっこり現れるような気がしました。 

    この作品の読後の心地よい静かな余韻に浸りたくて、また、読みたくなるのだと思います。

    まだの方にぜひお薦めします。特に、フルート好きの方に。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.06

ブクログレビュー

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  • ゆうり

    ゆうり

    「常野」と繋がっている人々の物語。1つ1つの話は読み応えがあって、この本にしかない、不思議な世界観だった。

    あとがきを読んで納得。SFから生まれた物語だったのね。

    続編も楽しみ!

    投稿日:2024.03.27

  • mumuchan

    mumuchan

    不思議だけど本当にこういう人たちが
    居るような気がしてくる
    居るのかも
    今後どうやって次の物語に繋がっていくんだろう

    投稿日:2024.03.24

  • ひろ

    ひろ

    このレビューはネタバレを含みます

    不思議な力を持ちながらもひっそりと生きている一族の話。SF?と思って読んだけど、もっと優しいというかふわっとした感じの話。中には戦争真っ只中の話もあったり、大きな事故の話もあったりと読んでてつらい場面もあった。
    「国道を降りて」でツル先生が笛が上手だったな…と話しかけるところで、毎回涙ぐんでしまう。みさきさんが音楽を続けることを投げないでよかった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.26

  • こまつな

    こまつな


    お休みの日に一気読みしました。

    私にはちょっと難しかったです。
    また別の機会に読んだら違う感じ方をしたかな?

    ツル老人のお話はとても興味深かったです。実は自分の周りにも常野の人がいるかもと少しワクワクできそうです。続きを読む

    投稿日:2024.02.25

  • あい

    あい

    話いくらでも長くできそうな題材の短編がギュッと詰まってて贅沢だった。描写が素敵で、能力の面白さに頼ってないのが良い。

    投稿日:2024.02.15

  • そばのこな

    そばのこな

    このレビューはネタバレを含みます

    初めて読んだのは確か小学生の時で、学生の頃にもう一度読んで、20代後半の今、また読み返した。
    最後に読んだ時からしばらく経っていたけど、自分の中で1番印象深く残っている小説だ。改めて読むとやっぱり素晴らしかった。
    不思議な能力を持った人々を取り巻く短編集なのだが、彼らはファンタジーの世界ではなく、リアルな現代日本のなかで能力をひけらかすことなく粛々と生きている。リアルな世界で静かに息づく異能が、ちょっとした事件を解決したり、醜い人々に蹂躙されたり、普通の人々とは違う悩みを抱えたりする物語は唯一無二で、すごく派手な展開があるわけではないのに、不思議な魅力が心を掴んで離さない。独特で繊細な世界観に惹き込まれる。
    物語全体や登場人物には繊細で柔らかい印象がある一方で、時折現れるグロテスクで衝撃的な画が脳裏にこびりつく。塔の燃える鉄球、毒々しい色をしたツタやシダ……。今回読み返すまで、この作品のことを思い出す度、素敵な物語だという認識と一緒に、じゅくじゅくと赤黒く、おびただしく種を含んだ、巨大なイチゴのイメージが頭に浮かんでいた。それくらい印象的だったのだ。そんなグロテスクさと繊細さのギャップにも揺さぶられて夢中になった。
    タイトルにもなっている「光の帝国」はあまりにも悲しい展開で涙が止まらなかったが、「国道を降りて…」の序盤でもしかして…!?と思い、ラストで少し救われて、また泣いた。
    常野の人々は、常野の人々であるがゆえの使命や危険に悩み、恐怖を抱えていることだろう。しかし、だからこそ常野の絆は強い。仲間がいるという実感がある。現代社会の中で毎日言いようのない孤独を感じている自分には、亜希子のことが少し羨ましく感じられた。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.15

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