【感想】たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ

橋本治 / 集英社新書
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
4
2
1
0

ブクログレビュー

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  • 花澤ハル

    花澤ハル

    再読。

    橋本治が亡くなって、もう、3年近くなるのだなあ。
    訃報をネットで見た時は、すごく頼りになる親戚のおじさんが亡くなったような、随分と心細い気持ちになった。

    この人の言っていることは一貫していて、「ちゃんと自分で悩んで、考えなくちゃいけないんだよ」てことに尽きる。

    自分で考える、っていうのは自分のことを考えるのではなくて、自分と社会のあり方を考えるということで、でもそれってなかなか難しいんだ。


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    投稿日:2021.12.30

  • chineseplum

    chineseplum

    自分の生きてきた時代ってこういうことだったのか
    なんとなく変な感じがあったのにはこんな背景があったのか
    橋本さんの書かれたものはベタベタしていなくて冷たくなくて読んでホッとできるから好き

    投稿日:2020.08.25

  • 板橋区民

    板橋区民

    口述という体裁もあってか今回もあっちこっちに話が飛ぶのに、最後に必ず元に戻ってきて、きちんと筋が通っているところが相変わらず凄い。またこの人の言葉の使い方、特に喩えが超絶に上手い。昭和=「復興経済」との表現もすごく腑に落ちる。
    英EU離脱は成長、拡大を追求した経済飽和の象徴であり、もうこれ以上の拡大路線は無理でしょ?というのが骨子。
    カワキタ氏やホヅミ君だけでなく、自分も含めてこう言う言い方をされると「じゃあどんどん縮小していく世の中が幸せなのかよ」という発想になりがちだが、著者はこのような0-1の二元論に陥るのを止めて、その中間の心地良い所を探しませんか、と言っている。まあそう言われればそうかも知れない。
    経済に飽和点があるのか?という問いは宇宙の膨張に終わりはあるのか?に等しい難しい命題だ。かつて某経済学者はモノが行き渡って需要が飽和するとの論を一刀両断にしていた。「あなたにはもう欲しいものが何もないのか?」と。しかしこれに関しては橋本氏の「どうしてもなければ困るモノはもう持ってるでしょ?」との問いかけの方がしっくりくる。確かに昔は借金してでも買いたいものが確実に存在したが、住宅を除いてもうそんなものはなくなった。どちらが正しいのかはわからないが、宇宙の果て論争と同じで誰も正解は持っていないのだろう。
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    投稿日:2020.05.16

  • のもん

    のもん

    聞き書きの本。
    50代と30代のライターを相手に、話ながら進めていく。
    橋本治さんが育った時代の、目に見える世界の変わりよう、
    生活や人が変わっていくのを肌で実感し、
    そこから大事なことを抽出すると
    ちゃんと世界を見るものさしができあがる。
    橋本さんの中で、イギリスのEU離脱のお題は、
    遠くローマ帝国の時代にまでさかのぼりながら、
    ロシア崩壊や日本のバブル期、今の世の中にあふれる物言いにまで
    経済というキーワードですべてつなげていく。
    決してアクロバティックな論理ではなく、ごく普通にたどっていくだけで
    物事がシンプルに見えてくる。
    今のビッグデータなんてものに振り回されなくても、
    橋本治という一人の頭の中で、
    長く広い膨大な全体を網羅的にとらえ、
    ひとの、普遍的な本質を取りだすことができる。
    今ある、欲望を満たすだけのための「心のない論理」と
    上っ面だけを装う、一見なんの問題もないきれいごとの「心の論理」ではなく
    必要なのは、時間をかけて絡まったものをほどきながら考えていく「心のある論理」
    でもそんな悠長ですぐに結論に達しない(結論もないかもしれない)ものに
    辛抱強く付き合えるだけの力はどんどん奪われていって
    1,2,3で分かるようなものにだけ反応し、決めつけ、排除してオシマイ。
    橋本治のいなくなった世界で、誰が今を見直すヒントを出すことができるんだろう。
    ネットやらAIやらと、取り巻く環境がこの先どんどん変わっていくとしても、
    きっと橋本治の本の中に、そのヒントは書かれてある。
    ほんとにね、橋本治の本はもっと読まれないといけないと思う。
    説明するというのは時間がかかるもので、
    でも橋本治さんだからこそ、
    新書なんていうボリュームの中に収まるくらいにまで
    すっきりさせることができるのだ。
    難しい言い方で置いてきぼりをくらうこともなく、
    平易な言葉と、身近な例で、
    分からないことを丁寧に考えていくと、
    いつのまにか、言われれば分かりきったこと、にまでたどり着く。

    「金融経済」は殺しても死なないゾンビ。
    オリンピック参勤交代方式。(金を使わせて余計なことをする体力を奪う)
    「社会建設」がなくなって、欲望がすぐ充足されると、ヒトは人間じゃないものになる。
    「大きくなる」はもう限界。お客のいない産業ってどういうこと?
    「損得で物事を判断しない」ことを「正義」という。
    もうね、橋本ワールドのまっとうさって凄いです。
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    投稿日:2020.02.11

  • reso100

    reso100

    序章,第一章まで読んだ.面白い!(2007年)再度読み始める.第6章にまとめの部分があり、全体の把握に最適だ.この先、どうしたらいいのか? の解答として、"まずは日本人が天動説から地動説に戻って、「自分たちが社会の上に乗っかって動いている」という謙虚な意識を取り戻さないと「心のある論理」は生まれてこない.(p217)" がエッセンスだと感じた.ここでいう天動説は、80年代以降の現象を要約した概念だ."もう豊かな社会が出来上がってしまっている.それが当然の環境で育った若い人は、自分たちが汗水垂らして社会を作ろうなんて意識はなくなる.自分の幸せのために社会があるっていう、自己中心の「天動説」になったんです.(p137)" 橋本節が満喫できました.続きを読む

    投稿日:2017.12.19

  • keisukeku

    keisukeku

    俺なんかもバブルの時になんか変だな、嫌な感じと思ってたから、そうだったんだぁ~!て膝を打てるけど、その頃ちっちゃかったり、まだ生まれてない人も今や大勢いるから、実感湧かない人もさらにもっといるんだろうな。
    人ってやってる最中は何やってんのかよくわからないことのほうが多い。特に状況がそうなっててその状況に対応する時なんてそうだと思う。だから、後になって、あれはそういうことだったのか!となる。でも、必ずそうなるわけじゃなくて「あれは一体何だったのだろう?」と自分で問いを立てないとおそらく永遠になんだかわからないまま終わるでしょう。それで、無事に人生終えるならそれはそれでおめでたいことではある。
    でも、なんだか気になる人は、橋本さんの本を読んでみたらいいと思う。
    もう、ほとんどエマニュエル・トッドさんとおっしゃることが一緒なので人間の知性は普遍的だなぁ~と感じた。
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    投稿日:2017.10.27

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