制裁

アンデシュ ルースルンド, ベリエ ヘルストレム, ヘレンハルメ 美穂 / ハヤカワ・ミステリ文庫
(23件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
8
9
4
0
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  • 傑作です。衝撃も、感動も。そして深い思考を要求される。

    『熊と踊れ』の著者のデヴュー作の新訳ということで……、
    文字どおり「イッキヨミ」でした。今年読んだ本の中で一番の読み応えです。

    幼女ばかりを襲う殺人鬼。
    その幼女の父親がおこした行動……!

    著者はテレビ局に勤務するジャーナリストと刑務所での服役経験のある男性、二人による共著。
    著者たちの議論を下敷きにしているということで、
    司法制度や刑務所の問題をえぐりだす社会派小説。
    書き出しの女児暴行殺害犯から
    娘を失った親の苦しみ。そして暴力の連鎖。

    他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら……。
    けれど、人の生き死にを決める権利を誰にもないはず。
    決して答えはでることはないのだろう問題を投げかけられます。
    テーマは確かに重いのですが、この社会で生きていくうえで誰もが考えなくてはならない問題です。

    ちょっとおまけですが。

    「仕事が自分のすべてになってしまうなんて、ちっぽけで無意味なことだ。なぜって仕事はある日突然終わるのだから。
    そうしたら自分もおわっちまうんだろうな」ここの箇所、結構大事だと思います。
    当たり前ですがこういうことが書ける人だから、こういうリベラルな思想が礎にあるから
    こういうスゴイ小説が書けるのだとしみじみ思いました。
    北欧ミステリー人気を支えているのは、
    世界的にも水準が高いといわれるリベラルな北欧社会の思想なのかもしれません。

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    投稿日:2017.03.02

  • 巧みな伏線がすべて衝撃のラストへ

    サスペンスに始まり一見犯罪をめぐる社会派劇だ。しかしながらそれは巧みな伏線が張り巡らされ、
    衝撃の結末に繋がることに読後気づかされる。あまり経験のない傑作。

    投稿日:2017.08.06

ブクログレビュー

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  • nari-aki

    nari-aki

    Amazonでお薦めにずっと挙がっていたので、読書。
    別の北欧のミステリ小説を読んで面白かったので、別の作家のを読んでみる。
    「凶悪な殺人犯が護送中に脱走。市警のベテラン、グレーンス警部は懸命にその行方を追う。しかし。」
    ストックホルム市警のエーヴェルト警部を主役とするシリーズの一冊目。

    内容はかなりどぎつく、残酷。
    翻訳が素晴らしく、スピード感がよい。

    『制裁』(ハヤカワ・ミステリ文庫・Kinde版)

    いわゆる“私刑”による負の連鎖というべきか…。
    原題は“ODJURET”で「怪物」などの意味らしい。
    主要登場人物の内なる“怪物”性が怖かった。

    いわゆる“私刑”による負の連鎖というべきか…。
    原題は“ODJURET”で「怪物」などの意味らしい。
    主要登場人物の内なる“怪物”性が怖かった。

    物語の中盤に出てくる裁判のところ。
    ここは死刑制度のないスウェーデンと日本の違いから、罪と罰というようなことを考えた。
    どうなんだろうなぁ…。“英雄”なのか、はたまた、そうでないのか…。
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    投稿日:2019.10.28

  • 黒い☆安息日

    黒い☆安息日

    このレビューはネタバレを含みます

    「3秒間の死角」が面白かったので、グレーンス警部シリーズを追いかけてみようと手に取った1作目。

    オモロい、サスペンス描写も良く展開も読めずハラハラドキドキできて、何よりテーマも良いぞ。

    (以下ネタバレ)
    死刑制度のないスウェーデンでは、児童虐待レイプの連続犯であっても、刑期を勤め上げれば(あるいは精神鑑定を受ければ)刑務所を出所できるらしい。そんな極悪犯を私的に処刑する事の是非。その処刑を世論が支持し私的リンチが流行する怖さ…

    でも、俺も娘を作中のような残酷な目に会わせた犯人がいたら、法律関係なくブチ殺そうとするだろうな。人間は社会があって初めて人間たるんであろうけど、作中のお父さんのような目にあえば、社会とかマナーを守れず、自分から社会の一員であることを諦めることになると思う。

    そんな被害者の立場と守るべき社会の秩序を、警察や司法はどのように取り扱うのか。今更ながら思えば、警察官や検事や裁判官もとても難しい判断を強いられる仕事なんだなぁと思ったりした。

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    投稿日:2019.05.01

  • やぎたひろ

    やぎたひろ

    このレビューはネタバレを含みます

    あの「熊と踊れ」の作者の過去作復刊。

    読了後に爽快感を求める方には向かない。死刑について、裁くということについて、平凡な市民の怖さ。おおっぴらに面白い!とは言いづらいですが変態野郎共にはお似合いの1冊だぜ!
    終始犯人に対するムカムカとスウェーデンの人名がソンソン多くてわかりまそん(;´д`)

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    投稿日:2019.03.11

  • winder

    winder

    改稿を反映しての復刊とのことで積読のランダムハウス講談社文庫は未読のまま購入。著者の狙い通り?理不尽さに憤っちゃうね。後手に回る警察がもどかしいし、刑務所の管理のヌルさに、あぁ?、そうなっちゃうよなぁな幕引き。スッキリ系ではないけど面白かったです。続きを読む

    投稿日:2018.12.25

  • 遠雨子

    遠雨子

    このレビューはネタバレを含みます

    娘を幼稚園まで送り届けた後、テレビを付けると見覚えのある男が映っていた。性犯罪者が脱走したというニュースだ。嫌な予感を抱きつつ、幼稚園まで引き返すが…。

    憎しみと悲しみ。喪失。虐待の暗い記憶。
    娘を殺した犯罪者を殺す父親。一度は無罪となるが、上告されて有罪となってしまう。投獄後、過去の虐待の記憶に悩まされる受刑者によって性犯罪者と勘違いされ、殺されてしまう。しかし、父親が殺した犯罪者の次のターゲットは、その受刑者の娘だった。彼は娘の命の恩人を殺してしまったのだ。

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    投稿日:2018.10.30

  • nak812

    nak812

    このレビューはネタバレを含みます

    原書のタイトルは獣(ODJURET)。
    日本語のタイトルは「制裁」

    犯人、刑務所の人々を「獣」として捉え、普通の人間社会でその「獣」たちが荒れ狂う姿を著者はタイトルに込めたのかもしれない。
    しかし、日本語のタイトルの方がより明確なメッセージとして本書のテーマを表している。「制裁」の前に無力となった「法」に、人の中に巣食う暴力と差別意識が暴れ出す。
    何が正義で、正しい制裁はあるのか?を考えさせられる良質の警察小説。

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    投稿日:2018.10.07

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