制裁

アンデシュ ルースルンド, ベリエ ヘルストレム, ヘレンハルメ 美穂 / ハヤカワ・ミステリ文庫
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
7
10
6
0
0
  • 傑作です。衝撃も、感動も。そして深い思考を要求される。

    『熊と踊れ』の著者のデヴュー作の新訳ということで……、
    文字どおり「イッキヨミ」でした。今年読んだ本の中で一番の読み応えです。

    幼女ばかりを襲う殺人鬼。
    その幼女の父親がおこした行動……!

    著者はテレビ局に勤務するジャーナリストと刑務所での服役経験のある男性、二人による共著。
    著者たちの議論を下敷きにしているということで、
    司法制度や刑務所の問題をえぐりだす社会派小説。
    書き出しの女児暴行殺害犯から
    娘を失った親の苦しみ。そして暴力の連鎖。

    他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら……。
    けれど、人の生き死にを決める権利を誰にもないはず。
    決して答えはでることはないのだろう問題を投げかけられます。
    テーマは確かに重いのですが、この社会で生きていくうえで誰もが考えなくてはならない問題です。

    ちょっとおまけですが。

    「仕事が自分のすべてになってしまうなんて、ちっぽけで無意味なことだ。なぜって仕事はある日突然終わるのだから。
    そうしたら自分もおわっちまうんだろうな」ここの箇所、結構大事だと思います。
    当たり前ですがこういうことが書ける人だから、こういうリベラルな思想が礎にあるから
    こういうスゴイ小説が書けるのだとしみじみ思いました。
    北欧ミステリー人気を支えているのは、
    世界的にも水準が高いといわれるリベラルな北欧社会の思想なのかもしれません。

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    投稿日:2017.03.02

  • 巧みな伏線がすべて衝撃のラストへ

    サスペンスに始まり一見犯罪をめぐる社会派劇だ。しかしながらそれは巧みな伏線が張り巡らされ、
    衝撃の結末に繋がることに読後気づかされる。あまり経験のない傑作。

    投稿日:2017.08.06

ブクログレビュー

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  • Gen.

    Gen.

    こう終わるのかって・・考えさせられるなー。
    自分的にはどうなるんやろうって飽きずに読み進み読了。
    グレーンス警部次回以降に活躍があるのか興味津々。

    投稿日:2021.01.29

  • hito

    hito

    私刑の連鎖が生む悲劇。
    どこかで間違いか勘違いが起こりそうな予感はしていたがそこか。。。誰と間違えた??

    投稿日:2020.09.15

  • fattycatlover

    fattycatlover

    このレビューはネタバレを含みます

    「悪童」の解説でみかけて。

    ミステリーとは謎とその解だ。
    謎は殺人だったり、盗みだったり、客の不審な態度だったり、
    解は犯人だったり、動機だったり、過去だったりする。
    主人公の恋愛に夢中になったり、
    美味しそうな食事に心を奪われたりすることもあるが、
    それだけではミステリーではない。
    謎解きの過程を楽しみたいという希望はあるが、
    残念ながらすっとばされることもある。
    全ての謎に解が与えられる訳でもない。
    しかし、謎と解がなければミステリーではない。

    それゆえ、この作品はミステリーではない。
    少女が残虐な殺され方をしていても、
    被害者の家族が悲しんでいても、
    刑事や検察官が犯人に同情しようがしまいが、
    ミステリーではない。
    どこにも謎がない。
    謎がなければ解はない。

    犯人は最初からわかっているし、
    復讐も予想通りだし、
    警察は何もしていない。
    ああ、もしかしたら謎がなくても「どんでん返し」、
    意外な展開、結末があれば良いのかも。
    もちろん、それもない。

    残虐な事件や登場人物の悲惨な過去を読まされただけ、
    ミステリーではなく、
    現代社会の矛盾を描く社会派小説といえば良いのか。
    それともこれが北欧ミステリーなのか。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.02.16

  • agnes

    agnes

    ラストは想像できたけど…いやーあまりに暗くて重い。
    でもこのシリーズは全部買うことに決まり。インドリダソン、特捜部Qと同列で好きかも。

    2回目、暑くなってくるとミステリーを読みたくなる。三秒間の空隙まで一気にいけるかな…続きを読む

    投稿日:2020.02.04

  • とし長

    とし長

    怪物をめぐる人間の話、そして怪物となった人間と社会をめぐる話、とこの本は評せるかもしれません。

    冒頭の描写からどきつい……。女児に性的暴行を加え殺害し捕まった男。その怪物の思考と、犯行の描写の残虐さに、自分はいきなり物語にぐいとつかまれました。

    その怪物が移送中に逃亡。物語は様々な人物の視点を通し、重層的に描かれます。

    途中まで読んだ段階では、逃亡犯を追いかけるサスペンスなんだな、と自分は思っていました。しかしこの小説は、徐々に社会派小説の様相を呈してきます。

    事件が起こした波紋は、当事者たちの思惑や真意を超え、正義心となり、怒りや憎悪へ変化し、司法関係者や普通に暮らす前科犯にも及びます。

    こうした描写はSNSによる炎上が身近になった最近の方が、より身近に感じるかもしれません。作中の市民たちの感情は理解できるものの、それに対しての安易な同調は、自分の中の怪物に餌を与えるようなものだとも思います。

    それぞれの正義と秩序で揺れる人々と社会。そして悲劇に対しての悲しみの描写。いずれの描写力も確かです。そして、そこから問いかけられるのは、自分の中の正義と罰や倫理感。そして犯罪者の処遇と、社会の在り方についてだと思います。

    単なるサスペンスの枠を超え、怪物の存在を、正義と罰を、その暴走を描き、読者である自分にも問いかけてくる、力ある小説でした。
    続きを読む

    投稿日:2020.01.01

  • nari-aki

    nari-aki

    Amazonでお薦めにずっと挙がっていたので、読書。
    別の北欧のミステリ小説を読んで面白かったので、別の作家のを読んでみる。
    「凶悪な殺人犯が護送中に脱走。市警のベテラン、グレーンス警部は懸命にその行方を追う。しかし。」
    ストックホルム市警のエーヴェルト警部を主役とするシリーズの一冊目。

    内容はかなりどぎつく、残酷。
    翻訳が素晴らしく、スピード感がよい。

    『制裁』(ハヤカワ・ミステリ文庫・Kinde版)

    いわゆる“私刑”による負の連鎖というべきか…。
    原題は“ODJURET”で「怪物」などの意味らしい。
    主要登場人物の内なる“怪物”性が怖かった。

    いわゆる“私刑”による負の連鎖というべきか…。
    原題は“ODJURET”で「怪物」などの意味らしい。
    主要登場人物の内なる“怪物”性が怖かった。

    物語の中盤に出てくる裁判のところ。
    ここは死刑制度のないスウェーデンと日本の違いから、罪と罰というようなことを考えた。
    どうなんだろうなぁ…。“英雄”なのか、はたまた、そうでないのか…。
    続きを読む

    投稿日:2019.10.28

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