制裁

アンデシュ・ルースルンド, ベリエ・ヘルストレム, ヘレンハルメ美穂 / ハヤカワ・ミステリ文庫
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
8
10
7
0
0
  • 傑作です。衝撃も、感動も。そして深い思考を要求される。

    『熊と踊れ』の著者のデヴュー作の新訳ということで……、
    文字どおり「イッキヨミ」でした。今年読んだ本の中で一番の読み応えです。

    幼女ばかりを襲う殺人鬼。
    その幼女の父親がおこした行動……!

    著者はテレビ局に勤務するジャーナリストと刑務所での服役経験のある男性、二人による共著。
    著者たちの議論を下敷きにしているということで、
    司法制度や刑務所の問題をえぐりだす社会派小説。
    書き出しの女児暴行殺害犯から
    娘を失った親の苦しみ。そして暴力の連鎖。

    他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら……。
    けれど、人の生き死にを決める権利を誰にもないはず。
    決して答えはでることはないのだろう問題を投げかけられます。
    テーマは確かに重いのですが、この社会で生きていくうえで誰もが考えなくてはならない問題です。

    ちょっとおまけですが。

    「仕事が自分のすべてになってしまうなんて、ちっぽけで無意味なことだ。なぜって仕事はある日突然終わるのだから。
    そうしたら自分もおわっちまうんだろうな」ここの箇所、結構大事だと思います。
    当たり前ですがこういうことが書ける人だから、こういうリベラルな思想が礎にあるから
    こういうスゴイ小説が書けるのだとしみじみ思いました。
    北欧ミステリー人気を支えているのは、
    世界的にも水準が高いといわれるリベラルな北欧社会の思想なのかもしれません。

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    投稿日:2017.03.02

  • 巧みな伏線がすべて衝撃のラストへ

    サスペンスに始まり一見犯罪をめぐる社会派劇だ。しかしながらそれは巧みな伏線が張り巡らされ、
    衝撃の結末に繋がることに読後気づかされる。あまり経験のない傑作。

    投稿日:2017.08.06

ブクログレビュー

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  • 家計法廷

    家計法廷

    このレビューはネタバレを含みます

    アンデシュ・ルースルンドのグレーンス警部シリーズ第1作。初読。

    冒頭の残酷描写から始まり、ただただ胸糞悪い展開が続く。読んでいて辛かった。。。鬱々としたストーリーではここ最近では一番かも。これぞ北欧小説だなぁと。

    冒頭に脱獄する犯罪者がとんでもない化け物(原題も「怪物」のようなニュアンスらしい)。あまりにも理解できない、意思の疎通もできない、どうしようもない怪物。その犯罪者に狙われた娘と、その父親の顛末が描かれる。。。と思いきや。中盤以降、全く予想もしていなかった展開に。憎しみの連鎖というか、悪い方向に転がり落ちていくってこういうことだよなと。読み終えて、邦題の「制裁」に納得。

    あまりの報われなさと意外な展開は非常に良かった。が、グレーンス警部が全く活躍しない笑。デビュー作らしいので、シリーズ化する考えがなかったのかも。ミステリ要素もほぼないため、その点だけ気になった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.02.25

  • ふころぐ

    ふころぐ

    凶悪な殺人犯が護送中に脱走し、次の事件を起こす。刑事、被害者、受刑者など、視点が変わりながら物語が展開する。前半は犯行がグロテスクで読みにくいが、後半はテンポが良く、一気読みしたくなる。社会派ミステリー。続きを読む

    投稿日:2022.09.06

  • Gen.

    Gen.

    こう終わるのかって・・考えさせられるなー。
    自分的にはどうなるんやろうって飽きずに読み進み読了。
    グレーンス警部次回以降に活躍があるのか興味津々。

    投稿日:2021.01.29

  • hito

    hito

    私刑の連鎖が生む悲劇。
    どこかで間違いか勘違いが起こりそうな予感はしていたがそこか。。。誰と間違えた??

    投稿日:2020.09.15

  • fattycatlover

    fattycatlover

    このレビューはネタバレを含みます

    「悪童」の解説でみかけて。

    ミステリーとは謎とその解だ。
    謎は殺人だったり、盗みだったり、客の不審な態度だったり、
    解は犯人だったり、動機だったり、過去だったりする。
    主人公の恋愛に夢中になったり、
    美味しそうな食事に心を奪われたりすることもあるが、
    それだけではミステリーではない。
    謎解きの過程を楽しみたいという希望はあるが、
    残念ながらすっとばされることもある。
    全ての謎に解が与えられる訳でもない。
    しかし、謎と解がなければミステリーではない。

    それゆえ、この作品はミステリーではない。
    少女が残虐な殺され方をしていても、
    被害者の家族が悲しんでいても、
    刑事や検察官が犯人に同情しようがしまいが、
    ミステリーではない。
    どこにも謎がない。
    謎がなければ解はない。

    犯人は最初からわかっているし、
    復讐も予想通りだし、
    警察は何もしていない。
    ああ、もしかしたら謎がなくても「どんでん返し」、
    意外な展開、結末があれば良いのかも。
    もちろん、それもない。

    残虐な事件や登場人物の悲惨な過去を読まされただけ、
    ミステリーではなく、
    現代社会の矛盾を描く社会派小説といえば良いのか。
    それともこれが北欧ミステリーなのか。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.02.16

  • agnes

    agnes

    ラストは想像できたけど…いやーあまりに暗くて重い。
    でもこのシリーズは全部買うことに決まり。インドリダソン、特捜部Qと同列で好きかも。

    2回目、暑くなってくるとミステリーを読みたくなる。三秒間の空隙まで一気にいけるかな…続きを読む

    投稿日:2020.02.04

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