横浜駅SF【電子特典付き】

柞刈湯葉, 田中達之 / カドカワBOOKS
(86件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
10
32
29
4
3
  • 面白い着想から始まったSF作品ですね(^-^)/

    無限に自己増殖する横浜駅が本州のほとんどを覆ってしまった世界。
    そこはSuikaを持たない人間は構内に入れない。

    横浜駅の外で育った青年ヒロトが、18きっぷを手に五日間の冒険を繰り広げます。
    目的は二つ。横浜駅から追放された男の「キセル同盟のリーダーを助けてほしい」という遺言を果たすことと、世話していた教授という痴ほう症の老人の「42番出口に行け」という言葉。
    駅に入って様々な紆余曲折を経ていきます。五日間というタイムリミットのなかでヒロトが感じたことは…。


    JR福岡。増殖する横浜駅から九州を守る組織の職員トシルは、仕事と人間関係に嫌気が差して治安が悪化している四国へ脱走。そこで出会った幽霊の正体は…。

    無限に増殖する横浜駅構内というデストピアで暮らす人々。
    地域によって差はあるものの治安の悪化している外の世界。
    二人の主人公が見る横浜駅を中心とした世界はどう映るのでしょうか。

    ただ増殖して構内の保全を行う横浜駅。
    Suikaを持たないものの侵入を阻み、暴力や破壊行為を行うと即座に構内から追放する自動改札。
    それぞれ組織立って増殖に対抗するJR福岡とJR北日本。
    横浜駅内部で解放活動を行っていたキセル同盟。

    色々な要素が入り交じった本格的なSF作品ですね。
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    投稿日:2016.12.25

  • 良くも悪くもタイトルに惹かれる人向け

    よくある世紀末?SFではあるのだけれど、自分自身が毎日毎日使っている駅が舞台だというだけで、ちょっとだけ違う視点で読めたような。ただ、せっかくなので、横浜駅知ってる人ならではのあるある話などがあればもっと楽しめたかな。続きを読む

    投稿日:2017.03.27

  • 列車の出てこない「駅」の話

    本州の多くが「横浜駅」に覆われている世界の話です。駅が一つしかないので、列車は走っていません。人々は広大な「エキナカ」やその周辺に住み着き、それなりに役割や居場所を見つけて暮らしているようです。


    (1)横浜駅の不思議
    私は東京に住んでいて、年に数回程度、仕事で実際の横浜駅を利用するのですが、訪れるたび、地元のスタッフが案内してくれるルートが異なります。
    あれ、こんなところに出口があったの?と尋ねると、最近出来たんですよ便利でしょうと、ハマっ子たちは得意気な顔。考えてみると、不思議な駅です。
    現実でも、渋谷駅は横浜駅と多重に接続されたせいかこの「いつまでも工事中」病に感染した気配がありますが、本作では、横浜駅のこの不思議な性質が、無限に拡大する構造物の「遺伝子」として利用されます。

    ちなみに、観光地である横浜には、様々な名物がありますね。しかし、本作では、特に横浜という都市への思い入れのようなものは示されません。謎のアニメ「しうまいくん」もフレーバー程度。横浜駅と敵対する福岡のお菓子のほうがディテールが細かいです。あくまでも、変化し続ける横浜駅の特性がテーマなのです。

    (2)目的のない巨大構造としての駅
    本州を覆う巨大な横浜駅に、どうやら自身の存在目的はないようです。いわば、単純に「生きている」のみ。適当にエスカレーターを生やし、改札口を作り、じわじわと拡大していくだけの存在です。
    元々は鉄道駅という明確な目的を持った存在として建設されたものが、その性質を生物的なものに移植された結果、道具ではなく環境のような存在と化し、人々はそこに何らかの居場所や役割を見つけて暮らしています。

    このような社会的実在として、株式会社がすぐに思い浮かびます。営利を追及するための組織としては、実際の活動内容があまりに「不自然」ですよね。しかし、この現代に、会社が理不尽だという物語を書いても、わくわくする冒険にはなりにくいでしょう。似た性質を巨大ターミナル駅に見いだした点が、優れた着想だと思います。

    (3)列車は出てきません
    このような次第ですから、本作に鉄道列車は出てきません。列車に乗降する場所という機能を失っても、いやむしろ失ったからこそ、横浜駅は純粋に横浜駅であり続けることができます。
    この点で、本作はキング「ダーク・タワー」シリーズの殺人モノレールを越えた存在といえるでしょう。謎なぞ好きの狂ったモノレールは、悪意ある存在で、戦うことができました。
    しかし、本作の横浜駅は、明確な目的がないだけで、ある意味では正気の状態といえます。駅の周りに暮らす人間は、これとどう対峙すべきなのか。主人公はある行動に踏み切りますが、本人はその選択に納得していないようにみえます。主人公の人生は、むしろそこから始まるのかもしれません。

    (4)魅力的なサブキャラクター
    中盤から登場する技術者の久保トシルは、他人と話をしていても、相槌を打つ必要を感じずに黙っている人間です。
    しかしこの人物はなかなか魅力的で、価値判断も明確です。ぼんやり流されている主人公よりも、よほどしっかり自分の人生を生きています。私はこういう人が大好き。見ていてとても楽しいです。
    彼の消息は途中で途切れていますが、一体どこへたどりつくやら。本作が大ヒットし、彼が大活躍するスピンオフ作品が次々に作られることを願ってやみません。最後はやはり、あこがれの宇宙に乗り出してほしい。そこでベタベタな落ちがついたりするのも、また人生というものです。

    いかがでしょうか。列車に乗らない駅の話、かなり面白そうではないですか?私は一気に読みました。
    いやあ、twitterがあって、本当に良かった!そういえば、何に役立つわけでもなく大赤字なのに、長らく特殊日本的に大繁栄し、近年でも米国大統領を初め有名・無名の人々に役割や居場所を与えているこのSNSも、奥深くて謎めいた、大いに横浜駅的な存在といえますね…
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    投稿日:2017.07.25

  • 事故増殖な日常と非日常

    タイトルで軽く笑ってしまい、さらに軽い気持ちで購入に至りました。
    結構未来な日本が舞台ですが、JRでよく聞いたり見たりするものが頻繁に登場するパロディ感のある作品。
    それゆえに、セリフや単語で容易に想像を喚起させられるので、読み進めるのが不思議なほど楽でした。
    主人公はエキソトの住人で、青春18きっぷを使った5日間のエキナカ大冒険をするわけです。
    思ったよりも順当にたどり着いたなーというような旅にみえてしまいましたが、文量を考えるとそれくらいでいいのかも。
    途中で九州と四国に舞台が移ったりしますが、そこでの彼らは変に思い入れができなかったのが自分としては印象的でした。
    その後に含みを持たせたりしているので、なんぼでもストーリーを広げて群像劇を書けそうな、そんな広い共感を呼べる世界観を持ったライトSF作品です。
    アイディアの勝利といわれてそうですが、それはそれ、思い浮かんだものの勝ちなんだからいいじゃないですか。
    それだって立派な才能です。
    今後に期待。
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    投稿日:2018.02.15

  • 増殖する横浜駅

    タイトルを見て???と思ってのが正直な話ですが
    はっきり言って面白かったです。
    巻き込まれ型の主人公、途中で加わる様々な、ミッション
    語り口も軽く とても読みやすく面白いものでした。
    実際の横浜駅は何年か前に一度すべての工事が終了した瞬間があったそうですが・・・続きを読む

    投稿日:2018.04.09

  • 不思議な世界観にどっぷり(笑)

    横浜駅が日本の大部分を支配している!?
    そんな不思議な未来の世界なんて?と思っても、リアリティがあり説得力がある描写に、本当にそんな世界があり得るかも・・・と思ってしまうと、その不思議な世界の中の住人となって読み続けた。
    2つの舞台で繰り広げられるちょっとした冒険の展開と、その結末に至るストーリーはとても面白く読後も爽やか。でも、もう少しこの世界に浸っていたかったなぁ。
    続きを読む

    投稿日:2018.10.05

ブクログレビュー

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  • こぐのすけ

    こぐのすけ

    このレビューはネタバレを含みます

     増殖する横浜駅。

     JR統合知性体というパワーワード。いやパワーワードの多いSFは好きです。
     横浜駅案内図が本州すべてってのがそもそもおかしいだろっていう。いや面白かった。表紙イラスト好きですねぇ。挿絵、なんかAKIRAみあるなって思ったらばっちり原画家さんだった。
     列島に走る線路を脳の回路に見立てて、っていう発想いいなぁ。脳の回路にしては単純な気もするけど。日本以外はどうなってんだって思ってたら、もはや壊滅してたんだね、冬戦争のせいで。
     ユキエさんの正体とか、勘違いしたまま助けに行こうとしているトシルの今後とか、気になるところ。外伝があるみたいなんでそっちも読もうかな。
     抜粋。


    「42番出口、どこにあるんだ、そりゃ?」
    「横浜駅にある」
    「横浜駅はそこらじゅうにある」

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.01.30

  • herbtea

    herbtea

    横浜駅が自己増殖しはじめて数百年、ほぼ本州全域が横浜駅となり、人々は体内に埋め込まれたSuikaによってエキナカに管理されて住む。非Suika住民ヒロトはある男から『18きっぷ』と使命を託されエキナカへと旅を始める…。構内に線路が走るわけもなく移動は生成されるエレベーターや動く歩道。不正が行われれば自動改札がやってくる。富士山がどうなっているかとか、JR北日本やJR福岡との攻防等、ヒロトが最終的に何に向かっているか何が起こるのか、想像を巡らせながら夢中で読んだ。とにかく楽しかった!続きを読む

    投稿日:2021.01.10

  • Hideyasu

    Hideyasu

    Twitterへのプロット投稿→ウェブ小説→文学賞受賞→前段部分が外伝となって後から出版、といういきさつを経て出版された本編のオーディブル版。

    あらすじを無理やりまとめるならば、『増殖を続ける横浜駅が本州を覆っている近未来の日本。葉山か横須賀あたりの浜辺で育った若者が青春18きっぷを使って横浜駅の「駅ナカ」に入り、JR北日本が開発したヒト型アンドロイド、反横浜駅組織「キセル同盟」のリーダー、JR福岡のサイコパス社員といった人々の助けを得ながら、横浜駅の中で繰り広げる冒険譚』。

    狂った設定だったが、「全国版」で広げられた風呂敷が回収されたので物語としてはけっこう完結した。登場する日本各地の場所については、赤石岳を除いてほぼすべて徒歩かチャリで行ったことがある場所であったことも面白味を増した。

    各章のチャプターの名前がSFの名作タイトルへのトリビュートとなっていることもうれしい作品だった。
    続きを読む

    投稿日:2021.01.05

  • Rocketman3

    Rocketman3

    このレビューはネタバレを含みます

    横浜住人として気になってて、ようやく読むことができた。まずは表紙イラストにニヤニヤ(笑)。

    なかなかにぶっ飛んだ設定からスタート、登場人物がキャラクターとしてあまり動かないので、ストーリーよりも設定自体を楽しむ小説なのかな? と感じた。それはそれでこれだけぶっ飛んだ設定ならまさにSFだしセンス・オブ・ワンダーだし。でもJR福岡のトシルが四国に渡りアンドロイドのハイクンテレケと行動をともにするあたりからおもしろくなってきた。

    文体がちょっとラノベっぽいのかな(ラノベは苦手)? と思ったが、そうでもなく拒否反応なくスイスイと読み進められてよかった。

    半分くらいまで進んだが、増殖するのがなぜ横浜駅であるのかの必然性? が見えてこなくてちょっとヤキモキ。横浜民としてはなにかしらの意味があるだろうと、どうしても期待してしまうわけで。

    駅という建造物が自己増殖するのは「BLAME!」だな。たしか作者も好きだと言ってなかったっけ?

    216ページで、なぜ横浜駅なのかが語られるが、うーん、ちょっと弱いなあ……。けっきょくはずっと工事が続いていたからってことで、まあそれはそうなんだけど。

    読了、やっぱり設定を楽しむ小説であって、その意味ではSFなんだけど、ストーリーはイマイチかなあ。ぐっとくるところもなかったし、驚くような展開もなかったし……(エラそうですんません)。

    アマゾンレビュー見るとおおむね高評価、日本SF大賞の最終候補にも残ったということなので、単に好みと合わなかったということだろう。

    「BLAME!」が読みたくなったな。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.12.07

  • 片桐水羽

    片桐水羽

    他の設定はすんなり入ってきたのに、最後まで「横浜駅」の違和感が拭えなかった。けど、そんな常識を覆す発想で書かれた小説は興味深かった。続編?もこの後読もうと思う。

    投稿日:2020.11.26

  • 殺菌牛乳

    殺菌牛乳

    本州のどこに行っても横浜駅(一部例外あり)。地図見たら、生まれ故郷も横浜駅化してたー。

    増改築を繰り返す横浜駅が自己増殖を始めた結果なのだが、その発想もさることながら設定も面白いです。
    JR北日本(北海道)がめっさ気になる…

    本編ではある意味「工事」はようやく終わったけれど、現実の横浜駅の工事は開業から158年を経て2030年に終わるのか⁉︎
    続きを読む

    投稿日:2020.11.09

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