【感想】故郷七十年

柳田國男 / 講談社学術文庫
(4件のレビュー)

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  • エルモ

    エルモ

    初めて読む、柳田國男の本。
    子供時代から老年にいたるまでの、心に残ったことが書きつけてある。
    子供時代は、何に心を惹かれて民俗学に興味を持ったか、どんな経験が作用したか、壮年からは自身の問題意識と民俗学を通した解決に向けての思いが書かれている。

    民俗学会のおこりの話や、外国人が日本を研究することを推進し、国内の研究そのものを活発にさせたいという意図があったことは印象的だった。

    単に民俗学を振興するだけではなくてそれをとおして解決できるのではないかという示唆もあり、例えば四民平等になって、農民は士族を批判していたが結局士族の真似をし、自分たちのこれまでの生活を軽蔑する向きがある。これは民俗学でしか解決できないと述べている。

    また、当時議会では昔ながらの文法で発言している慣習を批判し、わかりやすい言葉で話さないと普通選挙にした意味がないと主張している。そこではわからないものはわからないとはっきり言えるよう教育することの大切も訴えている。現代にも通じる問題意識を持っていたことが印象的だった。
    また、珍紛漢の由来が儒者がやたら小難しい言葉を使うことを冷やかしてできた話も初めて知ったように思う。

    民俗学として面白いと思ったことは、地名学と地理を研究している話。同じような名前が散らばっていることなど、そういう視点から見ると面白いと思った。
    また、裸体か身体を隠すかということは文明の度合とは比例しないという文章も興味深く読んだ。
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    投稿日:2021.05.06

  • しの

    しの

    ・友人からのプレゼント。今まで読んだ事のない分野だったけど、語り口調な文体で読みやすかったです。

    ・著名人が沢山出てくるのも面白く、『へぇ〜、そういう人なんだぁ〜』と思いながら出てくる著名人の本をチェックしたりしました。

    ・私達がまだ生まれていない頃の日本。
    ドラマや映画でしか見たことないから、この本を読み進めながら脳内で映像化しても作り物っぽくなるし、ちょっとしたニュアンスが汲み取れない古い言葉もあって現実味を感じる事が出来なかったけど、もし、お爺ちゃんが生きていたならこんな感じで話聞かせてくれたのかなぁって思う。
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    投稿日:2021.03.09

  • nyankoteacher

    nyankoteacher

    20190525 中央図書館
    柳田国男が民俗学の巨人になるまでのキャリアについて、詳しくは知らなかった。分厚い回顧録で、「読み、記録する」という民俗学泰斗の資質が圧倒的に迫ってくるのは、さすが。充実した人の一生には、あふれるばかりの経験が詰まっているのだな。続きを読む

    投稿日:2019.05.25

  • 三鷹牛蔵

    三鷹牛蔵

    島崎藤村の「椰子の実」は柳田が伊良湖岬で体験したことを聞いて詩にしたもので、島崎の体験ではないと。
    島崎が「台湾で兄に会ってくれ」と言うので会ったら、土地の払下申請に在留期間が足りないので口利きを頼んできた。藤村も承知のことと知った柳田は、自然主義とかいって、やってることは役人(当時柳田は農商務省勤めだったか)を馬鹿にしたこんなことか、と憤慨して絶交したと。
     
    民俗学絡みの話は興味深いが、真剣には読めない。遠野の話は一つも出てこないし。
    80歳を過ぎてからの口述筆記なので、話が前後するし、体系立っていない。
     
    念のため付記。面白くないわけじゃないです。
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    投稿日:2018.12.31

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