リーチ先生

原田マハ / 集英社文芸単行本
(83件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
22
35
17
1
0
  • 軽やかな清々しさ

    大分は小鹿田(おんた)焼の里、九州の地から物語がスタートします。
    昭和29年ころ地方の田舎町に突然外国の人が来るとなったら、きっとこんな風だったんだろうなあと思うほど、人々が生き生きと描かれてる。
    こでのリーチ先生と高市少年の出会いから物語がスタート。
    陶芸の話、昔学校で習った人の名前、有名な陶芸家。時代背景。
    アートフィクションとなっているのだけど、ノンフィクションのように感じるほど、高揚感、躍動感が沸き上がってくる。
    高市のお父さんとリーチ先生の陶芸にかける情熱、人となり。
    二人を取り巻く人々。みんないい人で出来すぎのきらいもあるけれど、高市のお父さんの自分の陶芸を模索する人生に心打たれ、情熱ほとばしる清々しい読後感でした。
    芸術に造詣の深い作者ならではの読みやすく、読み応えのある作品だと思います。
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    投稿日:2017.03.20

  • いささかロマンチック過ぎるきらいがありますが

    冒頭から、なにやら大河ドラマか、長編映画を見ているような錯覚に陥りました。
     プロローグは、昭和29年。大分は小鹿田(おんた)焼の里に、イギリスのエライ先生がやってくるというシーンから始まります。その世話係を仰せつかったのが、高市少年16歳。彼は、今は亡き父が残したノートを胸に、いつか自分も陶工にと、夢を抱いている少年です。
     そして、そのエライ先生、バーナード・リーチと触れあう日々の中で、ある日先生が言います。「君のお父さんは、オキ・カメノスケという名前ではありませんか」「どーして、知っちょるですか?」さぁて、ここから物語は急展開。一気に明治43年まで遡り、高市少年の父、亀乃介の波瀾万丈に満ちた、大冒険ロマンが語られていくのでありました。
     小説のタイトルはリーチ先生ですが、主人公は、この亀乃介の方です。彼を通じて、リーチ先生のみならず、かの時代の熱気溢れた状況が、生き生きと描かれています。
     アートフィクションと銘打っているので、どこからどこまでがフィクションか判りません。でも、柳宗悦や白樺派の作家など、ビックネームが続々と登場します。なんせ物語の冒頭、亀乃介が出会うのが、高村光太郎ですからね。これがきっかけで高村光雲の書生となり、生涯の師となるリーチ先生に出会うこととなります。
     先生の人柄、日本美術に対する熱意に心酔した亀乃介は、イギリスに帰国する先生について渡英し、そこで日本式の陶芸を広める活動に参加します。年頃ですから、当然のごとく恋もします。幸せな日々が続くと思われましたが、会うは別れの始まりのたとえどおりになってしまいます。
     時代が時代ですから、戦争によって引き裂かれるのかなと思ってましたら、関東大震災でありました。日本の状況を確認するために帰国することになります。また、いつまでも先生についていては、独自の陶芸を生み出すことが出来ないことも、彼には十分わかっていたわけです。そして時は流れ、プロローグに戻り、また何年か過ぎて、陶芸家となった高市が渡英し、リーチ先生を訪ね、その背中を見つめるシーンで物語は終わります。ホントのところ、日本に戻ってからの亀乃介の人生も気になるところではありましたけれど、その苦労は描かれていませんでした。
     あらすじを書いてしまった感がありますね。失礼いたしました。
     物語の筆致としては軽めの長編ですが、読みごたえ感はバッチリです。連続ドラマにして、あの小鹿田焼の素朴な器を全面フューチャーしたら、きっと面白いものとなるでしょう。
     それにしても、陶芸というものは、面白いものです。釉薬による窯変は、人の手を介さぬ偶然の産物でしょう。また、物語の中でも書かれていますが、太古の昔から、絵や模様がなくとも実用にはなんら影響を与えないにもかかわらず、人は、模様を施し、絵を描いてきました。不思議と言えば不思議なことです。そして、「用の美」を唱え、民藝運動を起こした柳宗悦が、生活の中にこそ美があるとしたのも、さもありなんと思うのです。
     この物語を読み、身近なものに美を発見するのも一興かもしれません。
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    投稿日:2017.01.28

  • 鮮やかで温かな物語

    出版記念のトークショーで、原田マハさんが実在の人物や事件を描く時は、徹底的に年表を調べて、そこに齟齬のないフィクションを挟みこんでゆく、というようなお話を聞きました。本書の主人公は、両親もおらず大衆食堂で働いていた少年。この沖亀乃助というごく普通の少年が、芸術家「リーチ先生」の片腕となってゆくサクセスストーリーとして描かれているのが面白いです。英語は独学で、教育もないけれど、登場する天才たち誰もに「亀ちゃん」と愛されるとても素直で純粋な主人公。そして、誰よりもリーチ先生を尊敬していて、ふたりの絆は凄いです。リーチ先生は、芸術家としてはもちろんですが、ひたすら優しく温かく人間としても素晴らしい人物として描かれています。亀乃助の息子の高市がリーチ先生に会いに行くというエピローグも心憎い演出です。
    全体的には陽だまりのような優しい感じですが、いくつか絵のように鮮やかな場面があるのが印象的です。また、電子書籍だと少し分かりづらいですが、「白樺」風の表紙も可愛いですよね。
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    投稿日:2017.01.29

  • 芸術家の魂を感じる感動のドラマ

    2018年高校入試で出題率No.1だった作品。タイトルが地味なので暫く読書欲が湧いてこなかったのだが、意を決して読んでみた。世界的陶芸家で、明治後期から日英の芸術の架け橋となって偉大な功績を残したバーナード・リーチ氏を描く実話。とにかく志や行動力が半端ない。日本で親交の深かった大学生たちも、高村光太郎、柳宗悦、志賀直哉、武者小路実篤、岸田劉生などなど、物凄いメンバーが名を連ねる。架空の人物を介することで、単なる伝記ではなく情感溢れるストーリーにパワーアップしている。エピローグは涙なしには読めない。続きを読む

    投稿日:2018.10.05

ブクログレビュー

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  • さやちゃん

    さやちゃん

    プロローグの終わりに、まさかつながりが!次の1章からが楽しみになる。あの高村光雲、光太郎が出てくる話。最後まで読むと感動する。

    投稿日:2019.07.15

  • aimaria

    aimaria

    陶芸はさほど興味のあるジャンルではなかったけど、カメちゃんの視点でリーチ先生にどんどん魅了され、陶芸の魅力を少し味わうことができたと思う。

    投稿日:2019.07.08

  • まこと

    まこと

    この物語は、1954年の日本の小鹿谷の、冲高市のところへ、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチが訪れるところから始まります。

    そして話は1909年の日本の東京での、冲高市の父の、冲亀乃助と銅版画家だったリーチとの出会いにさかのぼります。親のなかった亀乃助は英語の堪能さを買われて、リーチの家の書生となります。
    そこから、リーチや東京美術学校生だった髙村光太郎、柳宗悦ら日本の白樺派の面々との交流が始まります。
    そして、リーチとカメは富本憲吉、濱田庄司、河井寛次郎らと、陶芸の道へと進んでいきます。

    陶芸は美しい上に、実用的なものだという「用の美」であるとして、リーチや柳らは陶芸を讃えます。
    リーチは言います「日本で私は、人生において最も大切なものをふたつ得た。ひとつは友人たち。もうひとつは陶芸」
    リーチとカメ、濱田はイギリスへ渡り、陶芸工房をつくりますが、震災や戦争などにより、濱田とカメはイギリスに心を残しながらも帰国の途につきます。

    そして、また、リーチが再び日本の小鹿田へやってきますが…。

    日本とイギリスの陶芸を中心とした、仲間の交流があたたかくとてもいい話でした。

    余談になりますが、私も一度だけ陶芸をする機会に恵まれたことがありますが、自分で描いた少々稚拙な図柄が、焼きあがった時には見違えるような美しく見映えのするお皿に変化したように感じられ感激したものです。陶芸に魅せられる人々の「用の美」の感動はよくわかる気がしました。
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    投稿日:2019.07.01

  • tatsumine

    tatsumine

    原田マハがいつものような特異な芸術家ではなく民藝運動の先駆けになったバーナード・リーチとその助手との関係について書いた物語。
    フィクションだけれどもまるで電気を読んでいるかのようで、後半一気に引き込まれて読み切った。泣けるおはなしでした続きを読む

    投稿日:2019.01.21

  • azuki

    azuki

    このレビューはネタバレを含みます

    大好きな民芸についての本。
    すべてが好きすぎて、8時間ほぼぶっ続けで読了。


    p187
    陶芸との出会いー心奪われる瞬間
    バーナード・リーチ
    すべてが新しかった。すべてが新鮮だっあ。そしてすべてが深い感動をもって自分に向かったまっすぐに飛び込んできた。
    p191
    陶芸にハマり始め、模索している様子
    バーナード・リーチ
    陶芸を手がけてみたい。この手で一から創ってみたい
    p242
    用の美、民芸への模索
    アーツアンドクラフツ
    柳「」私はこれから先、日本全国に残され、伝えられている美しい手仕事を調査してそれを社会全体で支え守っていく環境を作りたい」
    メモ
    ・我孫子観光
    http://maruchiba.jp/osusume/burari/backnumber/abiko-18.html
    ・富本→本を読んで尊敬→ウィリアムモリス
    ・V&A美術館
    https://tabijozu.com/london-victoriaalbertmuseum

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    投稿日:2019.01.01

  • jyunko6822

    jyunko6822

    このレビューはネタバレを含みます

    日本と英国を陶芸という芸術で繫ぐバ-ナ-ド・リ-チ。そして無名の一陶工、亀乃介という若者の長きに渡る心の交流。間にあるのは言葉や文化の違いだったが美への追究心は揺るぎないものだった。プロローグとエピローグに描かれているその息子、高市の成功もリ-チ先生の存在が関わってくるのだと思うと、美術への止むことを知らない芸術家たちの思い入れを感じ、胸が熱くなる。
    しかも、日常使いの陶芸という、人に密着した生活感のある芸術を目指すということが余計に心に響いた。

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    投稿日:2018.11.26

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