【感想】自我と無我

岡野守也 / PHP新書
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • NO MIND

    NO MIND

    自我と無我は対立概念ではなく、未我(プレ・パーソナル)→自我(パーソナル)→無我(トランス・パーソナル)への発達段階だとする。

    投稿日:2016.11.28

  • bax

    bax

    このレビューはネタバレを含みます

    [ 内容 ]
    「自我の確立」と「無我の境地」。
    めざすべき人格のあり方はどちらか?
    自我を主張しすぎるとエゴイズムの蔓延をもたらす。
    一方、無我とは滅私奉公であるとの歴史的誤解も根深い。
    本書では、大乗仏教の唯識学と現代アメリカの哲人・ウィルバー思想を手がかりに、自我と無我の本来的意味を整理する。
    「無我と空」「自我とエゴの違い」「未我→自我→無我のプロセス」などをわかりやすく解説。
    その上で、自我と無我の対立概念を超えた全宇宙論を提唱。
    到達すべき人間成長のビジョンを明確にした、思想的挑戦の書。

    [ 目次 ]
    序章 自我か、無我か―日本の精神史百年の葛藤
    第1章 手がかりとしての唯識とウィルバー思想
    第2章 大乗仏教における「無我」の意味
    第3章 「無我」ではなく「四知」の主体―凡夫から仏陀への道
    第4章 自我中心性の克服としての発達
    第5章 全宇宙の構造
    第6章 「個と集団」の成熟した関係―バランスのとれた進化へ

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    投稿日:2011.04.23

  • Philono

    Philono

    私自身がトランスパーソナル心理学にもにも関心が深いので、この二分野を基盤に発言する岡野氏の著作はほとんど読んできた。が、この本はとくに興味深い。

    まず戦中の大多数の仏教者が積極的に戦争協力の発言をし、「無我とは滅私奉公である」「無我とは天皇陛下のために死ぬことである」と説いていたという。禅僧も含め、戦前の仏教指導者たちは「自我を滅ぼして国のために尽くすことが無我だ」という混同に陥っていた。

    ほとんどの仏教者がそうだったという事実に驚くと同時に、今はその過ちを認識できる歴史的状況になったが、「私があの時代に仏教界の責任ある地位にいたら、本気で同じことを思い、発言していたかも知れない」という洞察にも、ある種の感動を覚えた。

    自我と無我をめぐる戦前の(そして現代にまで至る)思想的な混乱をトランスパーソナル心理学と唯識仏教の視点から整理し、批判するときに開ける展望の新鮮さ。

    この本の中の印象に残った話に以下のようなものがある。戦時中、中国・満州で説法し、兵隊に「国や天皇陛下のために死ぬのが仏教精神だ、思い残すことなく死ね」と説いて回った禅僧が、戦後も宗派の管長として大きな仕事をしていたが、反省して戦後だいぶたってから南方に遺骨拾いに行った。「あの状況下でつい死ねと云ってしまったが、せめて償いにお骨を拾ってお弔いをする」というのだ。

    岡野は、この禅僧に心情的な反省はあっても、どうして戦争協力に至ったかの思想的な反省はないと指摘する。 仏教的な「無我」と「滅私奉公」を安易に混同してしまったところに、戦前・戦中の仏教や禅宗の、思想的未成熟があるのではないかと云うのだ。

    この話を読んで最初に私が思ったのは、禅宗では覚醒、純粋経験など体験的なものが重視されるが、時代状況や歴史のそれぞれの局面で間違いを犯さないためにも、知的・思想的な探求や体験の位置付けが本当に大切なのだなということ。

    いくら体験が大切だと云っても、知的な探求を怠ってはならないこと。知的な探求も同じように大切だということを肝に銘じなければならない。 と、同時に、本当に覚った人が戦争協力などするのかという疑いもいまだに残っている。 本当に覚った人が、国家エゴがぶつかり合い、それに駆り出されて無数の人々が殺し合い死んでいく戦争を是認することなどありえるのか、それは本当に知的・思想的探求の不十分さだけによるのか。
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    投稿日:2008.11.22

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