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フィリップ E テトロック, ダン ガードナー, 土方 奈美 / 早川書房 (20件のレビュー)
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総合評価:
てげてげ読書ノート
「わたしはわかっている」に負けないで
2012年の「専門家の予測はサルにも劣る」という本はご存知でしょうか。専門家には、一つの信念を貫くハリネズミ型と、懐疑的なキツネ型がおり、前者の予測は当てずっぽうと同じか劣る的中率、しかし後者の中には…、限定つきながら、確実に有意な成績を挙げる者がいることを明らかにし、話題となりました。 本書は、心理学・行動経済学の成果や、米国政府の支援の下で行われた大規模な実験(「予測者オリンピック」とでもいうべきか?)を元に、同書のさらに先にあるものを教えてくれます。 (1)ダーツを投げるサル>専門家 賢明な読者の方々は、薄々感づいておられるかもしれません。 我々が日々接している様々な分野の「専門家」は、本当は自分の理解していない、または知り得ない事柄について断言すること。そして我々は、その確信の強さに感銘を受けつつも、その内容を受け入れるかは、真贋ではなく好みによって決めていること。さらに、客観性を無視して特定の立場に固執するほど、専門家の人気は高まり、長続きすることを。 人は、お気に入りの考え方を手離しません。専門家でも、それは同じです。いくら知能が高く勤勉でも、チンパンジーが投げるダーツ以下にしか当たらない、間違った予測の下に行動して、目標を達成する方法を見つけ損なうのです。 (2)恐るべき認知の歪み フェイクニュースが「リアル」と称して積極的に拡散されるこの時代でも、正確さへの需要は高いものがあります。 しかし、知識の豊富さや経験は、決して正確さを担保しません。 本書では、我々が原始的な認知の偏りに、いかに惑わされているかを説明してくれます。問題のすり替えや近視眼的判断。ポーカーのトッププロによるセミナーの事例などから、「わかっちゃいるけどやめられない」仕組みを教わります。この部分だけでも、一冊分の価値アリです。 幸い、心の罠をくぐり抜け、予測の正確さを高めることは、可能です。 本書では、「超予測者」とそのチームには、独特のモノの考え方と、「やり抜く力」があることが示されます。 考え方としては、「外側の視点」をもつこと。確率で考えること。新事実が見つかったら柔軟に見解を変えること。 次々登場する超予測者は、どの人も凄く優秀で、そして地味。リーダーや講演者には不向きです。白か黒か灰色かの三択で思考する法律家出身のオバマ大統領が、「それ結局五分五分だろ」と投げ出すシーンは印象的です。 しかし、超予測者の力が認められる世界では、確実な変化がもたらされます。最初は少しずつ、やがて見過ごせないほど大きなものになるでしょう。 あなたがもし、懐疑的な知性の持ち主で、集団に馴染めず、自己を高く評価しないが、地道な努力を楽しめる性質だとしたら。 それは、あなたの周囲の人々にとり、稀少でかけがえのない資質をもつことを意味するのです。おめでとうございます。 (3)問う人と、答える人 読んでいて、一つ気になることがあります。 超予測者のチームがすごいことはわかる。では筆者である研究者さん(ジャーナリストのガードナーとの共著ですが、一人称の「私」は、主にテトロックを指すようです)、あなたは何をしているの? 彼は、「わからない」ことにワクワクする科学者ですが、超予測者とは違うモノの見方をしています。本書の後半で希望を語るときの彼は、キツネではなくハリネズミ。 それは、彼が優れた「質問者」だからだと思います。有意義な予測をするには、優れた問題提起が必要です。 実は私も、思い込んだら一直線のハリネズミ。超予測者の資質はありません。しかし、本書を読み終えた今、質問者として腕を磨き、予測者の力を引き出す役割は、果たせるのではないかと感じています。人気者やリーダー型とは違う、より相補的なパートナーです。 科学者による本格的な読み物ですが、実例が豊富で語り口はユーモラス。確率論に冷や汗をかく人でも、読み通すのは、そう難しくありません。 ぜひ本書をひもといて、不透明な時代に光を射す、超予測者の世界に足を踏み入れてみてください。そして少しずつでも、考え方を変えられたらいいですね!続きを読む
投稿日:2017.10.25
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ABAKAHEMP
予測し、測定し、修正する
緊急事態宣言は解除されたが、コロナ第2波は来るか? 来るとすればいつか? 多くの人が2020年6月時点で抱いている疑問だと思うが、刊行時に読んで4年ぶりに再読したところ、問いの立て方が間違っているこ…とに気づいた。 "『ファスト&スロー』以来の秀作"と絶賛された本書だが、予測者の視力を0.2から0.5に上げる効果(劇的な変化!)しかないことにガッカリしたのか、皆が手に取る状況には至っていない。 www.goodjudgment.comには、COVID-19ワクチンはいつ発売されるかなど特設ページが作られている。続きを読む
投稿日:2020.06.06
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a0019447
予測に関する本 メモ ・超予測者を目指すための10の心得 トリアージ 一見手に負えない問題は手に負えるサブ問題に分解せよ 外側と内側の視点の適度なバランスを保て エビデンスに対する過小反応…と過剰反応を避けよ どんな問題でも自らと対立する見解を考えよ 問題に対して不確実性はできるだけ細かく予測しよう 自信過小と自信過剰、慎重さと決断力の適度なバランスを見つけよう 失敗した時は原因を検証する。ただし後知恵バイアスにはご用心 仲間の最良の部分を引き出し、自分の最良の部分を引き出してもらおう ミスをバランスよくかわして予測の自転車を乗りこなそう 心得を絶対視しない続きを読む
投稿日:2023.12.24
kazzu008
非常に参考になった。 全く知らない事柄に対して予測する際に、 自分の知っていることとに細切れにして、その一つ一つを予測していく手法は面白い。 世の中には、全く知らないことについて常に予測をしてい…るような人たちがいるのだ。 某国の情報機関の予測より正確だという。面白い。続きを読む
投稿日:2020.10.25
kwtms
予測を定量的に評価しようというお話。一発、ワンショットで未来を宣託するのではなく、変化していく状況などの影響因子を評価して数字(確率)で未来を見通す。だから予測も漸近的に推移していく。そと精度を評価し…ていくところが面白い。そして評価の高い予測者とはどんな組み立てをするのかを定性的にまとめているのが参考になるかも。 それにしてもCIAの分析官や天気予報士などプロの予測者でも自身の予測について外れることへの逃げ道を残す表現を使う習性があるところが人間くさいもんだ。続きを読む
投稿日:2020.05.11
ネク
予測できることとできないことを明確に 長期的な問題に関する予測はほぼ無理 問題を明確に 自分に都合よく解釈しない 認識のバイアス 大きな問題は小さな問題の集合に分割して考える フェルミ推…定 類似事例をもとにベースとなる確率を設定しそこから予測確率を調整 新たな情報を得た場合は予測を調整 情報の重要性を考慮 他者の意見も予測に反映 自分の考えに固執しない 予測内容は具体的に検証可能な状態で 予測対象、期間、予測結果の指標 どうすれば結果から予測精度を検証できるか 検証時は後付けバイアスに注意続きを読む
投稿日:2020.01.25
グアルデリコ
本書は予測力の高い人達の思考方法や行動原理の共通法則を、エビデンスに基づいて整理した画期的な本。本書で紹介している法則は、予測力だけでなく、学問的にも企業活動的にも仮説を立てるにあたって活用すべき思考…方法として非常に有効な方法ではないかと思う。研究者、コンサル、行政や企業の企画スタッフ、そしてマネジメントの職にある人たちにとっての必読書。続きを読む
投稿日:2019.09.26
M. Nakamoto
すごく面白いです。未来予測の本であるし、リーダーシップの本でもあるし、投資の本でもあるし、確率論の話でもあるし、機械学習に通づる話でもある。書き口も平易ですごく読みやすい。
投稿日:2018.12.12
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