【感想】宇宙は「もつれ」でできている 「量子論最大の難問」はどう解き明かされたか

ルイーザ・ギルダー, 山田克哉, 窪田恭子 / ブルーバックス
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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  • てんこ盛り

    タイトル通り、もつれがどれだけの人を悩ませパワーを動員して今日に至ったかよく分かる内容てんこ盛り。ページもボリュームたっぷりで金額分十分に楽しめる。
    しかし、読んでいる途中では損した感が強かった。最後は損と思わなくなったが、やはり感想は、かなり残念な感じ。私の読解力がついて行かない。起承転結の起がない、結がない。話が唐突に始まり唐突に終わるので、何を言いたかったのかわからない。人名がいっぱい過ぎ、話と関係ないちょい脇役も登場し混乱、ご勘弁。その理由は、うんちく挟み込み過ぎなのだろうと思う。せっかく調べ上げたことはきっちり書き残したいのだろうと思った。
    逆に量子力学をかじっている人には面白いのだろう。
    ただ章、節ごとに何のために書いているのか分かるように起承転結など考えて欲しかった。翻訳した人は、分かりやすく文章まとめて欲しかった。途中にうんちく挟み過ぎ。
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    投稿日:2017.10.11

  • 読みやすいが、本題は難解。

    アインシュタイン、ボーアの世代から現代まで、量子力学の進展を、アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んだ「量子の非局所性」の捉え方の変遷を中心に辿った力作。(最近、量子もつれを完璧に証明する実験(本書の後半で中心的な役割を担うジョン・ベルが考案した不等式に基づく)が行われ、アインシュタインの主張が間違っていたことが正式に証明された。)
    しかし、本書を貫く問題、「量子の非局所性とは、いったいどういうことなのか?」という問いに対する答えは最後まで得られない。現代に至っても理解できている人はいないはずなので、当然のことだが。
    本書の特筆すべきもうひとつの特徴は、各世代の物理学者たちの人物像を物語の主人公の様に描いていることで、今まで知ることのなかった物理学界の偉人たちがとても身近に感じられる。個人的には、アインシュタインには人格的にも改めて尊敬を、ハイゼンベルクには親近感を、そしてシュレディンガーには嫌悪感を感じた。ここは人によって感じ方は違うかも。
    最後の章で本題に関する、現時点での結論めいたものが示される。現代の物理学者、フックスの考えとして、「量子論の構造は物理学について何も語っていない」「量子論とは、我々が知っていることを記述する形式的なツールである。」すなわち「量子論と呼ばれるものは、情報理論、つまり、量子の実体そのものよりむしろ実体に関する知識についての理論である」という意見....。 今だにピンとこない。
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    投稿日:2019.02.06

  • 量子力学は面白い

    量子論の謎であった「もつれ」について、その黎明期から現在まで、物理学者たちにどう語られてきたかが述べられている。有名なアインシュタインとボーアの論争や、EPR論文についての様々な物理学者の反応、さらには「実在とは」という問いに関して、エピソードを交えながら物語風になっていて面白かった。
    最初、これは物理学の本だと思って購入したのだが、特に量子論に関する詳細な記述があるわけではなく、個人の書簡や会議での記録、取材をもとにした科学史みたいなものだと思った。ただ、それで期待はずれだったというわけではなく、著名な物理学者の様々な側面が見えて興味深かった。
    エーレンフェストの晩年と死、ボームの終戦後の研究生活などは結構衝撃的で、読んでいて胸にくるものがあった。また、ボーアがなかなかコペンハーゲン研究所の独裁者という感じで、それまでの印象が変わってしまった。
    21世紀に入り、実験技術も発達し、「もつれ」についての理解は前世紀に比べて大きく前進した。量子論は現代では情報理論だと言われている。波動関数は知識の束であり、物理学では局所的な実在というものは否定されている。
    エピローグでのフックスの言葉は印象的だった。「量子論の構造は、物理学について何も語っていない。」、「量子論とは、我々が知っていることを記述する形式的なツールだ。」
    量子力学から情報理論を切り離せば何が残るのかというフックスとルドルフの問いはこれからも議論されるのだろうか。
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    投稿日:2020.07.20

ブクログレビュー

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  • bushxx

    bushxx

    初期の量子力学の歴史を、偉人たちの残した言葉をセリフとして使って、小説風に語った本。教科書には物理学の偉人たちがさも当然のように数々の発見をしたように書かれますが、実際はその着想に至るまで色々な苦労があったり、発表しても他の学者たちに受け入れられなかったり、様々なドラマがあったことが分かります。

    まあこの本はだいぶ脚色が入ってるとは思いますが、それでも大筋の流れは正しいのじゃないかと思います。

    シュレーディンガー方程式とかベルの不等式とか専門用語もたくさん出てきますが、それらの中身にはあまり言及せず、それらが当時の物理学者たちにどういう風に受け止められたか、という観点で主に描写されています。セリフ中心で書かれているので、読みやすく物理学者たちもキャラが立ってて面白いです。量子力学版の大河ドラマですね。
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    投稿日:2024.03.31

  • ganchan41

    ganchan41

    量子論で議論されてきた歴史が、アインシュタインとボーアの対立点、ERPパラドックスとベルの不等式、さらにベルの不等式を破る実験と現代の量子もつれを使った情報理論まで 物語として著されている。数式はほとんどないが、量子論の不思議さは良くわかる。ボーアが相補的と呼ぶ 光子と波、アインシュタインが存在を願った隠れた変数と物理学としての実在。量子もつれや波動関数の観測による収縮は、読み終えても未だ理解できていないが、量子力学はそうゆうものだとして捉えることが、現在の大多数の学者の知恵らしい。ベル曰く、FAPP(For All Practical Purposes)
    実用的な目的には十分である。
    結局、量子に影響を与えずに測定することは不可能なのだから、測定という言葉は正しくなく、あくまでも実験の一部として捉えるべきらしい。シュレジンガーの猫は実験して初めて生死が決まるのだ!???
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    投稿日:2024.02.03

  • 橘 浩則

    橘 浩則

    とても優れた歴史小説。

    量子力学の概念的な概要と寄与した物理学者の名前を知っている人の方が得るものが大きい。

    そうでない人にとっても、知らない国の知らない時代の面白い歴史小説を読んでいたらたまーに知っている人物やエピソードに出会う という楽しみがあると思う。

    資料研究に基づいた実話という立て付けだが、資料記録の表現方法は闊達でほぼ創作の域にある。

    私がこれまでに知っていた量子力学の研究の経緯、特に登場人物間の関係性について、ここまでビビッドに詳細に読めるなんて、、、有難う としか言えません。有難う。

    近年の理論物理領域の書籍の中には、数学で表すのが精一杯だった理論を概念的に説明する事に挑戦したもの そしてそれが数学的に間違っていない ものが増えました。
    有難い事です。
    そしてこの書籍は、そのような概念的理解のレイヤーで語られています。

    22世紀に残されるべき名著と思います。
    個人的にはこの本を1960年に読んでいたかったです。
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    投稿日:2024.01.14

  • 赤木かん子【公式】

    赤木かん子【公式】

    この解説書いてる人が、めっちゃうま!
    これで書店員?!
    名前覚えておくといいよ。
    まあ、読んで分かるものなら読みたい一冊です。

    2023/07/18 更新

    投稿日:2023.07.13

  • hamakoko

    hamakoko

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057415

    投稿日:2022.10.05

  • たけ坊

    たけ坊

    もつれの話というよりは、100年前から最近までの、物凄い量の量子論と物理学者のエピソード集。
    名前しか知らない物理学者たちのキャラクターが伝わってくる。彼らも人間だなぁという感じ。
    ナチスがもたらした災厄も描かれていて、特にエーレンフェストの話は悲しい。続きを読む

    投稿日:2020.03.21

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