【感想】スマホが神になる 宗教を圧倒する「情報革命」の力

島田裕巳 / 角川新書
(10件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 城田逸

    城田逸

    『スマホが神になる 宗教を圧倒する「情報革命」の力』
    著者 島田裕巳
    角川新書 2016年

    宗教に関しての数多くの著作で知られる著者の宗教側からみた最新機器に関する論考。本書をの主張を簡潔に述べるのであれば、最新機器により宗教は今、岐路に立たされている。といったところだろう。詳しく解説しよう。
    まずは本書の肝になる部分を引用する

    ただし、ローゼンは、インターネットのインパクトは、必ずしも宗教界にとって好ましいものではないかも知れないと言い、『MITテクノロジー・リビュー』誌が伝えている。インターネットが盛んに利用されるようになったことと、宗教界に所属する人間が少なくなったこととのあいだの相関関係について触れている。
    これはシカゴ大学の総合的社会調査のデータを、オーリン工科大学の教授、アレンダウニーが分析したものである
    まず、基本的なこととしては、アメリカ国民のなかで、どの宗教団体にも所属していない人間は、1990ねんの8パーセントから、2010年には18パーセントに増えた。これは、無宗教の人間が2500万人増えたことを意味する。
    ダウニー教授は、この無宗教の増加と関係していると考えられる、教育や社会経済的地位、宗教的な背景を分析したが、それでは説明がつかないという。
    では、その原因は何なのか。
    教授の仮説は、インターネットの使用者の劇的な増加だというのだ。

    精神科医の片田珠美は、『孤独病ー寂しい日本人の正体』(集英社新書)という著者の中で「ネットで簡単で気軽という利便性を考えれば、人を孤独から救う宗教と同じ機能をネットが代替しているのはよくわかる気がする」と述べている。ネットは、「現代人の孤独を癒す格好の道具」だというのだ。

    スマホを手に入れた人間は、年がら年中、それをいじり、画面に見入るようになっていく、そうなれば、神について思いを馳せる時間は必然的に奪われていく。その面ではイスラム教の信仰とスマホは共存できない。スマホは、信仰を弱体化させることに結びついていく可能性がある。

    そうした反応が、イスラム教以外の宗教で起こらなかったのは、これまで述べてきたように宗教としての構造に違いがあるからだが、欧米や日本のような先進国では、すでに「世俗化
    」が大幅に進行していて、日常の生活において信仰はさほど重要な役割を果たさなくなっている。

    宗教というものは、究極的には個人のものであり、たった1人でも特定の信仰を持つことはできる。
    だが、たいていの場合には、その周囲に同じ宗教を信仰している家族や仲間がいるわけで、その点では、宗教は共同体的で、社会的なものである。
    (中略)
    地域共同体もなく、家も共同体としての性格を失ってしまえば、そこには宗教など存在しようがない。資本主義社会は、宗教の存在基盤を脅かす方向に向かってきた。今やそのことがはっきりとした形をとり、世界的に、無宗教が増える事態が生まれているのである。

    つまり、宗教自体がスマホなどの最新機器や資本主義の共同体の解体を促進するという一つの作用により、信者が激減(主に新興宗教が)しており、これからもスマホは進化していき、神の代理のようなものになり、その時宗教はどういうものになるのか、またはスマホ教それ自体が解体される日もあるのか。そのような内容である。

    最新機器を導入し、うまく信者数を増やした事例として、真如苑が挙げられている。うまく適応した事例なのだろう。


    これからの宗教について考えさられる1冊であった。宗教が消えるということは個人的にはないと思っている。宗教の機能からして、やはり、救いの面は大きく、今のような目まぐるしく変わっていく昨今どうしても適応できない人間も出てくる。そのような人たちを救うという側面でやはり、宗教のような中間団体の存在は必要不可欠であると考えるからだ。よって、私が考えるに、宗教は小集団化していき、何かを求めて、集まり、そして解散して、また何かを求めて集まるというようなグループの役割が強まっていくのではないかと考える。
    だいぶ、ビジネス文脈の考え方であるが、このような宗教の集団が、今後生き残っていくのではないだろうか
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    投稿日:2024.01.19

  • bachbygg

    bachbygg

    宗教学者によるスマホ社会の考察。スマホはイスラム教との相性が良いらしい。メッカの方向や祈りの時間など必要な情報が簡単に手に入る。意外な感じもするが、イスラム教で大切なのは型を実践することであり、他の宗教のような忠誠心が必要ないというのは知らなかった。 著者は、ポケモン GO を事例として考察しているけれど、ポケモンをやらない人や知らない人には、あまり良く分からない考察かもしれない。 ポケモンの話だけで1/3くらいのページを使っている。もっと鋭い洞察を期待したが、大体ニュースなどで知っていることが多かった。 本の厚さ同様、中身も薄い。続きを読む

    投稿日:2021.08.02

  • Ogawa Koichi

    Ogawa Koichi

    確かに、スマホ(そしてAI・IoTも、もはや同義)が、あらゆるビジネスを破壊している。
    紙の書籍はもちろん、音楽CD業界も、DVD&TVなど映像も含めたコンテンツビジネス業界。
    もちろんゲームも、パッケージゲーム(家庭用ゲーム機)は、完全にスマホに置き換わった。
    自動車産業も、電気自動車になってしまえば、既存の内燃エンジンノウハウは必要ない。
    さらに自動運転になってしまえば、物流が大きく変わってしまう。
    「医療」も「教育」も、遠隔での操作が出来るならば、地域による格差は無くなっていく。
    そんな中、「宗教」こそスマホに駆逐されてしまうのではないか?というのが本書。
    今まで「ビジネス」にしか注目していなかったが、言われてみれば確かに!
    そもそも宗教の意味って、「神を信じる」にある。
    浮世が不幸だから、極楽に救いを求める。
    「たとえ貧乏でも正直に生きていれば、神様が天国に連れて行ってくれる」
    これが基本の考え方。
    宗教の宗派によって多少違いはあれど、基本は「神を信じる」ことにある。
    スマホが万能で、スマホこそが神だから「宗教を駆逐する」という訳ではない。
    単純に、スマホ依存になって、時間が限られるのだ。
    アメリカでは、キリスト教の日曜礼拝の参加者が激減しているそうだ。
    それも納得できる。
    わざわざ救いを求めに教会に行くか?
    スマホであらゆるものが手に入る(ような気がする)。
    ゲームやったり、動画見たりで十分に忙しいのだ。
    逆にイスラム教は、祖国からヨーロッパに亡命していることで、ヨーロッパでのイスラム教信者が増えているらしい。
    イスラム教は「神」を崇める宗教ではないために、スマホのよう便利なIT機器と相性がよかったらしい。
    それらも今後はどうなるか分からない。
    確実に、想像すら出来ない未来が近づいて来ているのを感じる。
    既存の考えに固執していては、間違いなく取り残されてしまうだろう。
    「宗教」すら変わっていく未来で、我々は果たしてどうやって生き残るのか?
    (2016/11/28)
    続きを読む

    投稿日:2020.10.17

  • deki

    deki

    宗教とはなんなのか
    法律では「超自然的、超人間的本質の存在を確信し、畏敬崇拝する信条と行為」と習います。
    でもそれは布教側からであって信仰する側からすればなんなのか。

    日本的には「救いを求めるコミュニティ」
    ではないかと思います。
    友人曰く仏陀が日本の仏教を見聞きしたら「この教えって誰の?」って絶対聞くって言ってましたσ^_^;
    まあ今はコミュニティってスマホが代替していってて信仰の入る隙というか時間がなくなってきてるように思います。

    そういう意味でいうとこの本はよくわかります。
    続きを読む

    投稿日:2018.02.11

  • H.Sato

    H.Sato

    文科系の研究者にといっては論文を書くことが最も重要な仕事。
    ユダヤ教のポータルサイトaish.com
    ユダヤ人のディアスポラとポケモンGo
    どちらもそれぞれの場所で使命を果たすと次の場所へ移っていく。ユダヤ人の目的は神の火花を集めてイスラエルへと帰還すること。
    スマホの最大の敵は、水没、紛失、破損
    続きを読む

    投稿日:2017.07.11

  • みみめめ

    みみめめ

    こんなに中身がない本を久々に読んだ。島田さんはもう少しじっくり考察を深めてから文章にしてほしい。年々切れ味が鈍っていないか。

    投稿日:2017.06.14

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