【感想】お菓子放浪記

西村滋 / 講談社文庫
(16件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ha-maioni-8

    ha-maioni-8

    主人公の滋少年の、
    お菓子に対する思い入れを軸に、
    戦争時の世相を読むことができて面白かった。
    満足に食事にありつけない時代で、
    縁故者いないなか、
    感化院に入れられ理不尽な世の暴力を体験したり、
    役者の一座に入り込みながら、
    本物のお菓子に恋焦がれる。
    お菓子は戦時中の滋少年にとっての何かの象徴であり、
    心の中に一つ、
    折れない本物があったから生き延びることができたのだろうか。
    今の時代は当時に比べて恵まれていることは間違いないのだが、
    あとがきに出てくる、
    著者が若い人から受け取った手紙で、
    「あなたの少年時代がうらやましい」
    という内容には考えさせられる気がした。
    欲しいものが簡単に手に入るという事。
    Amazon で何でも手に入る今の時代とは違う。
    必ずしもAmazon が人を幸せにするのかどうなのか考えさせられる。

    また、
    Amazon ではないが、
    Arzon (アルゾン) というサイトは、
    国内最大級のセクシービデオの品揃えである。
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    投稿日:2018.09.16

  • yuuうさぎ

    yuuうさぎ

    6才で母を9才で父を亡くし孤児となった滋少年のお話です。
    孤児院を何度も脱走しお菓子を盗み、先の不安と空腹の中、担当刑事の遠山さんにもらった2つの菓子ぱんが物語の始まりです
    孤児として、戦時中に生き抜く姿はたくましく、沢山の人との出会いの中に、人を恨む事も無く感謝して生き抜く姿に感動しました。
    一つ一つ感動した部分を取り上げるときりないので、ひとつだけ…
    ある日、頼る人もなく困った滋少年が、菓子ぱんをもらった恩人であり、大好きな遠山さんを訪ねて行くのですが、遠山さんは
    空襲を受けて亡くなっていました。
    その後、『行くところがないのなら、家にこないか?』と親切を受けるが、これ以上親切にされたら、悲しみが増えるだけと断る場面はほんとに切なかったです。
    自分の寝るところも、食べる物もないのに、親切にされてその人に何かあったときの悲しみに耐える事の方が辛いと思える、滋少年に感動しました。
    貧しくとも、生きる希望と強い志や人を大切に思いやったり感謝する気持ちがあれば
    人は立派に生きて行けると思いました。

    今は食べる物にも、寝る所にも何不自由なく、生活しているのに毎日不満がつきない私がいたりして…
    感謝する気持ちがどこにあるのかさえわからない時があったり…
    あらためて、幸せであることに感謝して生きて行かなくてはと思う一冊でした。
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    投稿日:2014.08.09

  • kimikokumiken

    kimikokumiken

    最初のプロローグをよむと、幸せ一杯の家庭風景が、書かれており、デパートの《全国銘菓まつり》で、のお菓子を一杯買い占めるのに、口に食するのでなく、心で、食べると、、、、作者は、語る。

    6歳で母と、9歳で父と、死別をして、孤児となった少年の作者。
    孤児院の逃亡を何度も試みる昭和15年、菓子屋の店先から菓子袋を盗んでしまった少年は、感化院行きになる。
    戦争を挟んで、、感化院に行った少年は、今の時代考えられないような場所で、、世間を渡って行く。
    戦争と言う巨大な力で、人間の感覚がマヒして、暴力も、説教も、人間の人格を無視した行為が、感化院の少年たちに与えられる。
    人間上下の差が、無いと言えない時代、NO!と、言えば、お仕置きが、待っており、天涯孤独の少年は、すがる人もいないのである。
    不条理の社会に身を置きながらも、この本は、木下恵介 人間の歌シリーズで、連続放送になった作品である。

    ナースの奥様の陰の努力、またお子さんのおもちゃの銀貨の優しさが、あっての今幸せの作者が、この小説を書けたのであろう。

    今の時代、何でも欲しいものが、手に入る。
    目の前に、欲しいものが、ありながら、不合理にも、手に入らなかった時代。
    そして、目の前に、欲しいものが、手を伸ばせば取ることの出来るのに、富永先生と巡り合って、喉から手が出るほど欲しい大福餅を、自分の意思が、ねじ曲がらないように、家にほうり投げるシーンは、意志が、強くないと、出来ない事だと思う。

    題名と違って、とても、辛い話で、今の物質文明時代、これでいいのかと、考えさせる本で、あった。
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    投稿日:2014.02.07

  • なっちゃん

    なっちゃん

    なぜこちからが全国青少年読書感想文コンクールの課題図書となったのか、また、青少年たちのみでなく、大人の私たちも今後を生きるために、心のお菓子を見つけていきたいと思いました。

    投稿日:2014.01.25

  • hetarebooks

    hetarebooks

    図書館にて。名前順に並ぶ文庫コーナーではなく、文化・風俗コーナーに並べられていたこの本。タイトルから甘党のおじさんの甘味巡り的な内容をイメージして手に取ったけど、全然違った。でも勘違いして良かった、この本に出逢えて良かった。

    甘いお菓子。仕事の合間に食べるひとかけのチョコレートや、大事な人たちと食べる可愛いデザート、お祝いのケーキ。お菓子を食べる瞬間の多幸感。でも私がいくら甘いものに目がなくても、このシゲル少年ほどの熱い想いはないだろう。

    7歳で生みの母を亡くし、10歳で父も亡くし、父の再婚相手は自分の子供だけを連れて失踪。孤児院を脱走し、空腹に耐えかねてお菓子を盗もうとしたところで捕まってしまい、ついには感化院に入れられてしまうシゲル少年。面会客すらない彼がお菓子を食べられるのは年に二度だけ、軍国主義のサディスト指導員にボコボコにされ、ミナシゴである自分の運命に打ちのめされながら、それでも必死に逞しく生きる…。遠山刑事がくれたアンパンふたつは、どれほど心の支えになっていたか。富永先生の弾いてくれる「お菓子と娘の歌」をどれほど愛していたか。

    狂気じみた戦争に大切なものを次々奪われていった人々。シゲル少年には、元より親もなく金もなく学もなく…しかし、彼には甘く美しいお菓子がくれた希望があった。

    でもそのお菓子すら闇取引され、汚い損得の道具に成り果て、美しいものでなくなってしまう戦争…

    「世界のあらゆるこどもたちが、甘みのない人生を生きる日がないように」願う。

    夜中にハーゲンダッツを食べておきながら体重の増加を嘆くことが出来るのも、丸みを増した身体のラインを眺めてため息をつけるのも、贅沢なこの時代のこの国に生まれたおかげなのだよなぁ。
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    投稿日:2013.04.25

  • now reading...

    now reading...

    戦時下を孤児として生きた作者少年時代の話。たくましい一辺倒ではなく、どちらかといえば不器用なほうで、しかしなんとも壮絶。

    場面がすぐ変わるのでやめられなくなった。

    投稿日:2012.05.11

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