【感想】問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

エマニュエル・トッド, 堀茂樹 / 文春新書
(35件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
4
19
8
1
0
  • 手頃なトッド入門書かも 時事ネタも網羅

    トッドにはかねてから興味はあったのだが分厚い著作にはなかなか手がでなかった。これはインタビュー・講演や雑誌への寄稿をまとめたお手軽な新書。時事ネタ(2016年末時点)を扱って読み進めやすいし、「なるほどー」とうならせる箇所もとても多い。フランス人らしくなく哲学嫌いの経験主義者というだけあって話が分かりやすい。一方で、分量ゆえ仕方ないながら踏み込み不足というか物足りない感じもある。本格的な著作に誘導するなかなかうまい広告なのかもしれない。

    あと、とにかく日本は少子化対策をがんばりなさいよ、とのこと。仰るとおりで。

    [目次より]

    1,2はBrexitに関する論考でたがいにやや内容はかぶる。タイトルにもなっているのだが、本書の中では小手調べ的なパート

    3はトッド自身の仕事や方法論を振り返っており、初読の身には大変おもしろかった

    4は人口学による各国近未来予測、手短ながら興味深い。個人的にはロシアの復活には気づいていなかった

    5は悲観的な中国論、日本への言及も多し

    6,7はお膝元フランスでのテロ(およびその後の国民の反応)を受けて。切実な問題意識を感じる
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    投稿日:2016.12.31

ブクログレビュー

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  • gthfhs

    gthfhs

    このレビューはネタバレを含みます

    EUが欧州統合の象徴ではなく、ドイツをトップにしたヒエラルキー構造であることを分かりやすく説明してくれる。

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    投稿日:2022.12.31

  • minusion

    minusion

    自分の見てきたヨーロッパはとても解像度が低かったんだと改めて感じた。

    今のEUがドイツが牽引していて、EUの移民政策に関しても、他国ではさほど問題になっていない人口減少がドイツでは深刻で、それを移民でまかなおうとした結果だというエマニュエルさんの見方も面白かった。

    もっと他の本も読んでみよう
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    投稿日:2022.08.08

  • toshiomi0324

    toshiomi0324

    ブレグジットに対して、いわゆるエリートが反対し、庶民が賛成した構図と断言されている。日本でもだいたいそういう論調だったと記憶してます。トランプ現象に対しても同様。
    5年が経過した今、世界はコロナとCO2と戦っているわけですが、控えめに言って訳がわからない。虚構と戦っている。それでもグローバリズムを維持できればエリートとしては良いのでしょう。
    健全な民主主義を維持できる言論空間の必要性を痛切に感じますし、トッド氏のような良質なエリートの方々の活躍を切望します。
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    投稿日:2021.11.06

  • 海外おやじ

    海外おやじ

    このレビューはネタバレを含みます

    カバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。

    何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制限をしたいという英国側の思惑も報道がありましたが、筆者の言わんとするのは英国の「主権の回復」です。英国はこれまでも通貨発行権も手放していませんでしたが、より自国を中心に考えるという事のようです。まあ主権の話も社説等でチラチラ出ていたりしますが、実際EUに住まう学者から説明されると、真偽はともかく「やっぱりそうかぁ」的に思いました。

    ちなみに、ここから敷衍して、自由主義を標榜する英米二大巨頭が一方はBrexitとして他方はトランプ元大統領が行った保護主義として自己否定しているという事を述べており、行き過ぎた自由主義にはちょっと反対な私としては、心のなかで激しく同意した次第です。

    他方で、いまいちだなと感じたのは、まとまりのなさ。
    7つほどのインタビューや論説の寄せ集めであり、余り深さを感じませんでした。人口学や家族論が専門の方ですが、そうした方が移民について語ったり、フランス国内のテロが移民家系の国民が起こした点について語るのはなるほどと思うのです。ただ、そうした学者が米国政治の行方とか、中東情勢について語るのは、あたっていることもあるかもしれませんが、ぱっと見、テレビのコメンテーター的な雰囲気を感じてしまいました。

    ・・・

    上にも書きましたが、ちょっとコメンテーター的ではありましたが、言っている内容は割と同感する部分が多かったです。家族論が専門とのことで、うちのように国際結婚した家からすると筆者がどんなことを考えているのか他の専門書も読んでみたいと思いました。

    欧州やEUについて学びたい方、フランスの現代社会の歪みや移民政策に興味のあるかた、政治全般に興味のあるかた、人口学・家族論に興味のある方にはおすすめできる本だと思います。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.07.27

  • show5

    show5

    トッド2冊目。ずっとカバンに入れてて細切れで読んだのと、中身も細切れなので印象は散漫。それでも面白い。こういうのは基本的にそのとき読むべきものなのだろうけど、少し遅れて読むとまた違う評価ができますよね。そろそろ主著に手を伸ばすべきだな。多作なので全部は無理だろうが。続きを読む

    投稿日:2021.03.27

  • izmy2009

    izmy2009

    「今、世界で一番危なっかしいのは、アメリカではなくヨーロッパなのです」2016年刊行時点の衝撃的な発言だが、改めて読み返してみるとなるほどと感じてしまう。EUの求心力低下が危惧される。

    投稿日:2020.04.15

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