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佐々木健一 / 文春文庫 (23件のレビュー)
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総合評価:
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7
辞書は個性の塊だ!
三省堂という出版社が出している国語辞典に、『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』というふたつの兄弟のような辞書があります。元々は国民的な辞書でだった『明解国語辞典』を親として、国語学者にして稀代の天才…辞書編纂者の見坊豪紀による『三省堂国語辞典』と、同じく国語学者で反骨の鬼才辞書編纂者であった山田忠雄による『新明解国語辞典』に袂をわかったのです。 辞書に個性があってはいけないと思う人も多いかもしれませんが、編纂者が違えば、さらには時代が違えば辞書の内容は全く違うものになります。それは個性としか呼べないものになるときがあるのです。多くの辞書が他の辞書からの引き写しのようなものである中、圧倒的な用例採集によってつくられた見坊豪紀の辞書と、恋愛を“特定の異性に特別の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。”と定義するような、個性的過ぎることで“新解さん”と呼ばれ親しまれる山田の辞書。 それぞれがそれぞれの道を歩むには、因縁と確執、国語と文化をめぐる思想をめぐるいくつもの出来事がありました。辞書史、すなわち日本語に関する歴史としても、地味だけれど大事な記録。続きを読む
投稿日:2017.03.15
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bookaholic
項羽と劉邦、最澄と空海、信玄と謙信、エジソンとテスラ…そんな歴史上の大人物達で無くとも、同時代に並び立つ二人の天才のライバル関係を描いたストーリーというのは大抵の場合、すごく面白い。 しかもそれをN…HKの番組制作ディレクターという圧倒的に取材力に長けた人がノンフィクション・エッセイとして書いたら。その時点で面白くなることは自明だ。筆者はこの本が初の著作らしいが信じられないくらい文章の構成が巧みに感じた。圧倒的な取材量に基づく事実の裏どり、肉付けがあることが文章から透けてくる。 『舟を編む』という辞書編纂者にスポットを当てた三浦しをん著の名作小説があるが、あんなドラマは小説の中だけだと思っていた。最近『三省堂国語辞典のひみつ(「三国」の現主幹編纂者である飯間氏が書いた国語辞典の面白さを描いた本)』を読んで自分の中で「三国」がホットになっていたけど、まさかその出自にこんなドラマがあったなんて。 本書に出てくる表現を借りれば正に“字引は小説より奇なり”だった。『博士と狂人』じゃないけど、映画化されてもいいのでは? 大部分、徹底した取材に裏打ちされた事実と推定によって成り立っているけど、終盤の一部分に関してはちょっと妄想や願望が入り混じった「創造的誤読」で筆が進んだように感じなくもなかった。(具体的にはケンボー先生と山田先生の内心を慮る箇所) 終章および「おわりに」の締め方が見事。 改めて新明解国語辞典と三省堂国語辞典が欲しくなった。続きを読む
投稿日:2023.07.08
笹塚おじさん
三省堂国語辞典と新明解国語辞典のそれぞれの編者について書かれた本。 面白かったけど、筆者の推測の部分は、そういう説も成り立つけど、根拠が弱いかなとは思った。 最近、ノンフィクション系の本について同じよ…うな感想を持つことが多いが、もしかしたら読み手側(つまり私側)の問題なのではないかとも思う。続きを読む
投稿日:2022.04.18
りん
舟を編むという映画を観て、辞書編纂者という存在を知り、他にも事実お二人の偉大な先生によって、辞書が産まれた様を読むことができ、辞書に対する印象が大幅に変わりました。実家にある国語辞典が何なのか早く確認…したいです。続きを読む
投稿日:2022.01.05
ku-min19584
東大の同期だったケンボー先生と山田先生。 当初は共に「明解国語辞典」を作っていましたが、ある時を境にケンボー先生は「三省堂国語辞典(三国)」を、山田先生は「新明解国語辞典」を別々に編むように…なります。 二人の間に何があったのか、それぞれどんな思いで特色ある辞書を編んだのか。 関係者の証言や、辞書の語釈などから、徹底的に調べあげていくノンフィクション作品です。 地味で地道な辞書の編纂という仕事に、全人生をかけた二人の男の熱い信念に、感動しました。 続きを読む
投稿日:2021.10.26
クウカ
(2021-07-04 2h読了) 「ゆる言語学ラジオ」にて三省堂の辞書と本作が取り上げられており、その中の見坊先生と山田先生の話が非常に印象的であったことから、興味を抱き、図書館で借りてきました。文…庫本も出ているのが個人的には嬉しい。まだ真新しい様子なのに書庫から出てきたのにはびっくり。 内容はとっても良いです。NHKで放送された特番をもとに再構成されているようで、そちらの番組も見たかった。辞書を作り上げていくかたがたの熱い思いが、ガツンと伝わってきます。そして番組を作り上げたかたの真摯な向き合い方には頭が上がりません。 この本読んだら、新明解国語辞典買わずにはいられないのでは…。個人的には3色のうち白色が好きです。 メモ ・ら抜き言葉を許容する ・読書 ・凡人 ・「辞書は”公器”」 ・それぞれの特徴 ・『広辞苑』は過去から未来を記述する ・祖;大槻文彦、松井簡治 ・時点 ・表音式 ・主食 ・「見坊君はーでしょうねぇ」 ・ことばの写生 ・「中学生ーいいか」という ・私がーからだ。 ・「ただーいか。」 ・装丁を3色ーです。 ・「いたちごっこ」ーになった。 ・【うそ】ー三五行ーった。 ・以前はーいた。 ・辞書は”かがみ”である ・辞書を攻撃する前にーになります。 ・ざま「生きざま」を擁護する ・「金田一京助ブランド」名義貸しは平成17年(2005年)2月10日の第六版まで ・「私は、山田君を許します」 ・辞書は人の手でーなのだ。 ・『ことば』によってー現実ー『模型』 ・テレビ番組はーようだ、と。 一方本はー「樹幹火」のようだ。続きを読む
投稿日:2021.07.06
kame3ho
私は三国育ち(見坊先生)。 仕事と真摯に向き合う先生たちを尊敬せずにはいられない。言葉とは、辞書とは。日常では深く考えない点に思索を巡らせることができるすごく面白いノンフィクションでした。 でも、…この本では触れられていないけど、この人間模様の根底にはこれほど知的を極めたひとたちに対する労働対価(報酬)の問題があったように思えてならない。法や経済を学ぶことと、言語を学ぶこと。両者が知的であることに全く変わりはないのに。。続きを読む
投稿日:2020.07.28
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