【感想】土漠の花

月村了衛 / 幻冬舎文庫
(106件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
25
45
29
5
0
  • 活字なのに臨場感が凄い…

    詳しい者が読めば自衛隊を知らない人が
    書いたんだな、ということが、瞬時に
    わかる組織や階級・隊員の年齢構成です。
    「こんな編成ないやろ」と、やや陳腐過ぎて
    違和感があると思いますが…。
    まぁ、しかしそれを差し引いたとしても
    余りある臨場感、緊張感等が伝わってくる
    物凄い作品だな、とは思いました。
    よくも活字だけで、これほど読む側を
    ハラハラさせるものだと、ただただ感心
    しました。
    自衛隊のことをあまり知らない人であれば
    まるで自分が戦場にいるかのごとく、
    錯覚を起こさせられるほどの表現力ある
    作品だと言っても過言じゃありませんね。
    戦争ものは好まない僕ですが、この作品は
    とても面白かったです。

    ※戦死していく隊員たち、ひとりひとりが
     ちょっとカッコ良過ぎるかなぁ【笑】
     あと、この話に色恋(ラブ)は不要だと思う。
     せっかくうまく書けた習字に墨汁が一滴
     落ちた感じがした(-_-)
    続きを読む

    投稿日:2015.11.09

  • 熱い!

    遥か異国のソマリアで救出活動の任務にあたる陸上自衛隊空挺団を現地ゲリラが襲う。
    息をつかせぬ猛追からの撤退戦。
    その展開から目が離せず,ページをめくる手が止まらない。

    特殊な事情を抱える自衛隊だからこその葛藤や,複雑な心情をもつ間柄でありつつも,
    自らの使命を成し遂げようとする自衛官の使命感・絆に心揺さぶられる。
    続きを読む

    投稿日:2014.10.20

  • リアルとアクションが50/50

     ソマリアの内線に巻き込まれる海賊対処活動の自衛隊。ただし自衛隊が隊として対処するのではなく、いきなり武装解除された後、一部族の要人を保護しながらのサバイバル行。日本の国際平和へのスタンスや私たちの”戦争に対する意識”に触れるシビアな設定であるものの、ストーリー展開はサバイバルアクション小説そのもの。 上記二つを一つにしてしまっているので、戦争に真摯に向き合うのも、アクションを堪能するのも中途半端に(私は)なってしまいました・・。どちらかに目をつぶることができればよい作品だと思うのですが・・・。ましてやロマンス?が必要かな?続きを読む

    投稿日:2016.05.06

  • 自衛隊初の海外戦闘と殺人

    楽観的な安保議論を吹き飛ばすような、ショッキングな設定です。全く土地勘のないソマリアという場所で、人間的な善意のためにいやおうなく戦闘にまきこまれる自衛隊。現地の過激戦闘員との日本人として数十年振りのマジな戦闘。いやこれ生き残れるのか?日本の政府はどう対応するのか?これ米軍が主人公だったら他人事として読めるエンタテインメントかもしれないが、日本人が主人公なだけにどうしても自分事として、自分だったらどうする、家族がこの自衛隊だったら痛い、この政府支持できるか、とか本気で考えながら読めます。アクション作品としても、各人物の得意ジャンルを活かした戦い方や戦術レベルでのシナリオが素晴らしく、名作と呼んで自信を持ってオススメできます。2014年の連載作品なので、内容の新鮮さ・リアルさも格別です。続きを読む

    投稿日:2015.07.01

  • 時勢にぴったりで考えさせられる作品

    内容としてはソマリアで偶然にも内乱に
    巻き込まれた海外派遣自衛隊チームとソマリアゲリラの戦い。

    実戦経験の無い自衛隊員がどこまで戦えるかは、
    未知数なのがより話を面白くしている。
    それでも自衛官としての使命を優先して自ら危険な
    行動に進んでいく姿がたまらなく尊敬し嬉しくもあり、
    まさに今の日本の政策を思うと時勢にあった作品です。

    実際に起こりうると思える話だし
    起こったときの政府は事実を秘匿し助けに行かないんだろうなーと苦い感じです。

    フィクションだけであってほしい話ですが
    緊迫感と自衛隊員のかっこよさが全面に出ている良作だと思います。
    続きを読む

    投稿日:2015.04.08

  • 平和って、いいもんですね!

    宣伝文にある通り、日本の眼前に迫りくる危機を活写しつつ謳いあげる壮大な人間讃歌で、一気に読み切りました。
    展開が急で、休む暇もなく物語の中に引きずり込まれます。
    2、3のえっ?とか、なんで気が付かないのかと言った個所もありますが、平和に座している読者には責める資格もないでしょう。
    迫力ある記述で、戦いを、逃避行を、そして、涙を誘う死んでいく男たちのそれぞれの過去を描いていいて、手に汗と目に涙で、水分補給が欠かせません。
    自衛隊の問題、世界情勢の問題、考え合わせると結論は妥当だと思いますが、それでいいのかという思いも残してくれる内容です。
    戦闘ものは、いつもそうですが、個々の人間は立派に戦い生きたけれど、それだけでいいのかとも同時に思いながら読みました。
    土漠に想う花はきれいだったかもしれないけど、土漠そのものを綺麗なままに保つ工夫と努力が必要とみんなが思わねばなりません。
    作者の意図とは違うかもしれませんが、そんな風に考えながら読んでいる自分も居ました。
    平和って、いいもんですね!

    続きを読む

    投稿日:2015.02.16

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ブクログレビュー

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  • Ken.

    Ken.

    2日であっという間に、読み終わってしまった。少し残虐で本当に怖いけど、どうしてもページをめくってしまう。ジブチとソマリアについてもこれを機に調べてみた。兄弟も同じ自衛官なので、この様なことには遭遇しない、平和な世が続くことを願う。続きを読む

    投稿日:2024.02.23

  • ぱつお

    ぱつお

    全体的に面白く、先が気になってしかたなかった。どんどん次のページを読みたくなっていく感じ。ただ私の理解力が乏しく、建物や人物などの状況位置や状況把握が難しいなと感じた。まぁそこまでじっくり理解しようと思ったかと言えば違うかもしれないが。また、最後は少し尻すぼみ感も感じた。ただ総じて面白いと思える作品だったし、戦争と自衛隊についても考えさせられた。続きを読む

    投稿日:2024.02.19

  • 土瓶

    土瓶

    あらすじはコピペでーす。

    【ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。極限状況での男達の確執と友情。次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか?一気読み必至の日本推理作家協会賞受賞作!】

    まんまドストレートな活劇物。

    隊員たち1人1人のバックボーンというか背景が描かれているのが良かった。
    逆に女性、アスキラについてはもっと描かれてもいいかなと思う。足りない。

    アクションに次ぐアクションでハラハラさせられるのだが、予定調和というか一本道というか。
    まあ、そうなるだろうなという流れと結末。意外性はない。澱みも歪みも裏もなくスッキリしている。

    「機龍警察」シリーズや「脱北航路」などで有名な月村良衛さんの初読みでした。
    まあ、読みやすい。

    作品の内容上、銃器をつかったアクションシーンが多い。
    それで思い出したけど、俺、大藪春彦さんの小説って1冊もまともに読めたことないわ。映画ばっかりで。
    2、3度本を手に取ってみたことはあるんだけど、どうしても途中で放棄してしまう。
    相性かなぁ。
    西村寿行さんなんかのはわりと好きなんだけど。エロいが(笑)

    本作、途中までは☆3でもいいかなと思ったんだけど、ラストがなんか嫌だったので☆2としました。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.22

  • しんた

    しんた

    ソマリア国境付近で活動する自衛隊の精鋭たち。そこに現れた謎の女性と彼女を追う武装集団。
    圧倒的不利な状況下において不屈の精神と闘志で苦難を乗り越えていく自衛官たちの姿に目頭が熱くなる。彼らの葛藤、確執、そして事件の顛末やいかに。圧倒的スピード感と迫力で魅せる冒険小説である。続きを読む

    投稿日:2023.11.24

  • ヒボ

    ヒボ

    このレビューはネタバレを含みます

    ソマリア沖での海上自衛隊による海賊対処活動は事実、隣国ジブチには自衛隊にとって初の海外拠点があり、ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛の物語。

    墜落したヘリの捜索救助要請を受け隊長に任命された吉村3尉以下12名が墜落地点へと出発。

    そこへ現地の3人の女性達が命を狙われている、助けて欲しいと駆け込んで来ます。

    避難民として保護した矢先、彼女達を追ってきた武装集団により目の前で2人の女性が撃ち殺され、隊長を含め5人もの仲間が一瞬にして命を奪われる。

    生き残った1人(アスキラ)を保護しワーズデーン小氏族の民兵に追われながら70km先の活動拠点を目指す隊員達。

    自衛隊の隊員が戦闘で命を落とし、交戦する。

    まさに命懸けの戦闘が始まります。

    2014年、当時の安倍内閣が強行採決した所謂「安保関連法」。

    きっと著者である月村了衛氏はこの法に対しそれぞれが真剣に考え、向き合わせたかったのでしょう。

    海外での戦闘で日本の自衛隊隊員が命を落とす。

    ちょっと出来すぎ感はありましたが、手に汗握る戦闘シーン、そこで芽生える隊員達の絆。

    思わず一気読みさせられました。


    内容(「BOOK」データベースより)
    ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。極限状況での男達の確執と友情。次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか?一気読み必至の日本推理作家協会賞受賞作!
    著者について
    一九六三年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。二〇一〇年に『機龍警察』で小説家デビュー。一二年に『機龍警察自爆条項』で第三三回日本SF大賞、一三年に『機龍警察 暗黒市場』で第三四回吉川英治文学新人賞、一五年に『コルトM1851残月』で第一七回大藪春彦賞、本作で第六八回日本推理作家協会賞受賞。他の著書に『水戸黄門 天下の副編集長』『ガンルージュ』『影の中の影』『槐(エンジュ)』など。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    月村/了衛
    1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。12年に『機龍警察自爆条項』で第三三回日本SF大賞、13年に『機龍警察暗黒市場』で第三四回吉川英治文学新人賞、15年に『コルトM1851残月』で第一七回大藪春彦賞、『土漠の花』で第六八回日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.04.09

  • 43street

    43street

    本屋で何気なく手にした本。去年の本屋大賞を受賞してるけど。
    月村了衛ってのも初めて読む。

    自衛隊のソマリアでのPKO活動を題材に、墜落したヘリを救出に行った部隊の野営地に土地の氏族の女性が助けを求めて駆け込んでくる所から物語は始まる。
    追われて助けを求めてくる訳だから、そこに敵がやってくるのは当然。
    自衛隊として、助けるべきか否か。
    そんな事を迷ってる間に、あっという間に敵(といっても国ではなくテロ組織みたいな)に仲間が数名殺される。
    自衛隊の歴史に初めて火器を使用した交戦が始まる。

    ちょうど自衛隊が南スーダンに派遣されたばかりなので、この物語はがぜん現実味を帯びてくる。
    小説の中では、自衛隊や国の立場、法律、憲法についてはあまり語られておらず、読者の考え方を曲げようという意図はまったくないと思うので、安保法案とか駆けつけ警護などに、反対する方、賛成する方、どちらにも読んでほしい本である。
    私は、自衛隊が派遣されても、このような事(小説の中のような事)は、ほぼ起こりえないと思っている派ですが。
    それと、南スーダンだけでなく、ソマリアについても、ちょっと勉強した方がイイね。
    >ソマリア内戦についてWiki

    それと、気になる点がひとつ。
    自衛隊内のいじめの問題。
    これ、実際に自殺者が出てニュースや裁判になってる話だから、表面化していない部分はかなりあちこちにあるんだろうと思う。
    震災や災害派遣の活動だけニュースで見てると、自衛隊の活動って素晴らしい(実際そこはそうだけど)と思わざるを得ないが、影もあるんだろうな。
    考えさせられます。

    さて、ストーリーはとっても面白いです。
    あっという間に読んでしまう、というかページをめくりたくなってしまうので一気読みです。
    登場人物は過去の暗い部分や(ヤンキーとか暴走族上がりの隊員とか)、メンバー間の確執の問題はあるんだけど、最後には力を合わせて、メンバーの為に犠牲をいとわないって、カッコいいんだよな。
    ハリウッド映画のように、次から次へと問題が発生して、それをクリアーしていく。
    けっこうスピード感があって、映画にして欲しいぐらいです。

    出版社が、この小説のためにプロモーションビデオを作るぐらいだから将来は映画になるかも。
    ん~、金がかかりそうで無理かな。
    続きを読む

    投稿日:2023.03.30

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