【感想】アトム ザ・ビギニング3(ヒーローズコミックス)

手塚治虫, ゆうきまさみ, カサハラテツロー, 手塚眞 / 月刊ヒーローズ
(5件のレビュー)

総合評価:

平均 3.0
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  • 「学習する」ロボット

    この話が進む5年前のこと。
    日本では、未曾有の大災害が起こっていた。
    各地で発生した爆発災害。一晩で、死者は数万とも数十万とも言われたという。

    しかし、この災害には不思議な点がある。それは、政府が調査隊を出したにも関わらず、一切その結果が報告されなかったのだ。その秘密が隠された島を調べてしまったがために、謎の集団に追われるようになってしまった、天馬くんとお茶の水くん。1巻から小出しにされていた大きな事件が一気に存在感を出していく。

    その一方で、天馬くんとお茶の水くんの方向性の違いは溝を深めていく。天馬くんが目指すロボットは、「自分で瞬時に判断までくだせる、人間を超越した、神のような存在」。お茶の水くんが目指すのは「心を持った、優しい友達」。

    二人の思いがある中で、A106は壊れたロボットを自分と接続し、そのデータを自分の中に取り込んで知識を増やすという芸当を行ってしまう。
    知識を増やす方法は、天馬くんたちから教えてもらったものだが、自分でそれを行ったのである。

    人工知能を持つロボットは自分で学習する。これは、おそらく私たちにとっても身近なことだと思う。予測変換が出る、自分好みの商品を勧めてくる……。画面の中でなら便利だが、実際に動きを伴う、決定を伴う、と現実世界に影響を持ち始めたら、それはお茶の水くんの言うとおり、確かに不気味なのかもしれない。予測不能なものに対して人間は恐怖を覚えるものだし、天馬くんがいうレベルのロボットができれば、人間が制御できなくなることだってありえるかもしれないのだ。

    こう考えると、アトムレベルまではいかずとも、現実世界でも「人間の代わりになる」ロボットは研究開発が進められているはずだ。それらは、どういう方針が立てられているのだろう、と少し気になってくる。

    そんな私に、まずは今までの人工知能の歴史から知ろうね、と言わんばかりに分かりやすい変遷の付録が巻末に付いていた。

    ますます楽しい……が、不安も渦巻いてくる3巻です。
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    投稿日:2017.01.09

  • 「鉄腕アトム」を冒涜している作品(怒)

    ハッキリ言いますが手塚治虫先生の作品の中に込めた思いを理解する本当の鉄腕アトム・ファンにとっては読む価値など一切無い作品で愚作駄作というよりも、本作は手塚治虫先生が描かれた「鉄腕アトム」に対する愚弄冒涜でしかありません。
    「原案原作 手塚治虫」として、さも手塚治虫が書き残した作品であるかのように表記されていますが(利用している者たちがねつ造するかもしれませんが)アトムの名前の由来というくだりも全て手塚治虫先生が書き残したものではなく「鉄腕アトム」と「手塚治虫」と言ういわばブランドを利用して一儲けしている人たちが引用して利用しているだけにしか過ぎません。
    いわば手塚治虫先生にとっては無関係に等しい内容であり、治虫氏が生きていたらおそらく激怒したかもしれない作品なのです。
    手塚治虫先生の作品って古代から未来モノまでありましたが例えば近未来モノだったら当たろうが外れようが作品の中に必ず近未来的と言うか未来というか将来を感じさせる何かが必ずありましたよね。
    例えば空中浮遊する車に変わる物だったり、それが移動するチューブ状の道路?空路?だったり。
    腕時計の携帯電話だったり←にしてもアンテナがあるなど外れている所があっても見ていて『ヘェ〜』とドキドキワクワクさせてくれました。
    それが物だけでなく例えば古代の話にしても、史実として当時は未確定でいわば手塚治虫先生独自の解釈があったりして後々その通りと認められたり、もちろん新たな発見などで史実とは違ったこともありますがそれでも作品を読めば当時を想像させて歴史ファンもワクワクさせるモノがありました。
    しかしこの作品にはそういったモノが皆無なのです。
    原作の世界観を破壊し、作品に込められた作者の想いを全く無視して(それとも感じられず知らぬまま)駄作を生み出して治虫先生のいわば遺産とも言える名作を愚弄し冒涜し破壊しています。
    手塚治虫先生原作というだけでなく原案としていわばトリビュートで作品を名前を冠して作るのであれば、原作作品の世界観や作者によって込められた想いを理解して作られるべきなのにそれが皆無です。
    中身は陳腐な解釈と幼稚な表現者(登場人物)でチンケなドタバタ劇ばかりで、背景に込められた想いなど皆無で何も感じません。
    親の七光りを利用するのは大いに結構だし、そうでないとスポンサーが集まらないかもしれないが、そうだとしても親には及ばなくても彼なりの革新的な内容も出来るはずですがいつも皆無です。
    権利者がストーリーを作っていないかもしれないが、それでも監修と言う名前で参画していて仕事をしているならば作られた駄作には「手塚治虫の描こうとした世界観では無く、このままでは作品の価値が落ちるので理解してから書いてくれ」と言う権利はあるでしょう。
    しかし彼の関わった全ての作品に一切原作者の意図を理解した作品が皆無なのは彼自身が監修者として仕事を果たしていない証拠でもあります。
    手塚治虫先生のいちファンとしてこの愚弄と言える作品が世に出続けている現状が哀しくてなりません。
    治虫氏が描いた「鉄腕アトム」が自動化され、労役を人間にとって代わったロボットたちが人権ならぬロボット権を時に暴力で主張する時代という未来の社会問題を描き、その問題にアトムはそのロボットのひとつなのにその暴力的手段を取るいわば仲間のロボットに対して人間の側に立って破壊しているという苦悩を描いている社会問題に関する作品であったのにも関わらず、本作は登場人物の感情がベースのドタバタ劇に終始していて、いわばジャンルが違う作品なのです。
    重ねてこの作品は手塚治虫先生の「鉄腕アトム」とは全くの別次元のマンガであり、「鉄腕アトム」とは比べたりするべき作品ではありませんのでその点を承知で購読されたいです。
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    投稿日:2017.05.23

ブクログレビュー

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  • マンガタリ編集部

    マンガタリ編集部

    ナゾの島での冒険が終わったと思ったら、
    今度はナゾの組織に追われ、ナゾの人に助けられるという、
    いろいろ展開しつつもまだすべてがナゾに包まれた状態。
    アニメ化も決まったようだし、これから時間をかけて描かれていくのかな。
    絵の感じとか、ストーリーや設定のリアルさや細かさを見ていると、
    『鉄腕アトム』というよりは『プルートウ』につながっていく
    世界のような感じがしますねー。
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    投稿日:2019.05.31

  •  project万巻

    project万巻

    お茶の水は友達を作るつもりで人工知能を研究している。
    「驕りたかぶった今の人類にはヒト以外の知的生命体が必要なんだ」
    しかし天馬が目指すのは神としての人工知能。
    「人間を超越した生命体。すなわち神。知力体力のみならず、善悪の判断さえ瞬時に計算できる能力を有した生命体」
    p103
    哲学的ゾンビ。
    外面的には普通の人間と同じように振舞いながら、内面的には死体のように意識を持たない者。つまり「外見は人間と見分けがつかないゾンビ」のことです。
    一見、会話が成立してるようでも、実は「そうだね」「いーねぇ」などの返事を適当に組み合わせているだけ。返事に意味がなくても会話が成立していると錯覚しているだけにすぎない。
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    投稿日:2017.07.06

  • ホン・ヨンドル

    ホン・ヨンドル

    近未来の日本。とある大学に、ロボット開発にすべてを懸ける若き研究者、天馬とお茶の水の姿があった……。マルスのオーナーであるDr.ロロの正体を追って太平洋の孤島に渡ったシックスと天馬たち。早速研究施設に乗り込むが、そこは軍事要塞と化していて──。“ゆうきまさみ”と“カサハラテツロー”が描く“鉄腕アトム”誕生前史、蠢動の第3巻!(Amazon紹介より)続きを読む

    投稿日:2017.03.04

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