【感想】オリンピア ナチスの森で

沢木耕太郎 / 集英社文庫
(18件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
6
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3
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ブクログレビュー

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  • キョウヘイ

    キョウヘイ

    ベルリンオリンピックの事なんも知らないから単純に好奇心を満たせてよかった。当時すでにマラソンの世界記録は2:30切ってたとか、高跳びにはまだベリーロールもなかったとか、バタフライが平泳の一種として取り扱われてたとか、面白い。マラソンで優勝した日本の選手が朝鮮人なのもすごく興味があるのでこのあたりについてももっと知りたい。戦前なんて大昔のような気がしてたけど、使われてたテクノロジーとかも思ったより近代的で驚いた。オリンピア二部作の監督のレニ・リーフェンシュタールにインタビューして迫る部分は価値があると思う。タイミング的にもこの時でないと書けないようなものを沢木耕太郎はよくものにすると思う。続きを読む

    投稿日:2023.10.08

  • じゅう

    じゅう

    「沢木耕太郎」がベルリンオリンピックを描いたノンフィクション作品『オリンピア―ナチスの森で』を読みました。

    「沢木耕太郎」作品って、一冊読むと、また違う作品を読みたくなる魅力がありますね。

    ということで、『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』、『旅する力―深夜特急ノート』に続いて「沢木耕太郎」作品です。

    -----story-------------
    1936年夏、ナチス政権下のベルリンで第11回オリンピックが開催された。
    「ヒトラー」が開会を宣言し、ナチスがその威信を賭けて演出した。
    その大会を撮影し、記録映画の傑作『オリンピア』二部作を生み出した天才「レニ・リーフェンシュタール」。
    著者は彼女にインタビューを試みる…。
    運命の大会に参加した日本選手団をはじめとする多くのアスリートたちの人生をたどる長編ノンフィクションの傑作。
    -----------------------

    『オリンピア』の監督「レニ・リーフェンシュタール」とのインタビューを軸に、ベルリンオリンピックに出場した日本選手団の活躍や敗退、その舞台裏での苦悩、葛藤等を描いたノンフィクション作品です。

    本作品は以下の構成になっており、序章と終章は「レニ・リーフェンシュタール」とのインタビューが中心の内容、第1章~第8章は日本選手団のエピソードを中心とした内容になっています。

     ■序章 階段から
     ■第1章 炎は燃えて
     ■第2章 勝者たち
     ■第3章 敗者たち
     ■第4章 九千キロの彼方
     ■第5章 素朴な参加者
     ■第6章 苦い勝利
     ■第7章 故国のために
     ■第8章 氷の宮殿
     ■終章 階段へ


    「レニ・リーフェンシュタール」のインタビューも印象深いのですが、、、

    やはり日本人としては、当時の日本選手団の活躍や敗退を含めた舞台裏の方が印象に残りましたね。


    その中でも特に印象に残ったのは以下の五つ(六人)のエピソード、、、

    ○銀と銅のメダルを半分ずつ張り合わせたメダルを作った、棒高跳びの「西田修平」と「大江季雄」、
    《第2章 勝者たち》

    ○暁の超特急と呼ばれた、陸上百メートル走の「吉岡隆徳」、
    《第3章 敗者たち》

    ○「前畑ガンバレ!」の実況中継で有名な、女子二百メートル平泳ぎの「前畑秀子」、
    《第7章 故国のために》

    ○朝鮮人でありながら日本代表として出場し優勝した、マラソンの「孫基禎(ソンギジョン)」、
    《第7章 故国のために》

    ○36年後に銀メダルの「ジータス」と再戦した、男子二百メートル平泳ぎの「葉室鉄夫」、
    《第6章 苦い勝利、第8章 氷の宮殿》

    それぞれ、競技の際のエピソードだけでなく、出生や競技を始めることになったきっかけや経緯、そしてベルリンオリンピックに挑む前の精神的な状態や競技レベル、好不調の状況等が綿密な取材により調査・分析され、それが丁寧な筆致で紹介されており、一人ひとりの人生を辿ることができるだけでなく、その時代に、その場で観戦しているような錯覚に陥りながら、読むことができました。

    それにしても、当時の世界トップレベルのアスリートの置かれた状況… あまりにも過大な期待を背負わされた尋常ではない状況に驚かされましたし、、、

    先人がいない中での練習の工夫や、猛練習(「前畑秀子」は毎日20kmを泳いでいたそうです… )には感心させられるだけでなく、尊敬の念を抱きました。

    凄いですわぁ。


    『第8章 氷の宮殿』では、主な選手達の後日談が紹介されていたのも、なかなか良かったと思います。

    その後の第二次世界大戦で亡くなったり、辛い経験をされた方が多いんですよね。


    「沢木耕太郎」作品って、旅行記やエッセイも魅力的ですが、、、

    ノンフィクション作品の方が魅力を感じますね。



    そうそう、ベルリンオリンピックを記録したドキュメンタリー映画の『オリンピア』… 観たことないので、一度は観てみたいなぁ。
    続きを読む

    投稿日:2022.11.23

  • hiderobolavo

    hiderobolavo

    オリンピックに興奮する事がなくなって久しい。

    何故か。その一つに結果や映像がすぐに容易く見聞きできる、つまり情報が多すぎるからである。
    4年間を待ち遠しく感じた幼い頃から、電子情報機器の発達はめざましい。
    情報は有難いが、多すぎると本番までにお腹いっぱいになってしまう。

    最も私自身が冷めた目で見る癖があるため、皆で感動するという言葉に嘘くさいものを感じてしまうのだが。


    レニ・リーフェンシュタールというドイツ人女性を初めて知った。是非次は映像を観たい。
    続きを読む

    投稿日:2020.10.17

  • ちぃ

    ちぃ

    題から想像してたのと違って、ベルリンオリンピックに出場した(主に日本人の)選手たちのバックストーリーがメインだった。スポーツにあまり興味がないため、競技の描写にあまり興奮やロマンを覚えることもなかったが、民族主義の時代において、人々がどれだけ“われわれ”が優れているかを示すために熱狂し、選手がどれだけのものを背負って参加していたかと言うことが、ひしひしと感じられた。レニの、不当な中傷に対する憤り、それを抱えながら老いてなお衰えないバイタリティに感嘆した。そして沢木さんの対象との距離の取り方はやっぱり好き。続きを読む

    投稿日:2016.08.08

  • さるぼぼキング

    さるぼぼキング

    ナチス政権下のベルリンで行われたオリンピックを出場した日本選手のエピソードとその記録映画を撮影したレニ・リーフェンシュタールのインタビューで綴る。
    単に観戦者としては分からない、選手の悲壮感や競技の臨場感が伝わり、現代とは異質の時代の盛り上がりが感じられた。続きを読む

    投稿日:2014.03.19

  • panda88

    panda88

    このレビューはネタバレを含みます

    冒頭はベルリンオリンピックの記録映画、「民族の祭典」と「美の祭典」を撮ったレニ・リーフェンシュタールのインタビューから始まります。そこでタイトルからオリンピックとナチズムについてずっと書かれているのかと思いきや、その後は日本選手団の勝者、敗者の記述がメインに。ほとんど予備知識のなかったベルリン五輪ですが、プレッシャーで自滅する者、土壇場でも力を出し切って結果をだす者、メンタル面で結果が左右されるのは現代の五輪でも同じ。なかなか興味深く読めます。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2013.12.01

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