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白河三兎 / 集英社文庫 (21件のレビュー)
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総合評価:
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Bフォレスト
このレビューはネタバレを含みます
当初から平凡な始まりで期待していたほど大きな波もなく、ユーカに翻弄される卓郎と彼を取り巻く友人とのやりとりが表現される。 教育実習生:薫子と卓郎の関係も開始早々明かされ、卓郎のトラウマの原因もそれとなく示唆されている。 後半になり卓郎が色んな部分でチョイスをミスしてしまい、様々な人間関係が壊れ出してしまったところから一気に展開が進み、最後に卓郎が気づいた『自分』の行は非常に良く、爽やかな結末になったと思う。 表題の意味も頷けるものであった。
投稿日:2022.12.19
cidenon
後味が悪い。 タイトルのように「勉強になったね」と軽く済ませることはできない。 登場人物たちは「中学生らしさ」をとことん突き詰めたような人ばかり。 虎の威を借るばかりで自己が確立せず、嘘をついたり「…何でもするから」とすぐに自分を差し出す卓郎。 自己愛を拗らせてしまったユーカ。 長年の母親による束縛から抜け出した瞬間、暴走を始めるヨッシー。 その設定はいいのだが、彼らは互いに傷つけあうばかりで前に進まない。 薫子はいつもの芯のあるヒロインポジションにいるようだが、私はあまり共感できなかった。 暗い過去があって、自分のプライドを保とうと必死で、それでも他人を気遣おうとしている。 でもそれは一面に過ぎない。 彼女はある種の高潔さを求めているようで、そのためなら他人を欺いたり傷つけたりすることを厭わない。 私にとってそれは醜い。 彼女の持つ価値観も、その境遇を考えると仕方ないのかもしれないと思いつつも、すんなり受け入れるのは難しい。 薫子の思考に沿って川島さんが話した「薫子の体は薫子のもの。薫子が好きに使っていい」とか。 恋人や家族、友人知人が彼女の体を心配するのはいけないことなんだろうか。 教師になる夢のために、睡眠を削って夜中に働いて息抜きもないまま4年間過ごすのは大変だから風俗で働く、というのもそう。 どこかで諦めなければいけない夢はあるし、奨学金とか他の手段はなかったのかというのは、当事者じゃないから言えることだろうか。 世の中には、本当にやむにやまれずその仕事をしている人もいるのだろう。 でもどんなに美化したって、人前で自慢できる仕事じゃないと思う。 薫子にはもっと純粋に高潔であってほしかったという願望とともに、薫子が自らを貶めて自傷行為に及んでいるような気がして憐みの感情がわいてきた。 卓郎も卓郎で、薫子こそが物語をひっかきまわしている中心人物なのに、彼女に惹かれる気持ちがよくわからない。 私が読みたい白川三兎はこれではない。 苦境でも強くある物語が読みたかった。 それでも、クセが強い人物ばかりなのにシーンごとにピタリと焦点が定まっていて、あまりとっちらかった印象を受けないのはさすが。 中学生が読めば登場人物を見て醜いと感じ、自己を振り返るきっかけになるかもしれない。続きを読む
投稿日:2020.10.07
奈良ヒロキヒロキ
「私はここにいる。それは私がわかっている。私が存在しないことには何も存在しない。私の存在が全ての始まりだ。元凶であり、希望の源なんだ」 「みんな本音を心にしまいがちだけど、外へ吐き出すべきなんだ。相…手の心を踏み躙ったり、人間関係がぎくしゃくしたりしても、長い目で見れば真実しか残らない。上っ面のことは淘汰されちゃうんだよ」 『本音を隠せば隠すほどにやましさが大きくなる。嘘をついても得られるのは真っ黒な感情だけだ。このままだと俺は嘘の塊になる。そして数多の嘘と一緒に俺自身も淘汰されるのだろう。』 「中途半端にできる人よりも全然できない人の方が愛される。そして未熟だった人が進歩した時は、甚だしく過大評価される。だから最初の一週間の拙さは故意だったの」 『瞬く間に人生の可能性が広がった。数時間後に何が起こるかなんて誰にもわからない。自分がどこにいても不思議じゃない。どこへでも行けるし、なんでもできる。不自由を存分に楽しめばいい。もうやたらめったらに怖がらない。恐れるな。立ち向かわなくちゃ何も始まらない。自分の人生を切り開けるのは自分だけなんだ。』 『一生忘れない。死ぬまで大切にする。久々に混じりっけのない愛を感じた。心に血が通ったような感覚。ちょっとだけ本物の涙が出ちゃったよ。』 続きを読む
投稿日:2020.04.15
せにやん
ビターだし決して各々が良い青春を送っている訳ではないのに、ちゃんと成長していく姿がある気がする。 ちょっと現実味がないけど、 これからは、こういう現実味のない子供たちが 増えていくのかな。
投稿日:2020.03.18
ま
0006 カバーの少年に惹かれて買った。中学生のアホさとか悩みがかわいいと思ってたら、闇が深かった…。でも読後は爽やかな青春小説だった。 カバーデザイン 鈴木久美 写真 小野啓
投稿日:2019.12.28
kuroikuma2
他にも書いてる人はいたが、タイトルはこれしかない。十五歳の課外授業。 中学生の頃に出会いたかった。 思春期の不安定な、今も私はまだ安定はしていないけど、自己の確立を手探りでする頃の荒削りな心情が描かれ…る。 15歳に読んでいたら学ぶことが多かったであろう。 脇道にそれがちな人間を許容しつつ、つよく毎日の可能性を提示してくれる本。余裕があったらもう一回読みたいが…続きを読む
投稿日:2019.05.02
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