【感想】動乱の日本史 徳川システム崩壊の真実

井沢元彦 / 角川文庫
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  • テムズの畔にて

    テムズの畔にて

    そもそも、自分自身、江戸時代についてろくな知識を持っていなかったにせよ、この本の視点には目を見張るものがあった。理解した要点以下の通り。
    ◯幕末を理解するには、徳川家康まで遡って、彼の政策と後世への影響の理解から始めないとダメ。
    ◯徳川家康は危機管理の天才。仮想敵国である薩長を軍事面で封じ込めるための何重もの防壁、徳川幕藩体制を思想的にバックアップするための朱子学の導入。
    ◯祖法を盲目的に重んずる朱子学の思想が江戸時代における商業、資本経済や洋式技術の導入を妨げた。
    ◯徳川家康の時代であれば、技術的に外国からの侵略は不可能であり、亡国の可能性は薩長による内乱だけ。その中では、極めて適切な政策。しかし、西欧における技術革新という要素に追随できない状況におといれてしまった。
    ◯黒船はロシア、アメリカに対する無闇な攘夷によって自ら招いたもの。
    ◯そうした視点から比較的自由だった人、阿部正弘、島津斉彬、鍋島閑叟、江川太郎左衛門、勝海舟、維新の英傑の存在により朱子学のくびきから逃れられた。
    ◯天皇の存在によって、それ以外が相対化されるというシステムが存在したことが四民平等、民主主義の導入に繋がった中朝との岐路
    ◯しかし、明治の祖法?を重視した昭和陸軍によってまた亡国に。現在に当てはめると、護憲派は攘夷派と何ら変わりなし。念仏平和主義(司馬遼太郎)で、他の味方を頭から否定する考え方は、現代における朱子学的残滓と言っても良い。

    先般読んだ、石平さんの日本思想史の後半の江戸の朱子学の理論と併せて、非常良い理解となった。
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    投稿日:2020.08.02

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