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今村仁司 / 講談社学術文庫 (2件のレビュー)
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キじばと。。
人類学者のモースの思索などを参照しながら、人間の諸活動を「交易」という観点から解き明かす試みがなされています。 従来の社会学や人類学においては、利益を中心とする相互行為が根幹に据えられてきました。た…とえばレヴィ=ストロースは、贈与システムを当事者の神話的想像力から切り離し、社会システムの構造を科学的に認識することをめざしました。しかし著者は、こうしたレヴィ=ストロースの見方が、贈与体制の社会における当事者の意識を切り捨ててしまっていると批判します。 交易は、人と人のあいだだけではなく、人間と自然のあいだでもなされています。さらに著者は、感情や信念、表象といったものの相互行為も交易という観点からあつかう必要があると主張します。本書におけるモースの贈与論の読みなおしは、このような立場からなされたものです。贈与体制のおこなわれている社会では、人びとはなにか大きなものから自己の存在を負っているという感情を抱いています。このことが、人と人、あるいは人と自然のあいだの交易を可能にしていると著者はいい、こうした人間学的洞察に基づいて、労働や宗教の形成が解き明かされていきます。さらに著者は、同様の立場から市場経済の成立まで説明しようと試みています。 贈与から交換へという社会変動論的な視座からの考察ではなく、「交易」という普遍的な人間のありように基づく人間学的な社会論という、スケールの大きな議論が展開されており、著者の「第三項排除」の発想をさらに普遍的なものへと拡張した理論とみなすことができるように思います。続きを読む
投稿日:2019.08.15
kakicg
我々はまいにち忙しく動き回ってあたかも何かを「生産」しているかのようなつもりになっているが、それは全くの勘違いであるし、「生産」したものをあたかも当然自分自分に属すべきものとして独占的に所有してしまう…ことに正当性はないのだ,,,ということをずっと考えてきた。この行き過ぎた所有観念が蔓延することによって現代社会は極めて生きづらくなってきているのだと思う。このような考えをサポートするような本を常日頃探している。 この本もあるいはそんなことに関連するのではないかと直感したので買って読んでみることにした。この本には主に「贈与」について書かれた部分が多くを占めている。マルセル ・モースの「贈与論」を土台にしたもののようだ。(いずれこちらの方も読んでみたい。)贈与は交換の一形態として片付けられがちだが、贈与をその場限りで完結してしまう交換とは性格を異にした、もっと根源的な行為として捉え直すとどうなるだろう。マルクスとはまた違った地平が開けてくるに違いない。 今回、つつーっと読んだだけなので、また日を置いて読み直してみることにするとしよう。続きを読む
投稿日:2016.05.23
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