【感想】新釈 グリム童話 ―めでたし、めでたし?―

谷瑞恵, 白川紺子, 響野夏菜, 松田志乃ぶ, 希多美咲, 一原みう, 井上のきあ / 集英社オレンジ文庫
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
1
2
7
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • きぼりねこ

    きぼりねこ

    短編集ひとつめの「なくしものの名前」が、日差しや風に翻る布のきらめき、瑞々しい草木に遠く聞こえる喧騒が本当に感じられるようで好きになりました。
    元のお話は知っていたので、比較的マイナーで難しそうなところをどう調理するのか怖々読みはじめましたが、現代の若い女性の悩みに上手くアレンジされていました。
    グリム童話アレンジの短編の中のひとつのお話ですが、もっと続きが読みたいです。
    続きを読む

    投稿日:2021.02.08

  • 蒼

     グリム童話をベースとしたアンソロジー。中々バラエティに富んでて読み応えありました。
     お気に入りは谷さん、白川さん、松田さん。

     谷さんの「なくしもの〜」は、就活のお祈りメールに打ちのめされていた亜美。そんなメールの中に、不思議なメールが届く。ほんわか優しい気持ちになれました。

     白川さんの「白雪姫〜」は、自分が美人と解って行動する小雪。そして小雪がライバル視する夕妃。どちらも腹を割って話せば似たもの同士で、今後中々良い友達になれそう。

     松田さんの「のばら〜」は、生粋のお嬢様と堅物のワーカーホリック直人。チグハグだけど、なんだかんだいいつつもお似合いなカップルでした。
    続きを読む

    投稿日:2020.08.25

  • mimm

    mimm

    6人の作家さんによる、グリム童話現代バージョン。各々の個性できゅんとなったりくすりとしたり、切なくなったり。どれもラストは清々しい風を感じる短編でした。シンデレラの継母がまさか?のシチュエーションとか好き♪もっと色々読んでみたいなぁ♥続きを読む

    投稿日:2019.08.05

  • mendako

    mendako

    六編のグリム童話を下敷きにした物語。
    トップバッターは、谷瑞恵の『ルンペルシュティルツヒェン』。
    海外ドラマ、「Once Upon a Time」で知った、ルンペルシュティルツキン。
    シーズンを重ねて、私はだいぶ馴染みになったが、日本ではそこまでメジャーな主人公ではないかも。
    しかしあえて彼を選ぶことで、新鮮さがあってよかった。
    彼が紡ぐと言う、金の糸の先に美しい未来が見え、読後がよかった。

    『二十年』は『カエルの王様』がモチーフ。
    これは、ホラーだ......。
    特に、容姿に自信のある女性にとっては。
    いや、一人で生きていくと言う覚悟があれば、あるいは、それを楽しめれば、美の呪いなど恐るるに足らず。
    しかし、現実を見ようとせず、過去にとらわれ、王子様を待ち続けるだけの女性なら、それは......。

    『A Cinderella Story』はそのまま、シンデレラの物語。
    優しい人が必ずしも良い人ではない。
    現代のシンデレラは世間知らずのお嬢様。
    さて、ガラスの靴を拾ってくれるのは一体誰?
    古いお姫様像に縛られていたのは誰?
    それを手助けして、自らの足で歩けられるようにしてくれるのは、誰?
    さながら最近のディズニー映画のよう!
    続きを読む

    投稿日:2018.06.16

  • 永杜

    永杜

    糸紡ぎ、白雪姫、毬の蛙、眠り姫
    ヘンゼルとグレーテル、シンデレラ。

    物語を題材にしているだけ、なのもありましたし
    ほぼそれをなぞっていっているものも。
    一番の驚きは、響野さんの話。
    そもそも原作のお姫様もどうかと思いますけれど
    この話の主人公はさらにすごい。
    題名を見て気が付けばよかったのですが
    最後に行きつくまで、まったく気が付かず。

    シンデレラ、は現実を見るか否か、という教訓に。
    そこだけにこだわってはいけない、のだと痛感できます。
    続きを読む

    投稿日:2017.11.13

  • quatorze

    quatorze

    このレビューはネタバレを含みます

    人間の本質はいつも同じ?

    グリム童話を題材にした短編集。初めて読んだ作家さんもいたが,これがその人のスタイルなのか,グリム童話が元だからこうなったのか,考えるところはありつつ。

    谷瑞恵「ルンペルシュティルツヒェン なくしものの名前」就活が上手くいかない亜美に,不思議なメールが届く。それは小学生のときに出会ったカメに関するものかもしれない。亜美は少しずつ当時のことを思い出していくが。金の布を紡ぐ,名前を思い出す,童話のキーワードを元にささやかな恋愛モノになっている。ルンペルシュティルツヒェンは少しマイナーで,モチーフとしては弱かったかも。

    白川紺子「白雪姫 白雪姫戦争」一番好きな話かも。文化祭で“白雪姫”に選ばれるのを目指す小雪。その本性はナルシスト,でも読み進めていくうちに可愛げが感じられる。ライバルの夕妃。こちらもなかなか強烈なキャラクターだが,にくめない。

    響野夏菜「かえるの王様 二十年」ある意味,ホラー。オチが怖い。いや,女も男も怖い。かえるの王様にある,ちょっとグロテスクな,ちょっと怖い部分がよく出ている。奈々央はとあることから生理的に気に入らない根木と行動を共にすることになる。苛立つ奈々央に対して根木が言ったことは……。

    松田志乃ぶ「眠り姫 のばらノスタルジア」古くからの西洋ホテルの娘・寧々は,ホテルの再建のため,有力なリゾート会社の御曹司・直人と婚約することになる。年も離れた直人だったが,寧々には簡単に突き放せない人で……。茨に囲まれ眠っていたのは誰だったのか。鮮やかなどんでん返しだった。

    希多美咲「ヘンゼルとグレーテル お菓子の家と廃屋の魔女」霊力を持った白石月也と,探偵の桜鳥岳がこの作家のレギュラーキャラクターなのか。ケーキ屋を営む奥川愛美が持ち込んだ依頼は,廃屋にお菓子の家を注文する人を探してほしいというもの。そこには兄と妹の秘密があって……。二組の兄妹の関わり合いが,そうか,ヘンゼルとグレーテルだなぁと。

    一原みう「シンデレラ A Cinderella Story」女優の娘・クレアは,母亡き後,映画監督の父の後妻に入った女優で芸能オフィス社長のイザベラが気に食わない。彼女は私を不当に扱っている。ある日,クレアはオーディションを受けるチャンスを与えられるが……。面白かったけど,この短編集で言うと,白雪姫での継母との関係が,眠り姫とはオチが,重なっていて残念。継母って物語の鍵になるので,特に童話では悪役でよく出てくるからかもしれないが,後ろになったこの話はちょっと損だったかもしれない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2017.04.21

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。