【感想】虹果て村の秘密

有栖川有栖 / 講談社文庫
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
3
11
9
1
0
  • 脇役作家の言葉が胸に刺さる

    小6コンビが密室殺人の謎に挑む、ジュブナイル・ミステリ。子供でも読めるように残酷な描写は控えられているものの、あくまで「人が死ぬミステリ」にしたところに、著者の本格魂を感じます。子供向けだからと謎が甘く作られているわけではないし、疑問点をまとめながら推理を組み上げていく様子は、海外古典ミステリを彷彿とさせます。こういう作品を子供のうちに読んだら、ミステリにドハマりするかもしれませんね……。
    大人の読者としてなにより印象に残ったのは、脇役の一人、二宮ミサトの言葉です。主役の片割れ・優希の母親で、推理作家をしている女性なのですが、とにかく発言の一つ一つが名言すぎる。特に、作家としての心構えを語った台詞には力があり、胸に刺さります。著者もミサトと同じような思いで原稿に向かっているのかな、と思わず想像してしまいました。
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    投稿日:2016.07.17

ブクログレビュー

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  • じゅう

    じゅう

    「有栖川有栖」の長篇ミステリ小説『虹果て村の秘密』を読みました。

    先日『ミステリー傑作選・特別編〈5〉自選ショート・ミステリー』に収録されていた「有栖川有栖」のショート・ミステリー『ハードロック・ラバーズ・オンリー』を読んで、久しぶりに「有栖川有栖」の長篇作品を読みたくなったんですよね。

    -----story-------------
    「夜に虹が出たら人が死ぬ」という村の言い伝え通りに発生した“密室殺人”の謎に少年&少女探偵が挑む!
    懐かしくも新しい本格ミステリの逸品。

    推理作家になるという夢を持つ12歳の「秀介(しゅうすけ)」は、同級生の「優希(ゆうき)」と虹果て村で夏休みを過ごす。
    「夜に虹が出たら人が死ぬ」という村の言い伝え通りに、男性が密室状態の自宅で殺害される。
    折しも土砂崩れのため犯人と共に村に閉じこめられた二人は知恵を振り絞り謎に挑む!
    本格ミステリの名手による珠玉の推理。
    -----------------------

    著者本人の少年時代を投影したジュブナイル・ミステリ… 「かつて子どもだったあなたと少年少女のための――」をコンセプトとした少年少女向けミステリ・シリーズとして刊行された『講談社ミステリーランド』の第2回配本(2003年10月)用に描かれた作品です、、、

    とはいえ、大人が読んでも十分に愉しめるクオリティでしたね… 面白かったです。


     ■第一章 ナスビにゆられて虹の村へ
     ■第二章 インクの匂う部屋
     ■第三章 夏空の向こう側
     ■第四章 ざわめく森
     ■第五章 不吉な三日月が昇る
     ■第六章 朝焼けがくるまでに
     ■第七章 今は一輪のバラを
     ■わたしが子どもだったころ
     ■ノベルス版あとがき
     ■文庫版あとがき
     ■解説 青柳碧人

    ミステリ作家になりたい「秀介」と、刑事になりたい「優希」は、小学六年生… 二人は夏休みに「優希」の母「二宮ミサト」のふるさとである虹果て村へやってくる、、、

    「秀介」の憧れのミステリ作家で虹果て村に別荘を持つ「ミサト」からの招待だ… しかし、肝心の「ミサト」は講演で到着が遅れ、「ミサト」のいとこ「明日香」が二人の面倒をみてくれた。

    虹にまつわる七つの言い伝えがあるのどかな村では、最近、高速道路建設をめぐって賛成派と反対派の対立が激しくなっていた… 到着早々、二人は高速道路建設に関わる住民たちの争いを目撃する、、、

    やがてそれは事件に発展し、高速道路建設反対派の「笹本」が密室状態の自宅で殺されてしまう… 「秀介」と「優希」は、周囲の目をかいくぐり、独自で犯人探しをしようとおとなも驚く知恵をしぼるのだが……。


    少年と少女の冒険と謎解き… 夏休みの経験を経て、二人は大人の階段を少しだけ上ります。、、、

    ミステリとしても愉しめるけど、二人の成長の物語としても愉しめましたね… ジュブナイル・ミステリということで、コンパクトにまとまり過ぎている印象はある一方で、子どもの頃、ワクワクしながら夢中になって推理小説を読んでいた頃の瑞々しい感覚を思い起こしてくれる作品でもありました。
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    投稿日:2023.08.11

  • yamato634

    yamato634

    高速道路建設の賛成派と反対派で揺れる「虹果て村」で、反対派側の人間が密室状況の自宅で殺害されてしまう。しかも、村へ通じる道が雨のせいで土砂崩れで通行不能に、二重密室と化した事件に少年&少女探偵が挑む

    投稿日:2021.12.31

  • caninha

    caninha

    もともと子ども向けだからミステリ入門書的で分かりやすかったし、微笑ましいところもたくさんあるし、子どもの時にこの本を読んだらミステリもっとハマったのかもなーという作品。個人的にあとがきが結構好きです(有栖川さんの子ども時代の話)。
    二宮ミサト先生の作品も読んでみたいと思ったり。
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    投稿日:2021.03.10

  • あぴ

    あぴ

    推理作家を目指す少年と刑事を目指す少女という設定と、その少女がジャニーズの話にはついていけないのに「ユー」と呼ばれている点がツボすぎた。

    投稿日:2020.04.22

  • Yuki

    Yuki

    「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」というコンセプトを持った、講談社ミステリーランドの一冊です。

    有栖川さんにとって初めてのジュブナイル・ミステリ。

    大人の読者の方々には、少々物足りない内容なのかもしれません。
    ですが、子供たちに本格ミステリの面白さを伝えたい、という真摯な思いに溢れていて好感が持てました。

    主人公達が中学生や高校生になったお話も、いつか発表していただきたいですね。
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    投稿日:2019.05.01

  • yaziem

    yaziem

    かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランドに寄せた著者初のジュブナイル

    ジュブナイルなだけあり、とても平易な文章で、トリックもトリッキー(?)ではなく、ものすごく古典的なものが出てきたりして微笑ましい
    続きを読む

    投稿日:2019.04.06

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