【感想】脳内汚染からの脱出

岡田尊司 / 文春新書
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • K - Shibui

    K - Shibui

    この本を読み終わって、

    『スマホの電源を切るようにしました』

    今現在、以下のTODOを実行しています。

    ①仕事上や何かの連絡を誰かにしなければいけない状況以外、スマホの電源を切る

    ②勉強する時、本を読む時は、スマホの電源を切る

    ③土日は、ほぼスマホの電源を切る

    ④SNSは仕事上で使う以外は、基本はしない、最低限の連絡手段として、どうしても必要な時に使うのみ。ゲーム、ネットニュース、動画アプリは全て削除

    以前から、スマホへの依存がはっきりと自覚するほどありました。どういう状態が依存なのかは、多くの書籍があるので、そちらに譲ります。

    この「自分はスマホに依存している」という感覚がタバコを吸っていた時と、
    非常に酷似していることに、ある時、気がつきました。
    今は禁煙をしていますが、時たま無性に吸いたくなります。
    この感覚が、スマホを使用したい時の体の状態と非常に酷似していることに気が付きました。

    ニコチンへの渇望は、禁煙をした人なら、わかります。
    何か不安や焦りを感じた時に、
    一服すれば、魔法のように軽減したという記憶が呼び起こされます。

    スマホで、どうでもいいニュースを見たり、チャットを見たり、ゲームをしたり、
    YOUTUBE見たりすると、イライラや、不安、退屈、焦りが、軽減する感覚をおぼえます。

    タバコの場合、実際は、吸えば、さらに不安や焦り、そしてニコチン中毒へのはまっていきます。
    なので、禁煙本には、吸っても、吸わなくても、不安や焦り、イライラは根本的には消えない、
    吸ったら「軽減するような感覚」を持つが、実際は、そのように脳が錯覚を起こしているだけで、
    ニコチン依存の体を作るだけなら、吸わない方がいいのではないですかと、論理的に説いています。

    スマホの場合でも、触れれば触れるほど、
    もっと、もっと、スマホを使いたくなります
    タバコと同じです。つまり、不安、焦り、イライラ、退屈は、
    「スマホをやっても、やらなくても、根本的には、自分の状態は変わりません」。

    退屈だからスマホを見る、イライラしているから、ゲームをやる。

    不安だから、YOUTUBEで動画を見て、紛らわす。
    しかし、それで、何か自分の状況が、よくなるかというと、何も変わらない。

    ただ、どんどん、見る時間、やる時間が増えていきます。
    タバコは、ニコチンという物質による身体依存ですが、スマホは情報という非物質による、
    脳機能の正常のバランスを壊す恐れのあるものです。

    数分ごと、更新されるネットニュースが気になって仕方がなかったり、
    グループチャット上でのやりとりが気になって、見ると安心したり、
    買いたいものなどがないのに、ネットショップのサイトを、ただただ、覗いたり、
    それで、買ったりすると、変な満足感を覚えたり、
    YOUTUBEなどでは、垂れ流しのように、何時間も見てしまったり、、、、

    たぶん、スマホは、タバコやアルコールなどの依存症を引き起こすものなんかものよりも、
    もっともっと達の悪いもの依存症を自身のカラダに引き起こすものでしょう。

    デジタルヘロインとか、デジタルコカインという言葉がありますが、
    言い得て妙だと思います。SNSなどの100文字も満たないメッセージのやり取りは、
    もうすでに、読むのではなく、ただ「見る」だけになっています。

    文字を「見る」ことが、無思考・無意識下で行われ、ある種の快感を呼び起こす。
    また、文字を「打つ」ことは、それは、主張や意見なのではなく、自己承認欲求を満たしたいだけの、
    行為です。しかし、いくら打っても、そんな欲求を満たすことができません。

    ただ、打てば打つほど、見れば見るほど、快感を感じます。
    その快感は、継続しないと持続できないもので、その症状は覚せい剤使用と酷似しています。

    ある研究では、SNS上のチャット通信では、ほとんど脳の機能が使われていないみたいです。
    脳の機能が使われていないにチャット(おしゃべり)する、ある見方では、
    ものすごくブラックジョークです。だって、実際は、話していないわけですから。
    相手が何を言ったのかも、誰がいったのかも、脳の機能が使われていないのならば、
    記憶もしないし、考えもしないわけです。一昨日チャットした内容を覚えている
    でしょうか?そんなものに、膨大な時間を使うのは、無駄ではないでしょうか?

    自分はオンラインゲームは一時、数時間プレイしたことがあります。
    ただ、怖くなってやめました。これは、絶対にはまると思ったことと、
    以前、一時期、インターネットカフェでバイトをしていて、
    マンガを読む人と、オンラインゲームに取り組んでいる人を比較すると、
    興味深いことを発見しました。オンラインゲームを取り組んでいる人の方が、
    ①無気力 ②暴力的な発言をよく使う/そもそも話さない ③見た目が不健康そう
    であったからです(単なる主観、何も根拠はありませんが)。

    毎日洪水のようにスマホから情報が垂れ流されています。
    それに長時間触れると、自分だけなのか、無気力になったり、判断力も落ちたり、
    また、長い文章が頭に入ってこなくなるような感覚がありました。

    この著作は10年以上前に書かれてたもので、スマホの有害性は、
    語られてませんが、非常に参考になりました。

    もちろんスマホと身体の有害性を語るには、有用性と同じで、いくらでもあります。
    今の社会状況では、なくてはならないものになっていますが、
    正直、車のように免許制にしたり、教育の面で何か対策を徹底的に行う必要があると思います。

    スマホの電源を切るようにしてから、
    不思議ですが、意欲的物事に取り組めるようになったり、
    無気力ややる気のなさ、不思議ですが、朝起きるのが楽になりました。
    また、以前よりも考えが、よくまとまるようになりました。
    これは、ただ、以前の正常な状態に戻っただけで、何かの能力が上がってことでは
    ないことは、重要なポイントです。

    スマホの電源を消したら、良いことあるよ!という単純なことではありません。
    仮にそのように考えて実行しても、数日で、止めてしまうでしょう。
    〇〇したら、△△になるという動機だけでは、まず継続することはできません。
    なぜなら、良いことなんて、ずっと続かないからです。
    裏を返せば、良いことが起らなければ、止めるということです。
    ただ、スマホの電源を消す習慣(スマホの利用時間を軽減し、スマホとの関係を、
    依存状態から脱却する。禁煙と同じです。)を身に着けることができるだけです。

    「なんぜ、電源を消すまでするのか?スマホを所詮、道具だよ、うまく利用すればいいんだよ」と、
    よく聞かれますが、自分は、その便利な道具を使いこなせる自信はありません。
    麻薬の正しい使い方を考えるのと同じです。医療用には、いいのでしょうが、
    普段の生活用に正しく使うのは、至難の技というか、犯罪です。

    「スマホよ、さようなら、ターンオフ!」です。
    続きを読む

    投稿日:2019.02.23

  • うめ

    うめ

    ◆きっかけ
    ゲームをなぜ規制したいのか、理由を考えていてググッていた中に本著からの引用があり気になったので。

    (★子供にゲームの危険性を幼いうちから教えましょう。麻薬のように依存性があって止められなくなる危険があること。性格が怒りっぽくなったり、優しかった人も優しくなくなる危険があること。注意力や根気がなくなって、将来、勉強も仕事もできなくなってしまう危険があること。熱中しすぎて、学校を辞めたり、仕事も辞めてしまう人もいること。現実とゲームの世界との境界が分からなくなって、よその人を傷つけたり、場合によっては殺したり、家族を殺した人もいること。自分の子供に、そんな風になってほしくないので、うちではゲームをやらせないということを子供が幼いうちから繰り返しきちんと説明しましょう。……出典:脳内汚染からの脱出)

    2016/8/5
    続きを読む

    投稿日:2016.08.05

  • もの知らず

    もの知らず

    * 主観的要約 *
    ◆ゲーム・ネット依存に対する警告の一冊。著者は、ゲーム・ネット依存症患者に関わってきた体験から、薬物依存症患者との共通点の多さに驚きを示しています。とくに著者が強調するのは、ゲーム・ネットは麻薬に匹敵する快楽物質を分泌させることによって強力な依存状態に陥ること、そして、依存状態に陥ることによって共感性が欠如したり、それと関連して社会性が低下する傾向があるということです。過剰な刺激に触れ続けることによって脳が損傷を受けることによって性格や考え方が変化してゆくということは「脳内汚染」に他なりません。ゲーム・ネット依存を薬物依存になぞらえるという点で、この本は警告の急先鋒ともいえる本ではないでしょうか。

    * 感想 *
    ◆ゲーム・ネット依存は「個人の強い意思で抜け出せる」と考えられてしまうけれども、そうではなく文字通りの依存状態に陥ってしまう過程が語られている点で大いに刺激があった。ぼく自身は、ゲーム・ネット依存と長期的な脳へのダメージ(共感性低下、攻撃的思考・認識など)にどれだけの因果関係があるかと考えると疑問を覚えてしまうのですが、ゲームが怠惰のための格好の道具になってしまう危険という問題は当然あると思います。
    ◆今後メディアとどのように接するかということはこれからいっそう重要になるでしょうし、その警告の書としての意義は十分にあります。

    * ささいな疑問 *
    ◆海外に比べて日本の番組規制が不十分だといっていますが (p. 90ff)、フィア・ファクターやビッグ・ブラザーみたいな過激な番組は一般的ではないのかな……。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.17

  • issalovesska

    issalovesska

    このレビューはネタバレを含みます

    ゲーム依存からの回復方法について書かれた本。
    基本的に、他の依存症と同じだと思うけど、発達中の子供の脳に大きく影響を与えるかも知れないという意味で、他の依存症よりも怖いかも...。
    回復するためには、周囲が温かく見守りつつ、最終的には本人が自分で自分をコントロールできるように促すことが大事!

    レビューの続きを読む

    投稿日:2012.08.18

  • librarylovers2011

    librarylovers2011

    覚せい剤並みの依存性を持つゲーム、ネット。いじめやADHDの増加との関連性も見えてきた。今、子どもたちの脳はどのように「脳内汚染」されているのか。そしてその対処法を書いた1冊。
    【志學館大学】ペンネーム:ムム続きを読む

    投稿日:2011.10.17

  • じじ

    じじ

    脳科学がすすむにつれいろいろなことがわかってきている
    軍事研究でなぜ人を撃てないかという研究などの引用がおもしろい
    軍事目的で人を撃てるようにする技術で
    残虐なゲームをすることで人を物のように扱えるようなってしまう
    ことが説明できるのが皮肉な感じがした
    お金をはらって人間性を壊しているとはおそろしい
    外国のようにもっと規制すべきと思った
    他にも内容がいろいろあるので読み応えがあった
    続きを読む

    投稿日:2011.10.12

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