【感想】遠隔機動歩兵 -ティン・メン-

クリストファー ゴールデン, 山田 和子 / ハヤカワ文庫SF
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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  • オズのブリキ男は人間に戻ることができるのか?

    21世紀末、アメリカは世界の紛争地帯に秩序をもたらすべくティン・メンと呼ばれる遠隔起動歩兵部隊を紛争地へと送り込み「力による平和」を実現させていた。ところが国際テロ集団「アナーキスト」よる大規模世界同時テロ攻撃が起こり事態は一変する。ダマスカスで平和維持活動に従事していたケルソはこの攻撃によりティン・メンのボディに閉じ込められてしまう。「ロボットの破壊」イコール「死」という状況に陥った彼らは、操縦者当人が眠るドイツのヴィースバーデン目指して絶望の旅を始めるのだが…。

    話はダマスカスのティン・メン部隊とG20に出席していたアテネのアメリカ大統領、ティン・メン操縦者が眠るドイツの基地の三視点で進行。とにかくアメリカ憎しのテロリストがこれでもかと言うぐらい攻めて来るので息をつく暇がなく、一見平和に見えたドイツの基地でも内部からの破壊工作が進行し手に汗握る展開に。

    相手の事情を考えず力ずくの平和を押し付けるアメリカに世界中のテロ集団が結託して一斉蜂起するという状況は、今の世界情勢ではあり得ないとは思いますが、もしかしたら?とは思わせる設定。平和を持たらす為の行為が新たなる憎しみや悲しみを生み出し、負の連鎖に繋がって行くという今の世相を反映した作品になっています。

    遠隔操作するロボットを操作して紛争地で平和維持活動を行うという設定は、ジョー・ホールドマンの代表作「終わりなき平和」を彷彿とさせますが、テイストはボブ・ラングレーの「衛星軌道の死闘」が近いかも。とにかく最初から最後まで冒険小説に徹したエンターテイメント作品になっており、アクションに次ぐアクションでSF成分はティン・メン設定のみと少なめ。なので読み終わってもSF読んだ!というよりは冒険小説読んだ!という気になります。
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    投稿日:2016.05.01

  • 現実世界がSFに追いついた気がする。

    確かにSFです。スピード感溢れるアクションは、映画的というか、ゲーム的です!
    でも、背景にある危機は現実世界を透視していて、現実世界のテロリストが何故テロ行為を
    するのかを考えさせられます。彼らは、文明を否定することで、平等になろうとしているわけです。正義の味方、世界の警察アメリカ、そんなお話しです。続きを読む

    投稿日:2016.04.18

  • B級映画できそうな

    B級映画好きにはたまらんかも。ティン・メンが撃つ銃は弾が無くならない。敵のロケット砲も人数もいくらでも出てくる。エンターテイメント的な軽さがある。

    投稿日:2016.06.12

ブクログレビュー

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  • kazzu008

    kazzu008

    このSF小説は面白かった。
    ジャンルでいえばミリタリーSFになるのかな。
    とはいえ、SFと言っても近未来の話で、現時点でも戦場で使われている米軍のドローン無人攻撃機(プレデターとかリーパーみたいな無人の飛行機がミサイルぶっ放すやつね☆)がヒト型の歩兵ドローン(遠隔機動歩兵ティン・マン)になって世界中の紛争地区で戦うという話。

    この本を手に取った時は、米軍の遠隔歩兵部隊のパイロット(←パイロットという表現が正しいのかわからないけど、要は歩兵ドローン『ティンマン』を操縦する人)の若者が
       俺強いだろ!!!!!ううぇいいいいいい!!!
    的なお話を想像したんだけど全く違った。

    ある意味、絶対に安全な場所からティン・マンを操縦しているはずの若き兵士たちが想定外の状況に陥り、極限のサバイバルをしていくという物語だった。

    言ってみれば荒唐無稽な話なんだけど、僕たちに現代の米軍が抱える矛盾(自分たちの行為が世界の平和の役に立っているのかという疑問を常に若き兵士たちは抱えている)を突き付けてくる。

    物語は非常に感慨深いし、ストーリーもしっかりしている。ティン・マンのパイロットである若き男女の兵士たちの苦悩、悲哀も存分に感じさせてくれる。

    この小説は映像化したら非常に面白いと思うけど、ティン・マンの外見がみんな同じ(多少のカラーリングやマークなどは違うが)なので、実写にすると誰が誰なのかわからなくなってしまうね。
    ここはちょっと工夫する必要があるね。

    小説では、ロボットでも表情を文章表現でだせるのだけど、実写だとそうはいかないもの。
    アニメみたいにパイロットの顔をワイプみたいな形で写さないと全く見ている人には意味不明な映像になってしまうよね。
    この問題だけクリアできたら大ヒット間違いなしなんだけど、そこが一番難しいか(笑)

    というわけで、本書はかなり面白い。もっと評価されてもいいんじゃないかな。
    SFミリタリー系のお話に興味がある方はぜひ手に取ってみてほしい本だね。
    続きを読む

    投稿日:2020.08.09

  • 魚雷屋の読書録

    魚雷屋の読書録

    #日本SF読者クラブ 現在の世界情勢を反映した近未来(?)が舞台で、遠隔操作型ロボット兵器が登場する。映画的な面白さがあるが、映像化は無理だろう。「宇宙の戦士」を映画化した時は、登場人物にパワードスーツを着せなかった。皆同じ姿形になって、見た目で区別できないから。スターウォーズのストームトルーパーを思い浮かべれば、理解できるだろう。ティン・メン(遠隔機動歩兵)の姿だからこそ、物語として成り立つ。話としては、少々暗いかな。
     自律型ドローン兵器が登場してきても、やはり引き金を引くのは人間じゃないとだめという考えが根底にある。確かに、ターミネーターができたら怖い。
    続きを読む

    投稿日:2019.11.30

  • winder

    winder

    またミリタリーものかぁ〜と、あんまり期待してなかったんだけど物語が動き出してからは、イヤイヤどうして面白かったです!

    投稿日:2018.12.25

  • hopehilleast

    hopehilleast

    ティンメンのオペレーションが、昔、大ヒットした映画2作を連想させる。
    ワクワク感とか、スリルとかあまり感じなかった。

    ラストも盛り上がりが今ひとつだった。

    投稿日:2018.02.13

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