【感想】あたしの一生 猫のダルシーの物語

ディー・レディー(著), 江國香織(訳) / 小学館
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
12
4
7
1
0
  • 猫の心理描写が最もらしく見事に表現されていると思います。

    主人公のダルシー(猫)は、クールを装いながらも"あたしの人間"(飼い主)の愛情の大きさの変化を繊細に感じとりながら成猫へと成長して行きます。

    愛に包まれた平穏な二人の生活に何度か大きな変革が起きます。涙を誘う過酷な体験自体が淡々と綴られているのとは対照的に、ダルシーの心の揺れはきめ細かく描写されています。この点に沈着冷静な猫のイメージが合致して、リアリティが増幅されていると思いました。

    幸せに満たされた日々が続くかと思えば心乱されたり。ダルシーは色々な経験を得ながら段々と"あたしの人間"への愛情の揺るぎなさを認識して行きます。

    長年嫉妬や寂しさに苦悩したところがしっかり書かれているので、その先の老齢期に体が不自由になるも、再び"あたしの人間"の愛情を得ることが出来る展開に、胸が鷲掴みされました。

    後半、ダルシーの"あたしの人間"への一途な想いが強く綴られていますが、押し付けがましさがなく切なさがドーンと伝わって来る描写力に満足感を得られました。泣けました。
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    投稿日:2017.04.01

  • 猫と人間の深~い愛情

    猫目線で見た世界。
    プライドが高く、飼い主を「あたしの人間」と呼び、飼われるのではなく逆に人間を調教しているような。
    気に入らない子猫を連れてきたときには、完璧に拒絶し、結局飼うのをあきらめさせたり。
    それでも「あたしの人間」に対する愛情は大きく、深く。
    「あたしの人間」と一緒に過ごせて、この猫は幸せだっただろうし、
    「あたしの人間」もそれ以上に幸せをもらったんだろうな。
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    投稿日:2017.11.14

  • 愛の物語

    猫(ダルシー)の視点で描かれる物語。改めて読みなおしてみると、とことん自己中心的で、とことん献身的な愛の物語。もしダルシーが人だと思うと、めっちゃ重い愛と感じるかもしれない。でも、どこまでも愛を突き詰めると、真実の愛ってこうなのかもしれない。猫と一緒に暮らしている人が読んだら、きっと、絶対に、隣にいる猫を抱きしめるはず。何回読んでも最後は泣いてしまう。この本って、何で増刷しないのかな。「猫語の教科書」とこの本は、猫が語る本としてとても素晴らしいと思う。続きを読む

    投稿日:2018.10.23

ブクログレビュー

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  • たぺたぽ

    たぺたぽ

    あたしをしあわせにできるのはあたしの人間。
    あたしの人間がしあわせでいられるのもあたしのおかげ。
    大好きなことが伝わってくるお話し。

    投稿日:2023.11.15

  • hanazo

    hanazo

    原書も持ってるのに手つかずのまま、翻訳を読みました。

    幸せな時間を共に過ごした相棒たちのことを恋しく思い出しながら読み終えました。

    投稿日:2023.02.20

  • masa1211

    masa1211

    完全に猫目線で書かれたお話。猫を4匹飼ってて 更にその内 1匹昨年 同じ様に病気で亡くした私にとって ダルシーの対応にえっそれはマズイんじゃない?」って思うような所もあったけど 猫に対する愛 あたしの人間 に対する愛に溢れてるお話でした。続きを読む

    投稿日:2022.02.15

  • レイコ

    レイコ

    青山ブックセンターで大好きな江國香織さんのコーナーに並んでいて気になった本。江國さんの訳で読めたのはとても嬉しかったけど原文でも読んでみたくなった

    私は猫を飼ったことがないけれど、これは猫とその飼い主の物語でなんかなくて、帯にもある通り「あたし」と「あたしの人間」の愛の物語だ〜と思った。こんなふうな猫と人間の関係が世の中にどれくらい存在するんだろう!猫と人間に限る必要は全くないんだけどね。

    だから私は、ダルシーの愛に触れながら、かつて自分が好きだった人たちを思い出させられた。「あたしたちの関係の主導権をとるのはあたしだ、という信念」なんて本当に見習いたい。その信念を撤回するほかないようなことになるのも憧れるな、そんなのちょっぴり(?)怖いけど。

    酸いも甘いも自身の感情をすべて受け入れ、向き合った彼女は本当にすごいし今の私じゃ叶いっこないかしら〜

    「つねにいま、この瞬間だけが、あたしから彼女への贈り物なのだ」
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    投稿日:2022.02.05

  • とっちん

    とっちん


    「あたし」ダルシーにとって
    飼い主はあくまで「あたしの人間」 

    ダルシーの目線で描かれた世界だから
    まっすぐな要求と強い意思、深い愛情
    それ以外のものはなにひとつなかった。


    「あたしの人間」がかなしみを乗り越えたときの安心感と喜び。
    「あたしの人間」との別れが近いことを悟ったときの少しの心残りとありったけの感謝。

    これは、わたしたち人間も同じこと。

    日々の忙しさだけに引っ張られているわたしが
    どれだけのことを置き去りにしているのか。
    ダルシーの一生を通して、また立ち止まることができた。


    これは単なる猫と人間のお話ではなくて
    尊い、愛の物語。


    江國さんの訳者あとがきも
    ストレートな言葉ばかりでとってもよかった!
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    投稿日:2022.02.03

  • avec toto

    avec toto


    先日紹介されているのを見て、何だかこの本に呼ばれているような気がして、直ぐに読みました。

    猫のダルシーの目線で、猫が見たまま、感じたままが、一貫して書かれています。

    ダルシーは飼い主を「あたしの人間」とよびます。猫にとって、慕っている飼い主は絶対的に自分の世話をし、愛情をかける唯一の人間なのです。何て愛情に溢れた言葉なんだろうと胸に染み入りました。原語ではどう書かれていたのかわかりませんが、江國香織さんの訳は、この本にとても合っていると読んでいると分かります。原文でも読んでみたい作品です。

    猫と暮らしている全ての人に読んでもらいたい一冊です。猫の一挙一動にどれほど想いが込められているのか。猫がどんなに飼い主を慕って依存しているのか。

    猫って勝手気ままだとよく言われるけれど、一緒に暮らしてとことん向き合うと、全くそうではない事に気づく方がほとんどだと思います。

    三年前に逝ってしまった私の絶対的な愛猫トトちゃんを偲びながら、一文一文を猫の息づかいや体温をも感じながら、大切に読ませてもらいました。

    真っ直ぐな愛に溢れたお話でした。
    続きを読む

    投稿日:2021.12.26

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