カンディード

ヴォルテール, 斉藤悦則 / 光文社古典新訳文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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ブクログレビュー

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  • 本江正茂

    本江正茂

    リスボン大震災に寄せる詩を目当てに読んでみた。
    あまりの惨事に、18世紀当時支配的であった最善説、すなわち、世界は神によって最善のものとして作られているのだから、いまここが不幸に見えてもより大きく見ればそれは最善なのだ、という考え方を疑うというもの。災害は天罰なのか、それともめぐりめぐって実は救済なのか、どう、この惨事を腹落ちさせればよいのか、という悩みは、現代もなお続いている。
    地震そのものの描写も興味深い。

    カンディードの方は、最善説を信じてよいのかと悩める冒険物語。理想郷としてのエルドラドの扱いや、ちらっと日本が出てきたりするあたり、スイフトのガリバー旅行記とも通じる感じがした。ほぼ同時代のもの(ガリバー旅行記の方が先)だし、影響があるのかも。
    続きを読む

    投稿日:2019.08.31

  • たろう

    たろう

    東浩紀が書いた『観光客の哲学』に本書が参照されていたので、読んでみた。梅毒にかかったり、絞首刑で死にかけたりしながらも、最後まで「最善説」を肯定するパングロス博士が滑稽で仕方がない。ところで、今の時代で最善説を信じている人はどれくらいいるのだろうか。もし私が災害などの不幸にあって苦しんでいる際に、「全体の善のために、あなたの不幸があるのだ」とか彼らに言われたら、間違いなくブン殴るだろうな(笑)続きを読む

    投稿日:2019.06.02

  • YOERU

    YOERU

    こんなにも笑える古典は初めてだ。
    たっぷりといたずらな皮肉が効いている。

    不幸の域値を越えて爆笑となる。
    だが中盤、あまりにも悲惨なので笑えなくなってくる。

    だが、終盤はもはやめちゃくちゃで哲学コントと言われるのもよくわかる。


    だが、ヴォルテールは至って本気でこれを書いているのだろう。

    本書を通じて一貫してあるテーマは、
    「人が生きるということは、善なのかそれとも悪なのか?」
    という人や人生の本質への問い。


    実は、ヴォルテールはルソーから批判の手紙を受け取っていた。
    「君の考えには人間の原始状態への考察への配慮が足らないよ」と。

    この『ガンディード』は、そのルソーへの暗黙の返答だったのだ。
    それを踏まえて読むとさらに面白い。

    ルソーとヴォルテールの議論を、この『ガンディード』という物語を通して垣間見ているようだ。


    結論として、
    ヴォルテールは議論している暇があったら働こう。なぜなら、退屈、堕落、貧困というのは不幸の元凶であり、働くことはそれらを退けることになるのだから、と。


    この働くということを重んじる思想は、
    聖書からの引用でもあるように、
    庶民は働かなければ(主に農業)生きていくことができない時代を反映しているものであり、
    それをそのまま現代に置き換えることは出来ないと思うが、
    それだけではないより深遠なメッセージがそこにあることを感じる。


    働かなければ生きていけない時代から
    働かなくても生きていける時代の今。

    働かざるもの食うべからず、から
    働かなくても食っていいの現代。

    人はパンのために生きてはいない。
    だが、パンなしでは生きられない。
    そして、ただ何もせず無為に過ごす(働かないというのをその意味で使うならば)ことは出来ないのだ。

    続きを読む

    投稿日:2019.02.20

  • asiantamtam

    asiantamtam

    バーンスタインがミュージカル化しているこの作品。ミュージカルは観てないけど、気になっていたので読んでみた。登場人物が皆悲惨な目にあってるのに結構あっけらかんとしていて、コメディタッチで読みやすい。途中で著者の私怨も盛り込まれていたりしてもう何でもあり。机上の空論より身体を動かして働こう、と登場人物たちがオプティミスティックな思想が最後リアリスティックになるのがなるほどと思った。途中で出てくる登場人物ですべてを批判する人、一般の人が美しいと思っているものに欠点を見つける人は、それを楽しめないことを楽しんでいる、と分析しているのはとても腑に落ちた。続きを読む

    投稿日:2018.11.17

  • hiun

    hiun

    「最善説」についての是非。世界は最善にできているのか、できるいるとしたら、不幸な人はなぜいるのか。個人のせいなの?悪いことをしたから。全体としての善。主人公カンディードが遭遇する様々な出来ことを通し、隣人と対話しながら、考えていく物語。頭でごちゃごちゃ理論を考えるでなく、目の前にある畑を耕そうというラストシーンがプラグマティックな印象を受けた。ドイツの観念論、フランスの構造主義、イギリスの経験論、アメリカの分析哲学、プラグマティズム。これらのもとになっているような、なっていないような。啓蒙の時代の17、18世紀であり、近代合理主義というか科学発展の時代の始まりに書かれた本で、現代のように、高度に専門分化する前のところ。とても面白く読めた。再読しよう。今度は岩波で読んでみようかな。続きを読む

    投稿日:2018.01.13

  • すう

    すう

    レナード・バーンスタインのオペレッタ「キャンディード」は、この物語をベースにして作曲されたとのことである。確かに、その序曲からは主人公の波乱万丈の物語がよく表現されている。
    この物語のキーワードである「最善説」とは、「性善説」と勘違しがちであるが、それとは少しく異なっている。「この世にある個別の悪は、ことごとく全体的な善である」という考えである。作者ヴォルテールは、どうやらカトリック教会が中心になって流布していた権威的な「最善説」をこの作品で批判したかったようだ。続きを読む

    投稿日:2017.08.15

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