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篠田節子 / 集英社文庫 (32件のレビュー)
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bauasano
小柄でちょっとぷっくりとしている独身の真一は、女性たちから関心を注がれる男性とは程遠い存在だった。 そんな真一に、美人でスタイリッシュな高嶺の花ともいえる独身エリート行員の理香子への取材の機会を与えら…れる。 真一は、理香子のあまりにも神々しい存在感に萎縮しながら、何とか無事に取材を終える。 その後、ひょんなことから梨香子とお付き合いの機会に巡り合うことになり、真一の操縦で梨香子をセスナに搭乗させ、なんと大空へと飛び発ってしまう。 冴えない真一が何故にセスナを操縦し、エリート梨香子を搭乗させて空に飛び発つことができたのか⋯ そんな誰が見ても不釣り合いな二人が、信じられないことに結婚をすることになる。 結婚後、真一は梨香子の思いもかけない一面を知り、結婚前に思い描いていた姿とのあまりの違いに愕然とする。 がしかし、気が弱く総てに自信を持てない真一は、情けないことに一言も梨香子に対して意見を述べることはできない。 真一からすると、梨香子の世界観は余りにも浮世離れしいて、ついには真剣に離婚を考える程に追い詰められる。 一方、梨香子も仕事でのプレッシャーもあり、新婚家庭を顧みることはなかった。 そんな二人のドタバタ結婚生活を通して、現代社会の結婚・出産・育児・少子高齢化時代などに潜む問題が炙り出される物語となっている。続きを読む
投稿日:2023.07.15
ジードさん
20年以上前に出た本。 当時読んだら100%夫を応援するが、子育てをしている今、どちらにも共感できる。 配偶者は他人であるという前提と、何事もお互い当事者意識を持つということが、幸せな家庭を築くことに…つながると思う。 20年以上前にこれを書いた作者の思い。続きを読む
投稿日:2023.03.08
naminami
面白かった〜。 特に、真一が本来は母親がやるべきことと 思いつつ、きちんと育児をこなしてるところ。 女だからって、初めから 育児ができるわけじゃない。 本読んだり、人の話聞いたり 色んなヒト、モノ…やコトに助けてもらいながら、 試行錯誤して育児してる。 それで、少しずつ親になっていく。 産めるか産めないかの違いはあるけど、 育てられるかどうかに男女の違いはないよね。 男が働き女が家を守るだなんて、 ほんとに誰が決めたのか、 古臭い価値観だとあらためて思う。 得意な方が引き受ければ良いし、 得意というほどでなければ、 半々でいいんじゃないかって思う。 「百年の恋」と来たら、 「冷める」と続く恋愛小説かなと思ったけど、 「脈々と続いてきた家事育児は女の仕事」的な 百年の価値観が冷める時が、来た?来る? という小説だと思った。 単行本が2000年に出てて、 今は2022年。20年か…。 ほんとに変わらないな。 いやいや、これからか?続きを読む
投稿日:2022.09.08
エスメラルダ
このレビューはネタバレを含みます
篠田節子さんの小説は、初です。 まずは読みやすそうな作品をと、『百年の恋』を選んで正解でした。 とにかく、痛快。 何度も何度も笑わせて、ときに考えさせられ、思わぬところで泣かされて・・・ファンにならざるおえない、さすがです。 さえないライター家業の真一の3歳年上のスーパーエリートの妻・梨香子への" 声にはならない悪態 " が、コミカルに描かれていて、面白い。 妻と母の長年の確執におろおろ、エリート元カレ⁈との仲を邪推して嫉妬、次々と叩き込むエピロードに、揺れ動く真一の心。 ついには諦めの境地か。 『お茶は裏千家、お花は嵯峨御流、煎茶道も一通りはできる。それでいてなぜ、自分の脱いだパンツをそっと畳んでから洗濯籠にいれることができないのだろうか。・・・』 逆転夫婦。 真一に同情したくなるが、妻に振りまわされる可笑しくも可愛い姿がなんとも痛快。 そして、可笑しさと共に、愛おしさがある。 稚拙だけど、梨香子の真一への想いは、あれはあれで愛だと想う。 キャリアという鎧を脱いで、母の呪縛から逃れ、極度に甘えられるのは(わがままはすぎるけど)真一だけなのではないか。 それを踏まえると、真一と梨香子の出会いは必然のように想える。 " 我鍋にとじぶた " かな! 我が家もそんな夫婦ですから。(未熟同士でちょうどいい) また、編集者の秋山泉子がカッコいい。 甘ちゃんの真一を『うるさいんだよ。』と叱責するセリフに惚れました。 『あなたに妙なこだわりがあるからよ。偉そうな顔をするからよ。パンツがどうしたって? 私も、私の母も、祖母も、夫や父や祖父のパンツを洗ってきたのよ。 洗濯機もない時代から。 つまりあんたたちは、そうして平然として、自分の脱ぎ散らかしたものを洗わせてきたんじゃないの。そこに恥じらいがあった? 感謝があった? たかが汚れ物だろうが。生きている証拠じゃないの? あんた、今、誰のおかげで、勝手なことができたるの。奥さんの稼ぎで好きなことしてるんじゃないの』 いいセリフは、まだまだ続く。 そして、真一は、自分と向き合い・・・。 天晴れです。 スッキリ爽快です。 真一くん、頑張って‼︎
投稿日:2022.07.23
キイロyellow
夫婦の役割や生活が逆転すると、それまでの「女がやって当たり前、男がやって当たり前」という役割分担の理不尽さに気付くかもしれないなー。 そして、あえて夫婦の役割を逆転して描くことによって、社会で戦う男の苦労、家を守る女の不満などなどを改めて感じることができたりして。 夫婦共働きで、家庭での役割分担にモヤモヤしている女性のみなさん! 一度読んでみてはいかがでしょうか。 私は梨香子の男らしい働きっぷりにスカッした気持ちになりましたよー。 結婚しても出産しても生活のスタイル、自分自身のスタイルを変えない梨香子はすごくかっこいいと思いました。 あ、でも梨香子は私生活は本当にダメダメだけど。 そして家事を押し付けられてグズグズ言っている真一に「喝」を入れる編集長の秋山女史もめっちゃ素敵。 でも実際にここまで逆転している夫婦ってなかなかいないと思うけど、でもすごいおもしろかったです。
投稿日:2022.02.16
ばあチャル
美人で東大卒、キャリアばりばりの銀行員「梨香子」と「三低」(背が低い、収入が低い、大学の偏差値低い)「真一」が結婚した。 でも、単なるドタバタ劇では、勿論篠田さん、済まさない。 定石「主人公は誰だと…いう疑問」の楽しみも与えてくれる。 もう単に誰ということでなく、登場人物すべてに作者は愛情をそそいでいるのだろうと思う。 様々な事件が起こり、問題提起がなされ、篠田さんの筆力が発揮され切る。 子育てする「真くん」に身につまされる。 だって「真くん」一昔前の子育て中の専業主婦そのものだもの。 「真くん」の姿を借りて、またまた女性の奥深い悩みを抉り出すから、あら不思議。 ところが仕事は出来るが、身の回りの生活がまるでだめ女「梨香子」も、そのことがコンプレックスになって、荒れるのだから。 これも、悲しい女性問題。歴史の重み。 そして最後、脇役絹田徹子がいい。本人は大変だが。続きを読む
投稿日:2021.09.16
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