【感想】インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)

ダン・ブラウン, 越前敏弥 / 角川文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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  • 今回のテーマは人口爆発

    病院で目を覚ましたラングドンは頭部を負傷しているが、2日間の記憶を失っており、自分がなぜフィレンツェにいるかもわからないという状況でスタートする。しかも、謎の襲撃を受け、わけがわからないままに逃走することになる。
    最初から波乱に満ちたストーリー展開である。
    ダンテの「神曲 地獄篇」に導かれながら、フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと舞台を移しつつ、多くの歴史的建造物や美術品が登場するのは「天使と悪魔」や「ダ・ヴィンチ・コード」と同様である。
    「インフェルノ」で問題となるのは人口爆発である。
    すでにして人口は過剰になっているが、このまま増えていったら、食糧不足など事態は深刻であり、人口が激減しない限り、人類は生き延びることができない・・・
    中世ヨーロッパにおいては黒死病が猛威を振るって人口は抑制され、黒死病の後にはルネッサンスが到来した。黒死病が良い結果をもたらしたと考え、今また人類に同様のものをもたらそうと考えた者がいて・・・

    最後まで先が読めないので、後半は特に先が気になってページをめくる手が止まらなくなる。
    ハラハラドキドキしても、最後はめでたしめでたしなんて安易な決着をつけるのではなく、まったく予想外のラストに驚かされる。
    やっぱり、ラングドンシリーズはすごい!
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    投稿日:2016.02.25

  • 人の世は矛盾に満ち

    人を救うための医療が、人口爆発を助長する。人類の多くを殺す事が人類の世の延命になる。そして、都合の悪い事を認めない。人類が繰り返してきた過ちを鋭くついてくる。そんな中で、キリスト教とイスラム教の密かな共生を描く。救いがありそうな、なさそうな。混沌と背反にあふれた作品。ラングドン教授がスーパーヒーローでないところが良い。登場人物が、それぞれに苦悩し、理解しあうことで救いに向かうのは小説の中だけのこと。現実の世界は、無理解と独善だらけかな。

    映画はじまりましたね。ダヴィンチコードも、天使と悪魔も原作とストーリーが若干(?)かわっていたけれど、結構楽しめました。本作もいい出来だと期待しています。
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    投稿日:2016.03.31

  • ダンテの『神曲』を読みたくなる!

    ダンテの『神曲』の文言を紐解きながら、フィレンツェ(上)、ヴェネツィア(中)、イスタンブール(下)とめまぐるしく舞台を変えながらストーリーは進んでいく。
    映画も観たけど、このスケールはやはり映画では描ききれない。
    観光名所を巧みに紹介しながら、ラングドン教授による美術的価値のウンチクを盛り込みつつ核心に迫っていくというのはいつものパターン。
    おかげで読んだ後はいつもその場所に実際に行ってみたいという衝動に駆られる。
    残念ながら写真で我慢しているけど。

    今回は地球を救うために人口爆発を防ぐという信念を持つバイオテロ。
    バイオテロという手段はともかく、人口過剰であることは間違いないわけで、実際、何か手を打たないといけない深刻な状況にあるという点では共感できる。
    この重たいテーマとダンテの『神曲』や数々の美術品を関連させたストーリーは、ダン・ブラウンでなければ書けないだろう。
    そして、息つく暇もないような展開に最後までハラハラしどうし。
    なんだかわけがわからないまま逃げまくって、逃げながら謎解きをして、最後は犯人を追いかけて・・・これを1日でやってしまうラングドン教授はすごいですね。

    本題とは関係ないが、巻末の「謝辞」(刊行にあたってお世話になった人に作家が感謝を述べる欄)に作中の登場人物マルタ・アルヴァレスの名前を発見したことに密かな感動を覚えるのは私だけ?
    マルタさんは実在の人物なのだろうか?気になるー。
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    投稿日:2016.12.21

  • 芸術やイタリア好きなら最高に楽しい

    合本買ってよかったです。歴史と芸術考証が深くされていて、とても為になるプロットがそこかしこにちりばめられ、私のイタリア旅行のおぼろげな美術館や教会の記憶も、なるほど!そうだったのか!と目から鱗状態で適宜覚醒され、アクションさながらのラングトン教授のハラハラドキドキの展開が続くので、読んでいて全く飽きない。

    ただ、美術と歴史と建築はすごいが、ウイルスやティッシュ―ケミストリーの科学的考証がイマイチな気がする。その辺は映画化するときの映像のしやすさも意識しているのかも
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    投稿日:2017.03.13

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