【感想】歴史とは何か

山内昌之 / PHP文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • キじばと。。

    キじばと。。

    歴史学者である著者が、歴史を学ぶことの意義について論じている本です。

    著者は、司馬遷やヘロドトスから現代の歴史学者にいたるまでのさまざまな歴史にかんする議論を紹介し、人間が歴史に対してどのようにかかわり、歴史からなにを学んできたのかということについて考察をおこなっています。

    まず目を引くのは、著者が社会史に代表される現代の歴史学の動向に対して批判的なスタンスをとっていることです。著者は、歴史の叙述が生き生きとした文章によってわれわれにその魅力を示すということは、歴史にとって些末なことではなく、むしろ歴史の本質に属するものであると考えており、頼山陽の『日本外史』のような作品についても無礙にあつかうべきではないと主張しています。その一方で、中国の史学史を参照しつつ、経学を史学より上に位置づける立場にも異議を提示し、偶然的な歴史の事実により添いつつ、歴史のうちになんらかの道理を見いだそうと努めてきた歴史学者たちの試みを高く評価しています。

    さらに、そのような態度で真摯に歴史から学ぼうとすることが、けっしてわれわれが現実において直面しているさまざまな問題と無縁のものではなく、むしろ現実の問題の解決を求めるうえでも有益であると主張しています。とくに著者は、こうした立場から歴史を学んだ人物として陸奥宗光を紹介し、そのしたたかな知性のありかたが、彼の歴史から学ぼうとする態度と密接なつながりをもっていることを明らかにしようとしています。
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    投稿日:2023.05.28

  • Go Extreme

    Go Extreme

     いかにすれば歴史の真実に辿りつき、いかにすれば真実を伝えることができるのか……。本書はヘロドトス、司馬遷、吉田松陰、福沢諭吉ら、古今東西の歴史を紡いできた人々を取り上げ、彼らがいかに時代と向き合い、そしていかに歴史をとらえたかを、イスラム史の第一人者が解き明かしたものである。

     外交評論家の岡崎久彦氏は、本書解説でこう評す。「歴史哲学に関する古典を全て渉猟され、それの読み方を指導していただける本である。まさに表題通り、『歴史とは何か』を共に思索出来る本である」

     読者は、歴史学の使命と意味を知るとともに、世界といかに向き合うべきか、そのヒントを得られるに違いない。

    序章 こだわりと疑念―なぜ歴史を考えるのか
    歴史の森に分け入ろう
    なぜ歴史の作法なのか
    隠された秘密のメッセージ
    歴史は凡人の領域か
    素朴な善悪二元論を排す
    ニーチェの反実証主義に怯えるな
    第1章 天道、是か非か―歴史のメッセージ
    凝ら解の疑問 隠された心理 歴史学の父・イブンハルドゥ―ン
    知者と愚者の混淆
    天はやはり見ていた
    生き恥
    春秋の筆法
    哲学・思想と歴史の違い
    第2章 ヒストリーとストーリー―科学と文学の間
    真実とレトリックは同床の悪友
    真理を伴った美・美を伴わない真理
    ロマン主義的な歴史叙述の試み
    第3章 危機における歴史―歴史家の使命
    最初の歴史は大鏡から
    因果関係を分かりやすく
    第4章 広がる歴史―文明の接触と衝突
    モンテーニュの挑発
    自分の頭脳だけで考え抜く「独断の学」
    文明の衝突なしに世界史が進んだためしはない
    西洋の衝撃
    第5章 世界史と日本史の出会い―構造の転換
    徂徠学とイギリス功利主義
    認識者から行為者へ
    強国・大国対弱国・小国
    終章 リアリズムと理想主義―現代歴史学の志
    孔子とアリスとレレスの歴史観
    松陰・史を見るの益あるに若ず
    人為に可能性を残す
    求められるバランス感覚
    歴史は過去の政治にして、政治は現在の歴史なり
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    投稿日:2022.11.17

  • rafmon

    rafmon

    歴史の定義。もちろん、文章を書ける人によるもの。だけではなく、著名な事件の抜粋。つまり、それを残す権威のある人による監督が施されている事。史実として残る歴史とは、どれほど実態を示しているのかーというような考察があるのかと思ったが、そういう分析とも違う。
    歴史家には、研究として真実に迫ろうとする種類と、単に記録を編纂するだけの種類があるーというレベルからの話。読み難いし、合わなかったかな。
    続きを読む

    投稿日:2019.04.15

  • 波瀬龍

    波瀬龍

    【由来】
    ・元々登録してはいたが、佐藤優「世界史の極意」でも。

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】
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    投稿日:2018.10.28

  • ドラソル

    ドラソル

    歴史やそれにを著述する歴史家について、著者が体系的に述べた一冊。

    なのだけど、著者の書き方が今ひとつわかりにくく、簡単なことをあえて難しく書いているような感じがした。

    投稿日:2017.05.28

  • ふぃん

    ふぃん

    今、読んでる最中。しかし、とても辛い。まるで苦行。
    理由その1、仕事が繁忙期。
    頭を使う仕事で更に頭を使う本は選択ミスかも。
    理由その2、引用が多すぎる。
    引用される箇所は、確かに内容に沿ったもので、著者の言いたいことを深く理解するために必要なものなのだと思う。けれども、数行の引用とはいえ、その数行の言わんとすることを理解するには、その数行に至るまでの背景を知っていなければ「腑に落ち」てくれない。
    せめて引用がこの3分の1程度であったなら、引用箇所で立ち止まる度に原典にあたる気にもなれようが、こう多くては、ちょっと面倒。ちょっと辛い。
    だから、皮相な理解なままに読み進めねばならず、そこが一番辛い。
    教養もしくは素養の無い者は読むなということなのか。でも、歴史好きなんだけどな。
    わかったつもりになりたくないと思うから努力はするつもりだけれど、途中で投げ出すかもしれない。
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    投稿日:2017.02.04

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