【感想】あの子の考えることは変

本谷有希子 / 講談社文庫
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
6
10
22
2
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • NO Book & Coffee  NO LIFE

    NO Book & Coffee NO LIFE

     奇妙な23歳女子二人の同居生活を描いた、何ともヘンな物語でした。二人の言動が、とっても痛々しく〝ぶっ飛んでる〟印象なのですが、重さ・深刻さを軽々と超越したテンポの良さで、読みやすかったです。

     劇作家・本谷有希子さんの本領発揮、といったところでしょうか。2009年作品で、後に芥川賞を別作品で受賞されますが、本作も同賞候補になってます。筆力あってこそなのでしょう。下ネタ満載ですが、真剣さ故に滑稽でもあります。

     自分の存在証明にこだわったり、自意識過剰でいろいろと劣等感をもってもがき苦しんだりしている状態は、ある意味(特に若者にとっては)普通だと思います。
     ただ、承認要求の内容や度合い、その鬱屈さや毒の吐き出し方によって、他人からは「変」と受け止められるのでしょうね。そういう意味で、本書の女子二人に共感できるか否かは、分かれる気がします。なにせ本書の女子は特異で‥。

     社会からの疎外感や孤独に向き合う辛さ、彼女たちのそれらの痛みと共闘する様子からは、不思議と疾走感と鮮やかささえ感じられる、絶妙のバランス加減でした。
     ひどく痛い話だったのですが、明るい未来を感じさせるラストに救われ、二人の将来を応援したくなりました。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.28

  • いちゃ@読書

    いちゃ@読書

    アイデンティティはGカップの胸しかない巡谷と、自分の体臭を必要以上に気にする日田の奇妙な友情。世間の感覚から外れている二人は、罵倒しあいながらも互いには自分を曝け出して許し合ってたりもする。ズレにズレたふたりのラストの暴走っぷりが面白くて、好みが分かれそうだけど個人的にすごく好きだった。続きを読む

    投稿日:2023.04.15

  • キじばと。。

    キじばと。。

    Gカップのおっぱいをアイデンティティのよりどころとしている巡谷と、彼女の部屋に居候しており、自己臭恐怖症などの妄想に悩む日田という、二人の女性の物語です。

    妄想全開の日田にくらべると、比較的常識人にも思える巡谷ですが、彼女もセフレの横ちんに執着するようすや、日田が「グルーヴ先輩」と呼んでいる躁状態に入るなど、両者ともに自分自身の生きづらさをかかえ込んでいます。二人の生きづらさの中心に存在しているのが、日田の妄想のなかでダイオキシンによってこの街に人びとを狂わせていく、清掃工場の巨大な煙突であり、いわば「不在の中心」となってストーリーが進んでいきます。

    やがて日田の口から、清掃工場が移転する計画であることが告げられ、日田の妄想につきあっていた巡谷だけではなく、日田自身もまた、中心が「不在」であることに気づきいていたことが明らかになります。物語の最後で、二人は工場の煙突をのぼり、巡谷は「グルーヴ先輩」の力が消えかかっていることを自覚しながらも、日田のあとを追いかけ、煙突のてっぺんをめざします。このラストの展開は、たたみかけるようなスピード感があって一気に読ませるような力をもっています。もっとも物語の構造に目を向けるならば、コンプレックスがアイデンティティの中核になっており、そこから脱することのできない二人の女性の生きかたになんの変化ももたらされていないということになるのかもしれませんが、物語をぐいぐい推し進めていく著者の力とあいまって、彼女たちの生きかたの示す「強度」のようなものが感じられました。
    続きを読む

    投稿日:2023.03.26

  • stderror

    stderror

    2人ともどうしようもねえ〜
    比較してどっちがヤバイとか言う問題じゃない。巡谷が自分は常識人で日野をお世話してあげてるみたいな意識もリアルで、こういう取り繕い方しちゃうよね恥ずかしいよねみたいな。共感性羞恥
    でもなんか登場人物に役割を振り分けてない感じがよかった。
    煙突がデカいちんこのメタファー
    続きを読む

    投稿日:2023.01.18

  • 白降雪

    白降雪

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かったー!!
    すごい読みやすかったしこんなに話に夢中になって読めたのはいつぶりかな?
    巡谷と日田に共感して笑って泣いて感情を揺さぶられたのは本当にいつぶり??(何回も
    私はところどころ笑いどころがあって面白かった
    ダイオキシンとかでかいちんことか

    日田の彼氏の寝言夢遊病にはごめんなさいだけど大爆笑しました。むおーーーーーんんおーーーんおーーんおん。 きっと公園にいる方も隣住んでいる方も真下に住んでいる方もどんな怪物が住んでいるんだと恐れていることでしょう。
    マッシュルームヘアーよ横綱あっ、よこちんね
    よこちん自分で俺のどこがかっこいいのこんななりになってさ


    笑った


    豚のぬいぐるみとよこちんかけすぎ

    チョコエッグをホームレスにあげようとする日田も剥き出しになっちゃう巡谷も大好き

    2人にところどころ共感出来るところがあって合っちゃまずいのかもだけど新しくできた友達みたいで呼んでてすごーーい楽しかった

    おっぱいになりたいおっぱいしか取り柄がない

    ねーー最後本当はなんて言ったのか教えてーー!
    私だけに教えてーー!巡谷も寝ちゃって聞いてないのかな

    これにて私の手記おわり    完

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.01.16

  • ちゃこさん

    ちゃこさん

    ふたりともめっちゃ変。
    狂おしいほどの性欲、すさまじい孤独、
    我々の汚さをありのまま書いてくれる、
    肯定も否定もされなくていい、
    女性の中にある爆発的な感情をいろんなオマージュを使いながら言語化してくれる本谷有希子ワールド、そしてここにしかない。
    ヒステリックもグルーブ先輩ていえばなんかかっこいいやん。
    続きを読む

    投稿日:2022.08.18

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。