インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

中村安希 / 集英社文庫
(37件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • azuki

    azuki

    きっかけ:友人のおすすめ

    海外にあまり興味がなかったけど、エッセイとして楽しめた。アフリカに行く人の、それでもいく、をなんとなく感じられたのがよかった

    投稿日:2021.02.21

  • ゆうだい

    ゆうだい

    海外旅行なんてもってのほか!なご時世、せめて旅行記でも読んで…と思って手を伸ばしたのですが、2年近くバックパッカーでアジア~アフリカ~ヨーロッパと旅をする、というレベルが違いすぎる旅で、旅行気分を味わう気分にはとてもなれない1冊でした(笑
    ただ、同時に、今の時点では上手く言語化できないのですが、この清冽な湧水のような、飾り気のないのにエネルギーを秘めた文章が、自分の中に地下水脈のように静かに広がって、意識しないうちに影響を受けているような気がしています。
    解説を見ると「青少年読書感想文コンクール」の高校の部の課題図書にもなったそうで、確かに若いうちに読んだら面白そう、と思いました。

    さて、旅…と言うか旅行は、「一時的な非日常」だと思います。非日常に置かれるからこそ、新たな思索ができる面があると思うのです。
    ただ、著者の2年近い旅の中では旅自体が日常化してしまう訳で、それなりに負荷がかかる状況の中でも、ふと行き合うトラブルや人との接触において、著者の真っ直ぐな意思の強さがあらわれていて、ここまで自分を貫き、考えて思いを綴れることには崇敬の念すら感じました。
    そんな著者、カリフォルニア大アーバイン校で舞台芸術を学び、26歳でこの旅に出て今はノンフィクション作家というハイスペックながら波乱万丈な経歴。本著の後に政治家との対談や食に関する本も書かれているということで、読んでみようかなと思っています。

    本著は300ページもない短い文庫本で、ごく短い文章で旅の中のエピソードを連ねていくスタイル。
    どちらかと言うと、貧困国や恵まれない状況にある国(例えばイラン)での出会いにフォーカスされていて、著者の問題意識がそちらに向いていることが感じられます。
    比較的裕福?なマレーシアでのエピソードは、旅行者として現地の人から犯罪の片棒を担がされそうになる話で、さて金銭的な裕福さと精神的な幸せは比例するのかどうか…と考えてしまいます。
    アフリカに入ってからのエピソードはその思いをより強くするものばかり。アフリカを援助が必要な国、貧しい国として下に見てはいないだろうか。

    ちなみに、個人的に印象的だったのは、モーリタニアのトゥアレグの1節。わずか3ページの文章ながら、サハラ砂漠の音のない夜の情景に強く惹きつけられました。
    無邪気なコトを言うと、早くコロナ禍が終わって、遠くまで旅に出られるようになってほしい!
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    投稿日:2020.09.06

  • sagami246

    sagami246

    26歳の女性が、アジア・中東・アフリカ・ヨーロッパを684日間、貧乏旅行でまわる。訪問した国数は47カ国。野宿は当たり前で、途中で身体を壊したり、とっても過酷な旅だ。旅行記は、たくさん読んでいるが、女性の旅行記で、ここまで過酷なものは読んだことはない。
    文庫本で、だいたい280ページ程度の本だけれども、約50の短い章に分かれている。旅行の記録も書かれているが、彼女自身の感情の動きを示している部分も多い。物事を、とても真っ直ぐに見て、真っ直ぐに書いている。読んでいて、清々しく感じる部分も多かった。

    書名の「インパラの朝」は、ケニアでサバンナ旅行に参加した3日目の朝に、一頭のインパラに遭遇した出来事を書いた章の題名でもある。
    そこの部分を引用したい。

    【引用】
    すると、私の眼前に一頭のインパラが現れた。黄金の草地に足を着き、透き通る大気に首を立て、たった一頭でたたずんでいた。インパラは草を食むこともなく、歩きまわることもなく、緊張している様子でもなく、だからと言って気を抜いてくつろいでいるふうでもなかった。誰かに追われることもなく、何かを追いかけることもなく、静かにそこに立っていた。インパラの濡れた美しい目は、周囲のすべてを吸収し、同時に遠い世界を見据え、遙か彼方を見渡していた。
    ヴァンは速度を緩めることなく、近くをそのまま走り過ぎた。私は体を乗り出してインパラの姿を追いかけた-そのしなやかな筋肉と悠然としたまなざしを。
    【引用終わり】

    書名にしているぐらいなので、彼女にとっては、とても印象に残った場面だったのであろう。
    周囲のすべてを吸収し、遠い世界をも見据えることができる悠然としたまなざしを持つことを彼女は強く望んだのであろう。
    確かに本書は、そのような本だ。
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    投稿日:2020.08.30

  • osm

    osm

     純粋に、著者の中村安希さんがかっこいい。

     国際協力や、「アフリカ=貧困」といったイメージについて、これほど率直な意見を言えるのは、この生命力と行動力があるからこそだ、と感じる。日本でのんびり暮らすわたしのような人間には、なかなか言えない。
     しかし、誰かしらが言うべきことであり、言うべき人が著者だった。

    (アフリカ各国のひとが、アフリカを主語に語ることの多さに驚いた。アフリカだから、といった発言が頻繁に書かれてある。「アフリカ各国を同一視するな!」という意見もあるけれど、実際はどういう感覚で彼らはアフリカを捉えているのか。気になる。)

     もちろん、世の中には支援を必要とする人や地域、動物などがいる。支援できる力のある人は、力を使うべきだ。だが、一方的に「かわいそう」だという認定をするのは、間違っているかもしれない。

     という意見も、誰かにとっては間違っているかもしれない。
     世界について理解するなど、到底できない。だから、わたしは知りたがりを続けたいと思った。
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    投稿日:2020.08.04

  • あっきー

    あっきー

    2019年9冊目。
    著者の旅のテーマのひとつといえそうな、世界の人々にとって「何が必要なのか。何が適切な支援なのか」。
    授業でも単元計画の軸に据えたりしている。
    この作品を読み進める中で、「やっぱり」と思う部分と、「そうか」と気づかされる部分があり、大変勉強になった。レビューをみると批判もあるようだが、個人的には示唆を受けた。

    先進国と途上国。支援とは?国際貢献とは?そして、真の幸福とは何なのか。
    支援することによって地域社会のバランスが崩れ、紛争の火種になる可能性もあること。
    バランスが崩れることで、モラルやその類の「大切なもの」が消えたと嘆く人の存在。

    特に印象深い箇所メモ。
    p246
    「国の宣伝や未来投資から場合によっては距離を置き、もう少しだけ純粋に地域の実態を考慮しながら、素朴な支援を試みている。だから日本の協力は、質や金額に見合うほどには世界で評価されていない。国際競争にしっかり負けて、真の協力で勝利する。評価されないことを謙虚な姿勢でやっていく。もっともっと評価されずに、それでも淡々とやっていく。」

    p248
    「助け合うということは、予算額の大きさではない。慈悲の精神の量でもなければ、それをどれだけ大々的に宣伝するかということでもない。(中略)数千億円の予算を使って世界を救済できなくても、東京の満員電車の中で妊婦に席を譲れる人は、十分深い「思いやり」を心の中に秘めている。(中略)大きな評価は得られなくても、相手の気持ちに耳を傾け、今日目の前にいる人々に、そっと手を差し出せばいい。それを教えてくれたのは、当のアフリカ自身だった。」
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    投稿日:2019.02.26

  • berninaexp

    berninaexp

    ほぼ2年間にわたり、若い日本人女性がアジアからアフリカをバックパッカーとして体験した記録である。

    バックパッカーという旅行スタイルは、安価で、できるだけ現地とより深くかかわることを目的としたものだと思うが、家畜を運搬するトラックの荷台や長大編成の石炭貨車で移動したり、南京虫に刺されるなど苛烈な体験をしたことにまず驚かされた。また、現地の子どもや大人たちとも深くかかわり、植民地・低開発地域としての歴史が深く人々に影を落としていることも的確に観察しており、その力にも驚かされた。

    「日本からきている」=「裕福である、したがって我々に対し援助すべきである」という考え方のアフリカの男たちに対しては、関係は飽くまでも対等であるべきとして、諄々と説得をする筆者の力に感心するとともに、男性たちに深く根付いた劣等感に対する筆者の失望の大きさも感じることができた。

    一方では、子どもや女性たちの純粋さと触れ合う場面が多く登場し、緊張を強いられる場面の多いこの作品においても、ほっと息をつくことができる。また、現地の人々に救われる場面もあった。

    こうした旅行記は大好きだが、タイプとしては『深夜特急』型で、若者しかできないチャレンジングでかつ(チャレンジングであるからこそ)思索を深めていくタイプの旅行である。通常乗り越えがたいだろうと思われる場面を意志の強さ、粘り強さや機智により克服していく。また、体験の深さに比例して思索も深まり、中村安希さんという人間そのものが現地の人々に飛び込んでいく過程が読んでいて爽快だった。また、旅行全体を記述するのではなく、エピソードの一つひとつを窓から見るようにつなげていくというこの本の構成も効果的だった。体験もさることながら、筆者自身の筆力も見事だったと思う。

    これまでどちらかというと「おじさんの旅行記」を中心に読んできたが、こうした若くて意思の強い女性の旅行記は初めてであり、体験のさまざまなエピソードを楽しみつつも緊張感をもって読了した。
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    投稿日:2018.02.03

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