【感想】蝶のゆくえ

橋本治 / 集英社文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 鴨志田かおる

    鴨志田かおる

    初めて橋本治さんの小説を読んだけれど結構好きだった。個性豊かな女性たちの内面への洞察力や理解力がすごい。内面の描写が巧みで日常風景を切り取った話なのに飽きずに読める。

    投稿日:2022.12.18

  • キじばと。。

    キじばと。。

    短編6作品を収録しています。

    「自作解説」には、本書に収められた作品のテーマは「女にとって、母とはいかなるものか。家とはいかなるものか」という問いであることが明かされていますが、いずれも女性たちの心のうちを冷徹に腑分けした小説になっています。とくに冒頭に置かれている「ふらんだーすの犬」は、児童虐待にいたった美加の心が鋭くえぐりだされていて、強い印象を受けました。

    本書に登場する主人公たちは、もっとも若い「ふらんだーすの犬」の美加が23歳で、もっとも年上の「白菜」の孝子が57歳という設定になっています。「家」というテーマは近代日本文学の中心でしたが、著者はこのことを踏まえたうえで、本書では現代におけるそれぞれの世代の女性たちにとって「家」についての意識がどのような変遷をたどってきたのかということを、順番にえがいたのではないかという考えがふと心に浮かんできました。それがあたっているのかどうかはわかりませんが、主人公たちの意識のありかたをていねいに分析していく本書のスタイルは、著者のエッセイ作品のそれに近く、小説としてはやや生硬に感じられます。とりわけ「金魚」は、フランス文学の教授である父と、広告業界に身を置く息子、そしてこの二人の男性の妻の関係を、あらかじめそれぞれの人物が生きた時代のなかでの意識の形成過程を想定したうえで、著者が技巧的に配置しているような印象もあって、こうした話をしたいのだったら評論やエッセイでぞんぶんに展開してほしかったと、個人的には考えてしまいました。
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    投稿日:2021.10.27

  • tetemoyay

    tetemoyay

    題名が小説ではありません。フランダースの犬が苦々しい強い印象の内容でしたのでそれ以外は淡々とした内容に思いましたが、ふとしたところがそういう思いもあったなと感じさせてくれるものでした。もしかして深いのかもしれない。続きを読む

    投稿日:2020.09.30

  • nuhuaueo0

    nuhuaueo0

    読書会課題本。柴田錬三郎賞作品。6人の様々な境涯におかれている女性たちを描いた短編集。表題作のようなものはなく、短編集全体を貫くテーマを表題にしたような感じである。その内容は、最後にある作者自身による解説で明らかにされている。各短編のストーリー設定のリアルさなどには感心したが、個人的にはあまり楽しめなかった。続きを読む

    投稿日:2019.06.19

  • さぬきうどん人

    さぬきうどん人

    老若の女性を主人公にした6作の短編小説集。収録最初の短編「ふらんだーすの犬」があまりに衝撃的で言葉を失う。

    巷で繰り返される母親による子への虐待事件。報道を見るたびに思うのは、自分が生み育てた子をどんなきっかけで、なぜ虐待できるのかということ。それが本作品で少し理解できた。虐待までのプロセスが論理的で筋が通っている。加害者を許すことはできないけれど。

    このリード作品のインパクトが強すぎて、残りの5作品も、何かとんでもなく不穏なことが起きることを期待して読んでしまう。が、描かれるのは日常の中のちょっとした非日常に戸惑いながら、再び日常を続ける女性たちだ。この展開こそが純文学作家の橋本治作品らしい。
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    投稿日:2019.06.11

  • heepeeco

    heepeeco

    最初の一編の、息ができなくなるような重さ。つらさ。酷さ。

    他の短編も、最初のほどではないにせよ、生きることに向き合うからこそ、のしかかってくる悲しさや、どうしようもなく行き場のない苛立ちや、少しの滑稽さをこれでもかってくらいの表現で浴びさせられる。赤裸々すぎてつらいんだか、爽快なんだかわかんなくなってくる。

    面白かった。

    これからの時代を映しだす作品も、読みたかった。

    ご冥福をお祈りします。

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    投稿日:2019.02.14

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