【感想】調律師

熊谷達也 / 文春文庫
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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8
10
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ブクログレビュー

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  • turlinco

    turlinco

    音に匂いを感じる調律師の話が東日本大震災と絡めて展開していく。熊谷達也らしい緻密な下調べが効果をあげている。

    投稿日:2023.07.04

  • NO Book & Coffee  NO LIFE

    NO Book & Coffee NO LIFE

     本書を読みながら、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(ピアノ調律師の青年の成長物語 2016年本屋大賞受賞作)を思い出していました。
     本書の単行本は2013年刊なので、『羊と鋼の森』より少し前ということになりますね。

     7話からなる連作短編集で、ピアノ調律師・鳴瀬の再生の物語です。
     元ピアニストの鳴瀬は、10年前、事故により妻とピアニストとしての将来を失い、以来、音から匂いを感じ取る「嗅聴」という共感覚を得ています。
     連続する作中、異なる状況下での微妙な音や匂いの繊細さが上手く表現されています。
     鳴瀬は、亡き妻がもっていた「嗅聴」と調律の仕事を辿ることになります。様々なピアノ・依頼主と出会いながら自分と向き合い、少しずつ〝妻の幻影からの解放〟に向かうはずでしたが‥。

     執筆(連載)中に東日本大震災が発生し、仙台在住の著者は、途中中断しながらも、第6話から物語を転調することにしたようです。個人的には、震災を物語に取り込むことが、「唐突」ではなく「必然」だったのだろうと思います。

     余韻の残る、不思議ととても清々しい読後感でした。暗い印象になりがちな物語に、義理妹の存在が健気で可愛らしく、救われる思いがしました。不謹慎かもですが、ある意味〝胸キュン〟の側面もあり、震災云々を抜きにしても良質の物語だとおすすめできます。
    続きを読む

    投稿日:2023.03.05

  • プッチ

    プッチ

    この小説は2010年から2012年に書かれたとのこと、その間に東日本大震災が起こった。共感覚という音を嗅覚でも感じることができる調律師の小説は震災時の場面から大きく転換した。いくつかある調律師を主人公とした小説の中でもその事件によって別の意味での臨場感がでることになり、まさに時代を現したものとなっている。続きを読む

    投稿日:2021.06.05

  • Eri_Ota

    Eri_Ota

    「共感覚」というのを初めて知りました。もし自分に共感覚があったら、、と想像しながら読みました。そして後半は仙台在住で3.11を経験した小説家だからこその内容でした。

    投稿日:2021.02.08

  • michel723

    michel723

    このレビューはネタバレを含みます

    第一話から大好きなOp.64-2が登場し、
    文字を追っているのに脳内にはメロディーが流れ、
    とても爽やかに読み進めていたのに、
    突如起きた予期せぬ転調。

    しかし、そうだったではないか、あの体験は。
    日常を急に破壊した14時46分のあの瞬間が、
    フラッシュバックした。

    仙台在中の小説家が、
    目下執筆中だった喪失と再生の物語に、
    震災をなかったことにできなかった切実さが伝わる。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.06.21

  • mimi

    mimi

    たくさんのこうなるはずだったということが、大きな音をたてて崩れてしまった2011年3月。この物語も、予定していたラストとは違ったのだろうな。それでもここまでの作品となるのは、すごいと思う。評価が辛めなのは著者のファンだからであるのと、今の気分とはちょっと違っていたから。3との4の間にしたい。成澤くんがどうなったのか気になる…続きを読む

    投稿日:2020.04.17

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