【感想】史的唯幻論で読む世界史

岸田秀 / 講談社学術文庫
(1件のレビュー)

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    「史的唯幻論」によれば、歴史とは、国家や民族が持つ幻想によって突き動かされるものである。共同体の幻想の中でも、「劣等感」というものこそ、人々を残酷な行動へと駆り立て、迫害や侵略を生んできたものであった。ヨーロッパによる黒人やユダヤ人差別の根底にあるのも、「劣等感」であるという。そうした感情が、やがて自己を正当化し、相手を「敵」とみなすことにつながっていく。

    極端な論調の部分もあったが、私個人はとても興味深く読めたし、歴史を読み解く重要な視点であるように感じられた。

    ただし、注意しなくてはならないのは、著者自身が述べているように、思想には常に個人的な背景というものがあり、それによってバイアスがかかるものだということだ。この本にももちろんそれはあてはまる。「史的唯幻論」を生み出した岸田さん自身の背景についても本の中で述べられている。

    そうしたバイアスをつねに自覚し、自分を客観的で中立だと思い込まないことが大切だ。この本のもっとも重要なメッセージはそこにあると思う。
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    投稿日:2016.03.12

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