【感想】悪霊の島(下)

スティーヴン・キング, 白石 朗 / 文春文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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  • 上巻で酷評しましたが…修正します!

    上巻は本当に退屈で辛かったのですが、下巻に入ってからのスピード感が半端なく面白かったです。
    上巻では、主人公のエドガーが不慮の事故に遭い、デュマキーという孤島でリハビリ生活を始めるところから、不思議な力に導かれるように絵を描き、その絵画が人々の心を捕らえていく様がこれでもかというほど丁寧に描写されています。

    私は堪え性がないので、退屈極まりないと早合点してしまいましたが、下巻を読み進めるに従って、なるほど…このストーリー展開のために上巻の内容が全て必要だったのだなぁと納得できました。

    下巻では、エドガー含めたデュマキーの三銃士(勝手に呼んでます)が悪そのものとも言えるナニカと戦う様をスピード感をもって楽しめます。途中ホント怖いです。
    ナニカとは果たして何なのか、その勝負の行方や如何に!

    でもスティーブン・キングのもって回ったような言い回しと登場人物を色んな愛称で呼ぶ手法(?)は、読みなれている人でも混乱してしまうと思います。
    投げ出したくなるのをぐっと堪えて読んだ先に、恐ろしい世界が広がっていますよ!

    ※ 上巻★1から★3へ修正しました。
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    投稿日:2016.04.12

ブクログレビュー

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  • nt

    nt

    スティーヴン・キングの小説の魅力は視点となっている主要人物の独白体にある。従ってその魅惑は、通俗小説として批評家は取り上げようともしないものの、実際のところ太宰治やドストエフスキーなどに通じるものがあると言っていい。無意識的なリフレインの発作的反復を含んだその独白は、「意識の流れ」にも似ており、この独白体がもたらす読書体験は、物語内容世界と「意識」とが渾然一体となって、外部的事件と内因的心理推移との区別も消失した「夢」のような体験を実現する。
    本作は一人称小説であるため視点は一人物に限定されているが、豊富な内容と多彩な変化が織り込まれているのはさすがである。スティーヴン・キングは何よりディテールの充実に傑出しており、リアリティは高い。
    ホラー小説であるため、主体は残虐な場面やカタストロフの感覚にかならず到達するのだが、痺れや暗黒的情感に至る主観体験を快感として、この読書体験は導いてくれる。
    本作の場合、主人公は過去の大事故により片腕をなくし、無いはずの腕を錯覚する幻肢体験、記憶障害、言語障害が引きずられる様子が描かれているが、キングは新しい脳科学をきちんと研究しているようだ。
    プロットとしては、途中までアマチュア画家のサクセスストーリーとなっているため、この面でも楽しめるものとなっている。
    しかし最後のクライマックスは主要人物たちの「行動」の描写が中心となるため、独白中心主義的な側面は後退してしまう。視覚的描写のディテールに長けたキングではあるが、「できごとは心的内部においてオートポイエティックに生成し、暗黒世界-自己の未分化な同一化」という特質が、この作品の最後は若干弱いかもしれない。それが見事に体現されるためには、やはり通俗小説という規格に限界があるのだろうか。
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    投稿日:2017.01.22

  • こまいぬ

    こまいぬ

    このレビューはネタバレを含みます

    恐怖の帝王の堂々の帰還としてふさわしい程のボリューム。
    いつものごとく緻密なディテールを積み上げてラストで一気に崩して行く気持ち良さは健在。

    不慮の事故に主人公が遭いなんらかの力を得る、という物語は「デッドゾーン」と同様で読む前からある種のものを期待をしていた。
    その期待というのは圧倒的な孤独感。
    この主人公には数多くの助けが存在しているので「デッドゾーン」ほどシクシクするほどの寂寥感がない。初期の頃の作品群と比べて味付けが変わったと感じてしまった。
    恐怖の帝王もやや丸くなったのかしらん。

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    投稿日:2016.11.20

  • parada

    parada

    このレビューはネタバレを含みます

    建設現場の大事故で片腕を失ったエドガーは、メキシコ湾の小さな島、デュマ・キーで静養を始めたが、絵の才能を開花させ第2の人生を歩み始める

    上巻は事故による挫折感やワイアマンとの出会いや、手に入れた能力に有頂天になっていく様子が気持ちよく、スティーブン・キングらしい緻密な描写で、まるで映画のシーンを見ているよう

    下巻の悪霊との対決になっていくとちょっとエンターテイメント色が強くなっていって、怖さよりアクション映画的なことになってしまってます(ワニは一体何だったのかとか)。エドガーの能力も万能すぎて何だか安心して読めるホラー。映画化するならワイアマンは魅力的な俳優さんにしてほしいなー。ジュード・ロウとかどうでしょう

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    投稿日:2016.08.16

  • xmayumix

    xmayumix

     事故で片腕を失った主人公は、カリブの孤島に移住する。
     絵を描く衝動にとらわれた彼は、少女と船の絵を描く。

     なにはともあれ、事故の様子が死ぬほど怖かった。
     リアルすぎ。キング自身の事故の経験が生きてるんでしょうかね。

     その後、後遺症で人格までが崩壊していくさまが、また切ない。健全な魂は健全な肉体に宿るというけれど、それは反語的意味合いもあるとおもう。
     
     で、前半で十分怖がらせられて、後半にはいったら…。
     なんか、風光明媚なカリブが、って感じなのは一瞬だけでしたね。

     主人公の絵は評判になり、個展をひらくまでになる。
     それは、かつての悲劇を彷彿させる更なる悲劇の幕開けだった。

     零落した名家があり、呪いあり、アクションありで、これぞジェットコースターモダンホラー。
     
     なので、ある程度テンプレート化されている展開ではあるのだけど、それの斜め上を常に全速力で走り抜けるのがキングのすごいところなのだ。
     
     最後のしめかたで、キングも丸くなったのねと思ったのは内緒ww
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    投稿日:2016.06.26

  • えみきち

    えみきち

    終盤では恐い場面のありましたが、全体を通してみると「美しい」作品でした。
    ホラー要素は下巻以降なので、上巻はやや読むのがしんどいかもしれません。ですが、読後には「読んでよかった」と思える作品だと思います。続きを読む

    投稿日:2016.03.09

  • 文藝春秋公式

    文藝春秋公式

    【恐怖の帝王の放つ圧倒的ホラー大作!】孤島に暮らす男を襲う怪異。愛する者たちを見舞う怪死。この島には何かがいる! 悪しきものの棲む廃墟の館が隠す秘密とは?

    投稿日:2016.01.05

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