マイケル・ルイス, 東江一紀 / 文春文庫 (50件のレビュー)
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総合評価:
bookkeeper
4
金融市場に興味のある人は必読
住宅バブルからリーマン・ショックへ至る顛末は、興味のある向きには大筋だけなら周知のことと思うが、そのとき実際に現場で動いていた群像劇は圧巻。ドラマがある。世間では「バブルは予見できるか?」なんて、やや…アカデミックな議論などあるが、そんな理屈が吹き飛ぶような迫力だ。これはウォール街を占拠したくなる気持ちも分かる。 本書の主人公たちはサブプライム債(を材料に合成されたCDO)をショートしていた面々。いずれもウォール街の主流からはだいぶ外れたアウトサイダー。こういう独立独歩の人が利益を求めて行動した結果、首尾よく価格発見に至ればまさに効率的市場仮説どおりだが、簡単にそうならぬのが現実の難しさ。本書でも再三指摘されているが、債券市場の不透明性(+その不透明性を最大限に利用した強欲)がひとつの原因だろう。 また主人公たちの「敵方」として、第9章で取り上げられるモルスタの特殊部隊の話がきわめて興味深い。サブプライム債がクズであることを十分承知していながら、トリプルBのCDOショート、トリプルAのCDOロングで見事に飛んでしまう。後知恵で何とでも言えるのだが笑うしかない。投資銀行、CDOマネジャー、機関投資家といった「敵方」の様子は本書でもハッキリとは分からないのだが、こうしたカオスが多々あったのだろう。 金融市場についての箴言あり、主人公たちの人間ドラマありで、マイケル・ルイスの皮肉な筆致も絶好調。ただ、ある程度は金融市場に興味・知識のある人でないと十分には楽しめないかもしれない。続きを読む
投稿日:2016.10.10
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くろ@骨肉腫患者
●2025年3月3日、グラビティの読書の星で紹介してる男性がいた。 「2008年のサブプライムローンに起因する不動産バブルの崩壊に賭けた投資家たちにスポットライトを当てたノンフィクション作品。大手金融…機関が先導して作り上げたバブルの危うさや商品の不透明性がわかりやすく描かれており、私のような金融に疎い人間でも当時の時代背景を理解しやすい。リーマン・ショックについて知識を得たい方にもおすすめの作品です。#読書 #ノンフィクション」 ●2025年3月26日、メルカリで「狂いのすすめ」他、計5冊を購入させてもらった方が他に出品してる本。この本と「知識ゼロからお金持ち塾」の2冊セット666円。 Amazonレビュー「おもしろい2021年7月13日に日本でレビュー済み。映画の「マネーショート」「ウルフオブウオールストリート」「マージンコール」などが面白かったので本書を手に取った。」続きを読む
投稿日:2025.03.03
kikku
リーマンショックを理解する上で、これほどとっかかりやすい本はない気がする。小説なのでコーンウォールキャピタルなどで一部脚色はあるが(続 マーケットの魔術師に本人インタビューがある)、とにかく読みやすい…。これを読んでなかったら、CDSとか全くわからんかったと思う。続きを読む
投稿日:2025.03.01
emfuj1
投資の世界を小説で勉強しようと思い読んだ。でもサブプライムのCDOのCDSという特殊分野で一般的な勉強にはならず。1回目は流れを追うだけだったが、すぐ2回目読んだら結構コンパクトでわかりやすかったこと…に気付いた。描き方も巧みで「もう一度言ってもらえますか」(p252)や「ゼロ!」(p272)など劇的で良い。東江一紀の翻訳が自然でさすがというのもある。普通に良くできた小説。 でもこれが作り話でなく2007年に実際に起きたことというのは笑えない。著者は金融危機の源を1981年にソロモン・ブラザーズが合資会社からウォール街初の上場企業に転じ財務上のリスクを株主に転嫁したこと、つまり投資銀行側の問題としている。しかし一般庶民の強欲や無責任が集まって投資銀行を動かしていたと考えれば、源は一般庶民ひとりひとりではないか。 ・一軒めを買ったあと、その家が値上がりし、貸し手がやってきて、二十五万ドルの新規貸し付けを提案したからだ。姉妹はその資金で二軒めの家を買った。すると、その家も値上がりしたので、同じ試みが繰り返された。「五軒めを買い終えたころから、市場が下落を始めて、ローンの返済がまったくできなくなったらしい」(p180) 他におもしろかったのは以下。 ・『そこをもっと詳しく、標準語で説明してもらえます?』とか。そう突っ込んでおくと、いくつかためになることが聞き出せるんです。まず相手が自分のしゃべっていることをわかっているかどうか、はっきりしますね。(p59) ・ジョン・マックが、ハーウィー・ハブラーの冒していたリスクの内容を知る者が、行内にはほかにひとりもいなかったという事実を明言することなく言おうとしていたのは、ハーウィー・ハブラーの冒していたリスクの内容を知る者が、行内にはほかにひとりもおらず、ハーウィー・ハブラー本人も知らなかったということだった。(p375) ・みずほ証券は、いまだにみずほにしかわからない理由で、アメリカのサブプライム債権を扱う賢いトレーダーという体裁を身にまとい、モルガン・スタンレーの手から、サブプライムに裏付けされたCDOを十億ドルぶん受け取った。(p370)続きを読む
投稿日:2024.09.17
arasanta
CDOを取引するために努力した人たちの話や、AIGがリスクを負っているため証券会社は悠々と取引を売っていた話、何億ドルの取引をしても全然動かない取引値といった個別の内容は面白かったが、詳細な内容は書か…れていないし、全体的にわくわくする部分が少なめ。それでも読ませてしまうのは原作者と翻訳者の腕な感じがします。 当時の雰囲気を知るために読むような本。続きを読む
投稿日:2024.03.20
レイコ
映画を先に見ていたので、話が理解しやすかった 事実は小説よりも奇なり...! ビル・ミラーとアイズマンが話すシーンとか、そんな出来すぎたことが起こるかねっていう気持ちになった マイケル・バーリが気の…毒すぎた、懸命すぎた余りに非難されるなんて、現代の魔女狩りじゃんね 金融業ってひっどいなあと思ってしまった、、、続きを読む
投稿日:2024.03.14
Mkengar
マイケル・ルイスの本、はじめて手に取りましたが、予想をはるかに超えて面白かったです。2008年に引き起こされる世界金融危機の発端となるサブプライム・モーゲージ債。これが貸し手の金融機関と借り手(所得の…低い米国人)の間だけでしたらここまで被害は大きくならなかったのでしょうか、いわゆる投資銀行と呼ばれる連中が、錬金術をはじめるわけです。しかもタチが悪いのが、錬金術をはじめた投資銀行のトップが、事態を全く理解しておらず、S&Pなどの格付け機関もその金融商品(CDSやCDO)について理解していないのです。 本書では、この錬金術に気づいた極めて少数派の人々が、その人物像も含めて丁寧に描かれており、とても興味深く読みました。また複雑な金融商品についても、素人にもわかりやすい説明がされているので、すらすら読めました。本書にも書かれていますが、金融機関の人々は、あえてわかりづらいネーミングをします。ですから金融商品の名前は額面通りに受け取るのではなく、自分で名称をつけてしまう方が賢いやりかたでしょう。米国の投資銀行、そして格付け機関も共犯者と言っていいと思いますが、世界経済を破綻寸前においやった人々の実話と、それに立ち向かった(逆張りした)少数の人々(本書の主人公)の物語は、これからも語り継がれていくべきだと思いました。続きを読む
投稿日:2023.05.04
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