色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹 / 文春文庫
(241件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
42
87
57
13
4
  • ほろ苦い青春物語

    人をぐいぐい引き込む小説だった。多崎つくるは16年前、4人の親友から突然絶縁される。その理由を探し求めるミステリー。ぼく自身はほろ苦い青春物語と感じた。恋も友情もなかなか、うまくいかなかった若いころを思い出した。読後、過去を見つめ直し、前に進んでいこうとするつくるの姿に清々しい気持ちになった。続きを読む

    投稿日:2016.02.07

  • どこに絞ってレビューを書くか、迷う程の面白い作品

    一気読みさせてくれるのは、16年前の人生最大の謎ときの旅が面白いから。前向きな気持ちになるのは、登場人物がちゃんと生きようとしていることが伝わるから。切ない気持になるのは、二度と会えない友達を思い出すから。やりきれない気持ちになるのはもう元に戻れないことがあるのを知っているから。わずか数百ページで自分の人生のいろいろな思い出や気持ちを、次々と引き出してくれる、それをこれだけ読みやすく面白く書いてくれている、すごい作品です。続きを読む

    投稿日:2015.12.07

  • 謎が残るのが残念。

    途中までは物凄く面白かった。様々な謎が出てきてそれが明かされていくだろうと思ったからだ。

    だけどその内に明かされたものもあるけど、謎は謎のままというのも少なくなく、少し残念だった。

    もしかしたら小説とはそういうものなのかもしれないけど、全部の謎が明かされていたらすっきりしただろうなと思う。
    そうなればまた名作が生まれていただろうに。

    それを差し引いても著者の力は圧倒的なのでそんじょそこらの小説には負けない面白さだ。
    続きを読む

    投稿日:2016.03.21

  • 寂しさとせつなさのなかに希望の光がみえる物語

    村上春樹さんは、当代トップクラスの文章家だと思います。彼の文章は、いつもふれるととても心地よいです。平易でしたしみやすくて気取ったところがなく、無駄をそぎ落としたストイックさを感じるほどです。かといって無味乾燥ではありません。ウィットのきいた比喩表現や言語感覚によるところなのでしょうか。海外でも村上作品は人気があるようですが、この心地よさは日本人ならではの喜びだと思います。

    長々と村上さんの文章について書いてしまいましたが、中編小説としてもこの小説はよくできてます。1Q84のような長編とくらべるとスケールは比べるべくもありませんが、よくまとまっていて村上さんの小説の良さをしっかりと味わうことができます。ストーリーについてはネタバレになってしまうのであまり書けませんが、寂しさとせつなさのなかに希望の光がみえる物語と結末だったと思います。

    やっぱり、村上さんの小説はいいなあ・・というのが素直な読後感です(笑)。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.06

  • やはり別格

    本当にいい文章。こういうものを「小説」というのだ!村上作品の多くはためいきとともに読了。それが私のくせのようだ。さすが他の小説家の追随を許さない村上文学。個々の表現も優れているが、全体に貫かれる雰囲気が唯一無二で、いかに作家が考え抜いて書いたかが感じられる。それでいてリズムもいい。感動するとか心に残るというのではなく腹にどん!とそれも静かに入りこんでくる登場人物の感情。現実に向かい合い人生を切り開く主人公の濃密な時間がまるで自分のことのように思えてくる。でもよく考えてみると彼への仕打ちはひどいものだ。続きを読む

    投稿日:2017.04.05

  • 読みやすい本ですが?

    大変に読みやすい本でが、一度読むと疑問が起こります。
    その疑問を解決の為にもう一度読むとさらに疑問が出ました。
    読み終えて今後の人生に希望が少し見えてくるような気がします。
    読み手を選ぶ本かもしれませんが、
    一度読んでみませんか!!

    続きを読む

    投稿日:2015.12.08

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ブクログレビュー

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  • yoshi2013

    yoshi2013

    高校での5人のサークルから追放された主人公、つくるの16年の巡礼。ミステリーとしてもとてもよくできた構成であり、謎を求めて読み進める。しかし、肝心な所、つまり、シロがつくるを追い出した理由や誰に殺されたかは明らかにしていない。(これはおそらく作者も読者が納得のいく犯人を見出だせず放置したのであろう、他殺されることが物語上必要であろうし)特に絞殺については親しい人の犯行であることが仄めかされているにもかかわらず。物語はそこが主観ではないではないにせよ気にはなる。ラストの沙羅からの答えも読み手任せだが、これはつくるの生命がかかっているので明かしてほしい所。だが、書いてしまう場合は流れ上ハッピーエンドしかあり得ないので言い訳がはいり陳腐になりそうな気もする。個人的には沙羅が安心して、と言ったのでつくるを選んだと想像。
    作者の素敵な言葉選びと、表現力にもかかわらず読みやすい文章は好きだが正直、余韻より結末が読みたいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2019.10.13

  • にぐち

    にぐち

    やはり村上春樹作品は瑣末な描写にまで意味を求めてしまって深読みするので疲れる…短編くらいがちょうどいいと気づいた。物語の展開として引き込まれる力は強くないが、問いかけとしては余韻がある作品だと思う。

    投稿日:2019.10.03

  • gouon

    gouon

     最近日本語が嫌いになった。「世界広し」の中で日本語を公用語にしているのはこの島国だけ。ほぼ同じ環境とほぼ同じ教育で育った人達だけに通用する言語。あまりにも違いすぎて他の国の人には全く伝わらない言語。昔この国が経済No1になって世界に幅を効かせていたときでさえ、浸透することはなかった日本語。そして経済が衰退しその一方でグローバル経済と言って外国の言葉を受け入れるばかりで相変わらず島国にとどまろうとする日本語。政府もグローバル社会に通用する日本を目指す一方で多くの移民を受け入れようとはしない。言葉の壁が他のどこよりも遥かに分厚いのは、今でも他の国に頼らなくてもうまくやっていけるという根拠のない傲慢さから生じているのではないか。日本の本屋は日本語のためにしか存在しない。そして本が売れずに廃業する書店。作家は日本語で本を作る。日本にいる限られた数の日本人読者のために。
     そんな事を考えて日本語に嫌気がさした。受け取り方は人それぞれだが、今の日本の有様が日本語であることに端を発しているのではないかとさえ思える。残念ながら、これに関しては「嫌いになったからさようなら。他の言語に乗り換えます」なんて簡単には出来ない。

      何年かぶりに小説を読むようになり、いろいろ読みながら、そんな失望に近い感情を覚えた。
    英語の本をスラスラと読めるわけではないが、残りの人生の時間で読書の対象を英語の本に変えれば、いずれそれも苦にならなくなるのかもしれない。その踏ん切りをつけるために、何か日本語の代表となる作品を読んで、どう感じるかを確かめてみたかった。
     じゃあ、誰の作品がふさわしいのか。そうした時に村上春樹の事が頭に浮かんだ。
     彼の小説は読んだことがない。現在の日本文学において最も注目を集める作家。新しい小説が店に並ぶだけでニュースになる。そんなんだから毛嫌いしていた。
    そもそも「日本語が嫌いだ」とか読んでもいない村上春樹が苦手だとか言ってしまう自分は、「普通の人」から見れば取っ付きにくい存在だと思う。
    そんな私のことを「君は今読んでいる村上春樹の本に出てくる主人公にそっくりだ。この本を読んでいると君のことが頭に浮かぶよ。」と当時の職場の重鎮から満面の笑みで話しかけられたことがあった。
    「へぇー、そうなんですか。」と失礼のない応答をする私。「この人に私はどう写っているのだろう?」と、その本を読んでないにもかかわらず「それはきっと間違っている。実在の人間でも架空の人物でも、私に似ている人なんているはずが無い。」そう決め込んでいた。
     そんなささやかな思い出も加わり、騎士団長殺しではなく、この本を選んだ。この人の日本語は今の自分にどう刺さるのだろうか。

    読み終わった。心の蜜蝋に一番はっきりと刻まれたのは「恐怖」だった。残りページが少なくなって「あぁ、この本もすべての結末は解らずじまいなのか」と思うと、新宿駅での主人公の思いは私の視覚から心に伝わることはなかった。話の途中で感じた背筋にひやりと何かが伝うような恐怖が、一番くっきりと刻み込まれた。日常の安心安全な環境の中にまったく突然に現れる恐怖感。それはSFホラーよりも断然心に刺さるらしい。

    派手な言葉を使い、しびれるようなフレーズをひねり出すことが日本語の表現として素晴らしいとは思っていない。この本の前に、妻が読んでいた他者の作品の冒頭を読んで、その自己陶酔的なフレーズの洪水にむせ返るような思いをしていたのでなおさらだ。彼の日本語は淡々としていた。表現の力で僕を無理やりその世界観に引きずり込もうという強引さはなく、おかげで余計に恐怖が増した。

     主人公が自分に似ているかどうか。主人公と自分が似ているというよりは、なぜだかこの本全体が自分に似ている気がしている。

     日本語は、引き続きちょっと嫌い。
     
    続きを読む

    投稿日:2019.09.26

  • ねこまる

    ねこまる

    色彩の名前を持たない主人公が、学生時代に仲の良かった4人の友人たちから突然拒絶される。その心の傷がどこかに残っていて、彼女の勧めで拒絶された理由を数十年後に探しに行く話。どこか不思議でリアルな話。

    投稿日:2019.09.24

  • マサト

    マサト

    なんとも長いタイトルだけど、この小説・・・

    面白かった!

    色々と考えさせる部分もあるんだけど、驚いたのが「ゲイ小説」のような匂いがした事。
    もちろん全編を通して「その匂い」がするわけじゃない。前半の一部分に「その匂い」が色濃く出てるだけなんだけど、これがなかなか読ませる描写。
    村上春樹が書いてるんだから、そりゃ当然だけどエロ小説じゃないし、「生きるとは」というテーマに向き合ってる小説(もちろん読む人によって答えは違うはず)。

    この小説のテーマは「生きるとは何か?」だと思ってるんで、高校時代の人間関係だの何だの、そういうチマチマしたものは小説の付属品でしかない。

    個性(色彩)を持たない事に悩んでる主人公が、いかに「生きる」かを描いた再生の物語だ。

    恋人・沙羅の台詞でこんなものが有るんだけどね。

    記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない。

    主人公・多崎つくるが新しい一歩を踏み出す再生の物語だな。
    続きを読む

    投稿日:2019.08.27

  • モーリー

    モーリー

    「騎士団長殺し」から続けて読んだが今回も面白かった。どうしてこんな描写が出来るのか。思わずうっとりしてしまう。文章でうっとりするなんてなかなかない経験だ。レビューで酷評されていると聞いてあまり期待しないで読んだが(確かに最後の最後で特に何も解決しないから不満が出るのは分からないではない)がそれでもその過程だけで十分楽しめた。最初のインパクトが強ければ強いほど、回収が難しくなるのは当然だろうけどそれがなくても素晴らしいし、びっくりするようなオチなんて早々ないものだと思う。そんでまた取ってつけたようなオチだと興ざめしそうだしどんでん返しは1度目はいいが2度目以降は魅力が半減してしまう気がする。それはそれで年老いた夫婦みたいで良いのだけれど。映像化したくなる気持ち
    は分かるけど映像化しにくいだろうなと思う。小説で読むのが1番良いように作られている気がする。スコッチウィスキーのような芳醇な香りを楽しめば良いのだと思う。次は1Q84を読もう。出た当初に読んだから2回目だ。いつもながらほとんど覚えていないのだけど。
    続きを読む

    投稿日:2019.08.13

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