【感想】色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹 / 文春文庫
(454件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
93
166
111
23
7
  • ほろ苦い青春物語

    人をぐいぐい引き込む小説だった。多崎つくるは16年前、4人の親友から突然絶縁される。その理由を探し求めるミステリー。ぼく自身はほろ苦い青春物語と感じた。恋も友情もなかなか、うまくいかなかった若いころを思い出した。読後、過去を見つめ直し、前に進んでいこうとするつくるの姿に清々しい気持ちになった。続きを読む

    投稿日:2016.02.07

  • どこに絞ってレビューを書くか、迷う程の面白い作品

    一気読みさせてくれるのは、16年前の人生最大の謎ときの旅が面白いから。前向きな気持ちになるのは、登場人物がちゃんと生きようとしていることが伝わるから。切ない気持になるのは、二度と会えない友達を思い出すから。やりきれない気持ちになるのはもう元に戻れないことがあるのを知っているから。わずか数百ページで自分の人生のいろいろな思い出や気持ちを、次々と引き出してくれる、それをこれだけ読みやすく面白く書いてくれている、すごい作品です。続きを読む

    投稿日:2015.12.07

  • 謎が残るのが残念。

    途中までは物凄く面白かった。様々な謎が出てきてそれが明かされていくだろうと思ったからだ。

    だけどその内に明かされたものもあるけど、謎は謎のままというのも少なくなく、少し残念だった。

    もしかしたら小説とはそういうものなのかもしれないけど、全部の謎が明かされていたらすっきりしただろうなと思う。
    そうなればまた名作が生まれていただろうに。

    それを差し引いても著者の力は圧倒的なのでそんじょそこらの小説には負けない面白さだ。
    続きを読む

    投稿日:2016.03.21

  • 寂しさとせつなさのなかに希望の光がみえる物語

    村上春樹さんは、当代トップクラスの文章家だと思います。彼の文章は、いつもふれるととても心地よいです。平易でしたしみやすくて気取ったところがなく、無駄をそぎ落としたストイックさを感じるほどです。かといって無味乾燥ではありません。ウィットのきいた比喩表現や言語感覚によるところなのでしょうか。海外でも村上作品は人気があるようですが、この心地よさは日本人ならではの喜びだと思います。

    長々と村上さんの文章について書いてしまいましたが、中編小説としてもこの小説はよくできてます。1Q84のような長編とくらべるとスケールは比べるべくもありませんが、よくまとまっていて村上さんの小説の良さをしっかりと味わうことができます。ストーリーについてはネタバレになってしまうのであまり書けませんが、寂しさとせつなさのなかに希望の光がみえる物語と結末だったと思います。

    やっぱり、村上さんの小説はいいなあ・・というのが素直な読後感です(笑)。
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    投稿日:2016.08.06

  • やはり別格

    本当にいい文章。こういうものを「小説」というのだ!村上作品の多くはためいきとともに読了。それが私のくせのようだ。さすが他の小説家の追随を許さない村上文学。個々の表現も優れているが、全体に貫かれる雰囲気が唯一無二で、いかに作家が考え抜いて書いたかが感じられる。それでいてリズムもいい。感動するとか心に残るというのではなく腹にどん!とそれも静かに入りこんでくる登場人物の感情。現実に向かい合い人生を切り開く主人公の濃密な時間がまるで自分のことのように思えてくる。でもよく考えてみると彼への仕打ちはひどいものだ。続きを読む

    投稿日:2017.04.05

  • 読みやすい本ですが?

    大変に読みやすい本でが、一度読むと疑問が起こります。
    その疑問を解決の為にもう一度読むとさらに疑問が出ました。
    読み終えて今後の人生に希望が少し見えてくるような気がします。
    読み手を選ぶ本かもしれませんが、
    一度読んでみませんか!!

    続きを読む

    投稿日:2015.12.08

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  • トップハムハット卿

    トップハムハット卿

    ここで終わるの?って思った作品でした。
    村上春樹さんの本はノルウェイの森を読んで好きになったのですがノルウェイの森もあとちょっと何かが足りないそんな風に読み終えたあとに考えた事を思い出しました。
    でもそんな風に思わせて、後の話はもしかして読者に考えさせるそんな事を狙っているのでは?と2作日目にして思いました。
    両方の作品も共通して何処か客観的で本能的に生きているそんな主人公が出てくる事、そして女性の考えが魅力的であり、主人公が影響を受けている事が共通しており、伝えたい事や読ませたい場所は女性が語っている事が多く感じる。その上でこの作品を思い返すとやはり沙羅の言動には何か引っ掛かる事が多くあり、もう一度この作品を読み返したいと思いました。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.09

  • まさ和

    まさ和

    高校生の時、運命に導かれるようにして出会った5人。綺麗な五角形のように完璧な調和を創っていた5人から突然つくるは追い出されることになる。絶望の底に長い間いたつくるは、とある年上の女性と出会うことで昔の過去と向き合うことを決意する。過去と向き合う事で新たな真実、それぞれの秘めていた思いなどが明らかにされていく。凄惨な現実、もう戻れない過去、それぞれの今などが明らかにされていく中で悲しみと後悔を感じながらも絶望の底から這い出していくという物語。
    主人公が誠実な人物の作品はとても軽快に読み進めることが出来る気がする。小説の人物ほど自分について理解して、他人に対して思考したい。たった一度の人生だもの。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • うすい

    うすい

    主人公の苦悩がうねうねしてて正確に理解しづらいが、人の苦悩とはそういうものかもしれない。

    今の僕には非常に難しい作品だったと思う。

    投稿日:2024.03.26

  • ちんあなご

    ちんあなご

    主人公・多崎つくるは高校時代に四人の親友(アカ・アオ・シロ・クロ)と多くの時間を共にしていたが、大学二年のときに理由もなく突如グループから追放されてしまう。つくるは大変なショックを受け、一時は自殺を考えるほどの失意に暮れていた。あれから16年。あるとき現在の彼女にその過去を打ち明ける。彼女から今のつくるには、当時の喪失感や孤独感を未だに抱えていると指摘される。過去を乗り越えるため、つくるは真相を知るべく、巡礼に出向く。

    ———

    村上春樹の作品で一番好きな1Q84と同じぐらい好きかも、と思えるような美しい作品だった。本作は420ページ一冊だけという他の村上春樹作品に比べると短い部類ではあるが、これが非常にちょうど良いボリューム感だった。また、過去の親友のもとへ一人一人訪ねて真相を聞き出すところが、さながらミステリー小説かのようなワクワク感があって面白かった。あとは、作中でフィンランドの舞台が登場したことで、もともとあった漠然とした行ってみたい欲が更に高まった。ヘルシンキ、ハメーンリンナ、自然豊かで楽しそう〜!一度は訪れてみたい!!
    それと、つくるが作中でやっていた、カティサークというお酒を小さなグラスで飲みながらの読書もしてみたい(影響されやすい)
    続きを読む

    投稿日:2024.03.22

  • ぶん

    ぶん

    村上春樹の作品は初めてだった。
    色々なことがモヤっとしてしまうのでおすすめはできないかな...。文章は読みやすくて続きが楽しみになる作品でした。

    投稿日:2024.03.16

  • bluekirin

    bluekirin

    色彩を持たないと思い込んでいる多崎つくる。
    死に追い詰められるぐらい心に深い傷を負い、年上の彼女に導かれながら立ち直っていく様子が描かれていて、読了後は心に少しの清涼感が残った。
    ただ、灰と緑がどう関連しているのか、自分には読み取れなかった。時間をおいて再読してみたいと思う。続きを読む

    投稿日:2024.03.08

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