【感想】水のかたち 上

宮本輝 / 集英社文庫
(24件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
4
11
5
2
0
  • ターニングポイント

    39歳で結婚し、40歳で妊娠、「人生設計が狂った」と言った私に、上司がこの本をプレゼントをしてくれた。

    狂ったと言っても、後ろ向きに捉えていた訳ではなく、自分が漠然と考えていた人生とは全く違うものになってきたな〜と思って出た発言ではあるのだけれど、上司は心配してくれたようだ。
    ありがたい。

    こんな状態の私にはピッタリの内容であった。
    全ての人に色々な水のかたちがあり、如何様にでも変化するのだと思った。
    それは自ら変えることもできるし、他者から変化をもたらされる事もあるし…
    身を任せてもいいし、抗ってもいい。

    今まで思っていた将来と違っていたのではなく、自分はこうなるように人生の選択を繰り返し、流れてきていたのだと思えた。

    主人公の人生も急に変わったように描かれているが、変化の訪れる生き方をしてきたのだ。
    ただ、その変化のタイミングが分からないだけ。
    いつ起きてもいいのだ。
    これから起こる出来事、良いことも悪いことも受け入れていきたいと思った。
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    投稿日:2022.03.01

ブクログレビュー

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  • 2051113番目の読書家

    2051113番目の読書家

    人と人とが何故の縁で出逢い、そしてその時を境にそれぞれの川が合流して新たな畝りを形成していくように時は流れる。
    キャノンボールアダレイのジャスを聴きながら、早苗の純粋で清い心に心打たれ、上は終わり。

    投稿日:2024.04.06

  • プッチ

    プッチ

    下町に暮らす主婦が骨董品屋さんから茶碗をもらう、それが数千万円の価値があるものらしい。小説ならたちまち怪しげな詐欺師とか曰く付きの学者とか出てきて、殺人事件でも起こるかという劇的な状況であるのに、何も起きずに主婦の周りでいろいろな人たちがゆっくりと下町の生活を過ごしている。小説の時代は平成だが雰囲気は全く昭和の白黒映画、主人公は八千草薫か倍賞千恵子か、なんて事を考えたくなるような、昔はよくあっただろう雰囲気が描かれている。
    さてこの先どうなるのやら。急ぎ後半に行きたいという気分でもないが、とりあえずタイトルの意味は知りたい。ここまでなら、水のかたち?というより、土のかけら、牛の形、すき焼きの味、でもいい。
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    投稿日:2024.01.17

  • とお

    とお

    小説の時間のスピードって読んでる側からすると合う合わないあると思うんですけど、宮本輝さんはその辺がすごいんですよね。人が人生で決断する瞬間に出会えます。最近のトレンドとは違うんだけど紫綬褒章取られてる方で私の青春時代の作者で50才って年齢をとても大切にしてることに個人的に共感してるし、熊吾も共に読んで生きてきた感じで是非読んで欲しいです。下巻読むまでもなく、心で読めます。続きを読む

    投稿日:2023.10.08

  • hituji8

    hituji8

    いろいろな事象が都合よく出てくる。登場人物に「いい人」が多い。人間は複雑で、グレーの部分があるのになと思った。

    投稿日:2023.09.28

  • touxia

    touxia

     50歳の主婦が、あるきっかけで大きく人生が変わっていく。宮本輝らしい50歳女性への応援歌。
     東京の江東区の下町で暮らす平凡な主婦、能勢志乃子は50歳の誕生日に、近所の古い骨董品屋兼喫茶店の「かささぎ堂」で、嘉永六年に作られた文机を購入しようと思って行く。店主はガラクタだからタダでいいという。2階にもあるから、好きなものを持っていっていいと言われる。志乃子は、陶器が好きだった。それで鼠志野の茶碗と手文庫をもらう。50歳の女性には、自分の人生の大きな変化がない年頃だ。
     文机は自分で使って、鼠志野は、大手の化学薬品会社の専務を65歳で退職して、骨董品に詳しい80歳を超えた三好与一郎老人に鑑定してもらうと、3000万円はくだらないと言われる。志乃子は、驚くと共に、三好の推薦した人が、実際3000万円で売り先を見つける。志乃子は、3000万円では、かささぎ堂の女主人に伝えなくてはいけないと思うが、かささぎ堂は店を閉めて、女店主がどこに転居したのか近所に聞いてもわからなかった。志乃子は思い悩むが、結局売ってしまって、とりあえず半額の1500万円が入金された。それにしても、そのお金をどうしたらいいのか、思い悩む。実に正直なんですね。
    志乃子の夫は、会社を辞めて、自立してアルミサッシの仕事をしていた。夫の借り入れている300万円を返済して、夫を楽にしてやりたいと思う。
     夫は、糖尿病なのだが、糖質制限の食に変えて、体重が10キロ近く減り、糖尿病も改善していく。医者が驚くくらいだ。夫は、「俺にとって炭水化物は命より大切だ」と言っていたのだが。宮本輝は、糖質制限に対して好意的に見ている。
     33歳の時に離婚した姉の美乃53歳も、大きな転機がおとづれる。居酒屋「海雛」を買って、経営するというのだ。居酒屋の主人は、60歳で奥さんをなくして、意欲を無くしてしまっていた。それで、美乃に譲る。志乃子の友人である沙知代は、ジャズをステージで歌い始める。遅咲きのジャズ歌手である。ずっとジャズ歌手を目指して、アメリカまで行って勉強した。沙知代は人生の苦労も味わったが故に、味わい深い歌を歌う。
     志乃子の家の1階を借りている不動産屋の財津厚郎は、56歳で、26歳の子とできちゃった婚である。
    志乃子は、50肩になったり、更年期の不安を抱えつつも、それでも前向きに生きていく。志乃子の転機が、姉の美乃、そして、沙知代、財津と大きく変化する。ある意味では、年齢は関係なく転機がおとづれて、チャンスをきちんと掴みことができるということを、宮本輝は物語にする。
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    投稿日:2023.08.25

  • gjmda

    gjmda

    2023年5月5日
    輝氏の作品は上下と長いものが多いのだと、少し腰が引ける。
    平凡な主婦志乃子が半年間にガラッと変わる。強運の持ち主。
    めまぐるしく環境。
    めまぐるしく変わる人たちとの交流。
    今や京都も遠くはない。続きを読む

    投稿日:2023.05.06

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